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笑わない 笑いたい! 作者:

第3回   先生とヒューン

 「おきてくださいよぉ〜ガルドさまぁ〜」
 いつもの声で目が覚める。いつもと違う風景で完璧に目が覚めた。
 「あれ・・・?ここ・・」
 自分の部屋でもない。
 「なぜか知らないですけど、帰って来たらこんなところで寝ていてびっくりしましたよぉ〜?風邪引かれたら困りますって」
 なぜかここはリビングだった。ガルドが寝れるくらい、丁度良い大きさのソファーの上。軽い毛布がかかっているが、これはきっとヒューンがかけてくれた物だろう。
 「ん〜・・・」
 「それに、今日も学校ですからね!!ついでに言わせてもらいますけど、女の子が転校してくるの、都合上変更されて、明日という事になりましたので・・」
 「ヘイヘイ。何時来ても変わらないんだけどねぇ〜」
 「いや・・学校になれていないと、何かと不便じゃないかと思って、何日か前にこられたんですけどねぇ〜日にちが変更されていたとは、情報不足でした・・」
 「いいよいいよー」
 棒読みで言われる。長々とした説明等がとっても苦手・・いや。嫌いなガルドは、とりあえずてきとうに流すのがいつもだった。
 「けれど、どうでしたか??学校のほうは」
 「なぁ、お前何処行ってたんだ??」
 ヒューンの表情が一瞬固まった。
 「あのですね??人の質問には先に答えてくださいよ・・質問した後に違う質問しないでくださいよぉ〜で??学校のほうは??」
 「とぼけないでよ。どうせ女の人引っ掻き回してたんでしょ??」

                    (チッ)
  
 内心舌打ちをするヒューン。なぜ解ったのかが不思議だが、魔界の生活を見ていれば、なんと無くでも予想はつくだろう。
 「その言い顔利用して、いっつも言いように女を利用してたもんねぇ〜。バレバレですよ??ヒューンさん??」
 いやみったらしく言った口調は、何と無くヒューンの心に矢を打っていた。
 「ヒューンは顔良し、外見性格良し(内側悪)、服装良しだから、いいように使える性格だもんなぁ〜。言いように使ってみつがしてるんじゃないのぉ〜??」
 「それはだな??仕事だよ仕事!!ホ・ス・ト!女の人を利用して、いいもん飲ませて過熱交わせるのぉ〜っていわせるなぁ〜!!」
 ニヤニヤしながらきくガルドの流れに、逆らえていないヒューンは、つくづくガルドの勢いには負けるなと、確信する事になっている。いつもこれで、ガルドに逃げられているものだった。
 ガルドは、いつも仕事が無いんじゃない。仕事から逃げているだけだったのだ。
 「けど考えてください??お金は来ない。お金は稼いでいない。そんなので学校通えるお金どこから出して来いって言うんですか??」
 「魔界」
 「私も最初は学費ぐらい出してくれるもんだと思っていましたよぉ〜??けれど、聞いて見ると出さないって言っていましたし、それなりに余裕できる仕事というのは、前通っていたホストしかないんですよぉ〜」
 「前・・ねぇ〜。って言うか、人間界に彼女居るんじゃないっけ??」
 「えぇ。いますよぉ〜。ホスト終わった後に、愛に行きましたから♪」
 「幸せ者ですねぇ〜」
 「はいぃ〜」
 「じゃあその彼女から学費貰えばいいのに。」
 「好きな人は使いませんよぉ〜。『悪魔で赤の他人から。』が基本でしょ?」
 「はいはい」
 人間界で結婚して、そのままここに居座っている、魔族も居る。だから、そこまで彼女がどうとかは特にない。だから、ここで恋愛してもいい。けれど、一人でお金を稼げるようになるまでは、そんな事は許されない。軽い面だと思っていたが、そういうところを見てみれば、なんも軽くはなかった。
 「けど、何で人間界に居座っていないんだ??ヒューンは」
 「私ですか??それはもちろんガルド様のお目付けがあるから。というのもありますしね?魔界に居た方が、何かと楽だったりもするんですよ。けれど、ガルド様が一人前に一人で仕事が出来るようになったら、人間界にすむことにしてます。私の時の師匠もそうでしたから。」
 
(俺は重荷??けど、そっちの方が何かと楽だ・・待てよ??俺が一人前になる??)

 もしガルドが一人前になったら、ヒューンはガルドから居なくなってしまう。という事は、ガルドは一人で何をすればいいのだろうか・・深く考えていると、頭が痛くなり、性に合わないといつも投げ出す癖が出て来た。
 「それよりガルド様?早く行かないと学校に遅れますよ??」
 「ヤバッ」
 そう言ってパッパと出て行った。
 
(待てよ??俺・・微妙に流されてないか??・・・・まぁいっか)

 適当に流すのも言いかと思いながらも、今はヒューンと一緒にいる時間も大切にしてみようか。などと、前向きに考えるように心がけていた。

 「よぉ〜っすがルド♪」
 後ろからいつもの薺が来た。薺は軽く肩を叩いたくらいだった。エンピをまた食らわせようかと思ったけど、今は止めておいた。
 「なぁ、聞けよガルド。特大ニュースだ。昨日すごいところ見ちったんだよ。」
 「何々??」
 なんだかそう来ると、興味津々になるようにした方がいいのだろうかと思いながらも、耳を傾かせていた。
 「保健の麻美先生居るだろ??」
 「うん。」
 「あの先生が、昨日ホスト倶楽部に入るところを見てしまったんだよ!!」
 明るい顔でそういいながら、携帯でその場面を出した。
 「ついつい明日の特大ニュースとして疲れると思って、写真とっておいたんだ」
 場面は、ホスト倶楽部の前だった。ホストの人が迎えに出ていた。その顔は、何かと見覚えがある顔だった。
 「これ・・・」
 「エ??知り合いか??」
 「い・・・・や・・知り合いじゃないってことにしておくわ」
 「なんだそれ・・知り合いじゃないの??」
 「あぁ。チョッと見覚える顔だと思ってよく見たら全然違った」
 笑っておこう。そう思った。けれど、全く違いがない。この顔は、ヒューンだった。帰ったら確かめようと、軽く携帯でメールしておいた。
 『帰ったら聞きたいことある』と。

 教室に入ると、昨日以上のざわめきがあった。
 「おいきけよガルド!薺!特大ニュースを手に入れたぜ!」
 「麻美先生の事か??」
 「なんだ??それ・・それよりあれだよ!」
 「明日転校生来るーって??」
 「何だよガルド知ってたのかよ!!」
 「あぁ。」
 男の奴が、いちいちガルドと薺のところに来ていたが、その必要はないらしい。ガルドは、本当はその事を知っていた。という事にしないと、ただの反応が苦手なぶん、不自然にも見えてしまう。
 「けど、男か女かわかんねぇんだよ」
 「女に一万!!」
 ガルドは勢いよく言った。
 「へぇ〜じゃあ男に二万!!」
 薺とその男は言ってきた。本当に賭けにのるとは思わなかった。薺とその男は口を合わせて二万といったから、ガルドに四万来る事になる。
 「ってかお前ら万札で競争するなよぉ〜」
 周りの奴らが、笑いながら言ってきた。
 「だって女なわけがない」
 「嫌々言い切れないだろ・・」
 といいながらも、薺とガルドは席に着いた。


 昼休み。ガルドと薺は、早速麻美先生のところ、保健室へ向っていった。
 「麻美先生??」
 「何ですか??」
 麻美先生は、生徒全員に人気があった。もちろん、先生方からも人気があったのだ。
 「先生って彼氏居るでしょ??」
 薺が直球で聞いた。
 「な・・そんな事あなたたちに」
 「その人の名前・・ヒューンって言いません??」
 ガルドが、積極的に聞いた。すると、先生の顔は、激しく赤面した。
 「先生わかりやすぅ〜いって・・・ガルドお前知り合いだったんじゃねぇかよ」
 「ハハッ」
 「で??先生そうなの??」
 「えぇそうよ。ヒューンさんってカッコイイじゃない??それに性格も最高だし・・・もう・・」
 妄想癖なのか、両手を頬につけ、うっとりしていた。
 「先生・・・ヒューンの何処まで知ってる??」
 「エ??・・・ん〜ここではいえないわ」
 「そうですか。ならチョッとこれ渡しておきますね」
 そう言って、手におさまるくらいの手紙を渡した。といっても一行しか書かれていなかった。
 「何だ??ラブレター??」
 「そんなもんかな??んじゃ失礼しましたぁ〜」
 「っておい・・」
 ガルドは、薺を押しながら、保健室を出て行った。
 「あぁ・・もう少し話聞きたかったのに」
 「俺が放課後聞きだすさ」
 手紙には、放課後保健室に行きます。と書いただけだった。今言うのなら、あの手紙は微妙に意味はなかったのだが。
 「ということだから、薺先帰っててくれない??」
 「うん・・・わかった。」
 そんなこんなで、ガルドは、放課後保健室まで行った。薺が帰ったことを確認して。

 「どうしたの??もしかしてガルド君まで私に惚れちゃった??」
 「まさか?そんな事あるわけないじゃないですか。」
 笑い飛ばすように先生に言った。
 「聞きますけど、ヒューンのこと・・何処から何処まで知ってます??」
 「じゃあ聞き返すようなことしますけど、ガルド君はヒューンとどんな関係なんですか??」
 授業中、ガルドはヒューンとメェルしていた。魔族だということも知っている。ツバサをもっているという事も、ヒュンな事からばれている。麻美の性格のおかげで、他にばれずにはいる。
 心休まるところが欲しいだろうから、ばらしてもいいという許可は下りている。
 確かにヒューンは麻美と付き合っている。という事は聞き入れていた。それに、ヒューンのお目付け役。という事にしておけだという事にしておくという約束もしていた。
 「ん〜お目付け役です。俺親小さい頃に死んでいるので。」
 「へぇ〜、で、何処まで?って??」
 「何か隠してそうな人じゃない??ヒューンって」
 「な・・にを??」
 「言ってみてよ。隠しているのでしょ??先生も共犯らしく・・」
 にやりと笑いながら、下から見上げるような体制をとった。
 「どういうことを聞きたいの??」
 「まったく・・先生も意地はるねぇ〜だからか。ヒューンが記憶を操作しなかった理由がやっとわかったよ。」
 「記憶を操作??」
 「知っているのでしょ??」
 先生は大きなため息をした。
 「えぇ。何もかも知っています。彼が魔族だということを・・」
 遠くを見るような瞳で言った。
 ガルドは、先生に向って、満面の笑顔を見せてあげた。
 「先生・・驚かなかった??こんな目立つ生徒が急に現れた。転校生騒ぎにならず、今までいたかのような行動が・・」
 「えぇ。驚きました。最初見たときは。生徒のほとんどは顔を覚えていますから。特にそんな髪質。金髪の人などは特にね。瞳だって青だし。カラコンじゃないでしょ??」
 「えぇ。もちろん。それに・・こういうのを出す事もできます。」
 ガルドは魔力を使い、すべてのカーテンを閉め、チカラを弱め、上着を脱いで真の姿を出した。
 そのときの先生瞳。きっと忘れられない目だろう。
 「ガルド君・・あなたもそうだったのね」
 驚いてはいただろうけれど、思ったような反応は来なかった。もう少し過剰になるかと思っていた。
 「えぇ。思ったより小さい反応でこちらが驚きましたよ。」
 「これからそういう体勢を取りたいならここにきなさい??」
 「えぇ。ありがとうございます。実際言わせて貰いますと、先ほどまでの身体。かなり体力食うんです。」
 「へぇ〜ならヒューンはいつもあの身体。結構疲労を感じている事でしょう・・」
 「いいえ。もうあの歳で、体系になれば、その身体も修行で慣れつくものだといってました。まだ俺みたいな体は未熟なんです。」
 軽く語りながらも、笑ったりいろいろな事を放していた。
 「けど、魔界の王の息子でしょ??あなた」
 「知ってたんですか??」
 「えぇ。よくヒューンから聞いてました。」
 「へぇ〜そっかぁ〜なら何も隠さなくて良かったんだ俺・・」
 「えぇ。」
 ニッコリ笑われるその顔が、何となく憎く感じた。
 「けど、どうやって知り合ったんですか??先生とヒューンって・・」
 「私本当は死のうと思ってたんです。その頃大学生だったんだけどね??」
 笑いながら言うその台詞に、ガルドは驚いていた。
 「電車が通る上の歩道橋に身を乗り出して。いや・・もうあの時は飛んでたかな??もう少しで電車がここを通るって時に。」

 その時ね、すごく気持ちよかった。風が下から来て。もう少しで私は電車とぶつかる。けど、いきなり私の体の方向が変化したの。
 一瞬何が起きたかさっぱり理解できなかったわ。
 私はそのときの彼・・ヒューンの肩にもたれてたの。私は驚いて、身体が硬直した わ。だって、通り過ぎる電車が目の前を横通っていたんだもの。私を跳ねようとしていた電車が。何もなかったかのように通って行ったわ。
 それを見届けた直前だった。私は本当に驚いたわ。急に怒鳴りだすんだものヒューン。
 なんて??それはね「死ぬ気か!!急に飛び出すんじゃねぇよ電車が見えなかったのか!」本当にその迫力には負けたわ。
 私はこういった「えぇ死ぬ気だったわよ!!死にたいからそうしたの!!もうこの人生いやになったのよ!」
 そういうと、悲しい目でヒューンは見たわ。何かそういうのを経験した事があるかのように。
 「人生投げ出して楽になるなら、俺は多分もうここにはいなかったな」
 急に座りこんで、私に言うかのように言ったの。なんだか私はそのとき、何も答えられなかったわ。けれど、こういうことは出来た。
 「どうして??」
 けど、この質問は彼には重すぎたのかもしれない。
 「俺も一度しようかと思ったことだから。けど、困難を抜けてこそが人生だと思う」
 彼には重すぎたじゃなくて、私に重すぎたのかもしれないわね。
 けど、彼の言葉には救われた気がするの。そういう風に言ってくれる人を探してたのかもしれないわ。
 後から彼にこう聞いたの。
 「どうやって私を助けたの?」
 「俺にはツバサがある!」
 真剣のように冗談な顔をして言ったから、本当にツバサがあるって信じていいのか、信じない方が良いのか解らなかったわ。まぁ、その時は笑い飛ばしてやったわ。けどその後にこう言ったの。それが本当だと信じていたわ。
 「俺は幅跳びが得意でもあり、高飛びが得意でもあるんだ!」
 って、自信満々な顔でね。もうその時はなきながら笑ったわ。面白すぎて泣いたんじゃない。自分の馬鹿さに呆れて泣いていたんだと思うわ。
 それがきっかけで、私は片思いをしたの。
 その場に行っても彼はいなかったわ。だからある日、最後の決断を下さしたの。
 もう解ると思うけど、もう一度その歩道橋に登って、飛び降りたの。思ったとおり彼は来てくれたわ。そして一撃。
 「バカッ!!!何度言ったらわかる!!」
 私はそのときニッコリ笑ったままだったわ。だって、ようやく彼と会えたんだもの。
 「だってあなたに会いたかったから。私あなたのこと好きになっちゃった」
 言ったわ。もういえないときがあったら困るから。私は、何も隠さずにまっすぐ彼を 見ていった。もちろん断れる事は目に見えていたわ。けれど、彼は意外な言葉を出してきた。
 「俺で・・・いいのか??」
 「あなたがいいの。名前を教えてくださる??」
 「俺は・・・俺はヒューン。」
 「でわヒューン。私とお付き合いをお願いしたいわ」
 「あなたのお名前を教えてください」
 「麻美です」
 「でわ麻美。俺でよかったら永遠と・・」

 「もう私はしあわせだったわぁ〜って・・聞いてる??ガルド君!!」
 ガルドは、保健室のベッドに横になり、スヤスヤと寝ていた。かなり気持ちよく寝ている様子を見てしまった麻美は、毛布をかけてやった。
 「疲れてるんじゃん」 
 
 気付いたときは、もう日は落ちていた。
 閉めたカーテンで、どれくらい暗いのかは解らなかった。
 「あら??おきた??ガルド君。残念ながらもう校門閉まっちゃったけどどうする??私車で送っていこうか??」
 「そうさせてもらいます」
 緩んでいた身体を伸ばすガルド。
 「どう??充分寝られたかしら??」
 「えぇおかげさまで。それに、先生のラブラブ話も最後まで聞かせてもらったよ」
 「聞いてたんだ・・」
 「えぇ。ねてる振りしてましたけど。けど毛布掛かってから本当に寝ちゃいましたよ」 
 「気持ちよかった??」
 「えぇ。特にそのパソコンのキーボードを打つ音が特に。」
 「あら。何で??」
 「解らないけど」

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Novel Editor by BS CGI Rental
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