■ トップページ  ■ 目次  ■ 一覧 

笑わない 笑いたい! 作者:

第2回   いざ!初日!!


 楽しみは後に取っておくものだろう。
 いつだかそんな事を言われた覚えがあった。

       ジリジリジリジリジリジリジリジリ・・・・・・

 にごり音が部屋中に響き渡るのと同時に、ガルドの中にも響き渡って行った。

              ポチッ

 なっているへんてこな機械が、プチッと時計の針が止まったかのように止まってしまった。それに気付いたからか、ゆっくりと重いまぶたを開けた。全開には開かなかったが、鉛筆の芯は入るだろう。
 うつぶせになっていた身体を横に動かしたとき、スルッと肩にかかっていた布団は、ゆっくりとずり落ちた。暫くすると、肩が寒くなってくる。
 「ガルド様っ早く起きてくださらないと、朝ごはんが冷めてしまいますよ??」
 
 (あさ・・?おれ・・え??何時寝たんだろう・・)

 寝た事なんて、当の昔のような気がする。
 永久の眠りから覚めた感じだった。けれど、思い出せるのは、魔法陣の中に立っていた事だけ。
 「ガルド様??」
 ポケーッとしている半目状態のガルドの肩を揺すってやった。
 「ってガルド様??肩が冷えてますよ??そんなにここ寒いですか??」
 心配するところが、何か違う気がするが、ハッと元に戻って、ヒューンはガルドの肩を大きく揺らした。
 「あれ??おれ・・何時寝た??」
 「魔法陣で、魔法が身体にいきわたったとき、耐え切れなかったのか、気を失われてしまったのですよ。」
 失敗したかのように、頭をかいていた。
 「そっか・・おれって結構脆い??」
 「脆すぎです。けれど、まだ発達しきれていないのです身体が。」
 「そっか・・・」
 「まぁ、それを強くしようという修行でここに着たんですけどね・・」
 「え・・・?あぁ〜!!!!!!!!!!!」
 かなり忘れてました。というかのように、勢い欲ベッドから飛び降りた。
 「やっと思い出されました??本当の目的が・・ホラッ早くこの制服に着替えてください??」
 そういいながら、後ろから制服を出した。
 「俺・・どこ良くの??」
 「学校です。」
 「月光??」
 「違います。確かに読み方はだいたい同じですけど、学校です。」
 「ガッコウ??」
 「漢字変換してください」
 「・・・学校!!!??」
 「だからそう言ってるでしょ・・」


 「なぁにが『ホラッ何事も体験。というかこれが使命なんですよ??いってらっしゃぁ〜い』だ・・アホか」
 言った後、なんだか自分で恥ずかしくなってしまった。なぜなら、ヒューンのまねをしたはずが、かなり似てしまったからだ。軽く赤面してしまった。
 「よぉ〜ガルド」
 左後ろからポンッと左肩を叩かれた。反射的に、左ヒジをそいつの腹部に思いっきりエンピを食らわせてしまった。
 ハッとして、振り向いたら、腹を抱えている男がいた。
 「さ・・・さすがガルド・・いつものパンチ食らったぜ・・」
 「パンチじゃない・・エンピって言うか・・・・ほんと大丈夫か?」
 「何のこれしき!!これがないと、一日が始まらん!!」

(オイオイオイオイヒューン。俺の設定どうなってるんだ??)

 自分に聞いても、結局出てくるわけがなかった。
 記憶は、ヒューンが操作しているため、まだその設定は知らなかった。
 次は、また後ろから声がした。
 「おい!ガルド=ルベニスト!!」
 ガルドは、スッと後ろを向いた。
 「あいつまたかよ・・」
 ボソッとさっきの腹を殴ってしまった男が言った。
 見えた先には、小さくこっちに殺気こめている奴だった。
 「お前・・絶対俺お前に勝つからな!!」
 よくよく見てみると、背中には仲良しランドセルがあった。

(なんだよ。ガキかよ)

 さすがのガルドでも、基本的なことはいろいろと組み込まされたから、これでも普通の勉強は出来る。
 「いくぞ」
 「あぁ・・」
 ガルドは、さっさと歩いていった。

 「良かったのか??」
 教室に入ってから、薺(なずな)という奴は、言ってきた。さっき腹部を殴ってしまった人だ。薺にそういわれてしまった。
 「あぁ・・いいと思う。っていうか実際なんだったんだろあれ・・」
 「酷いなぁ〜。忘れたの??一回あいつに喧嘩売られたんだよ」
 「ソウだっけ??」

 
 ある日の事だった。
 雨の中、傘を忘れてびしょ濡れで帰り道を歩いていたときだった。
 薺とガルドは、少しふざけながら歩いていると、近くを歩いていたチビにぶつかってしまった。そのとき、びしょ濡れの水溜りに転がしてしまった。
 「あ・・悪い」
 ガルドはそのとき、大人しく謝ったが、手を差し伸べた手を勢い欲そのガキは振り払った。そのときのガキの瞳。それは、何かを軽蔑するような目だった。
 「大丈夫か??」
 薺はどっちに言ったのかわからないが、とりあえず言った。すると、意外な言葉を聞いた。
 「あぁ大丈夫。」
 薺に向かっては、このガキ、いい顔をしやがる。

 (俺になにかあるのか?)

 そう思っているうちに、そのガキは走ってどこかへ行ってしまった。

 「そうだっけって・・忘れるお前もお前だがな。」
 「けど、それって喧嘩売られたってことになるのか?」
 「まぁ、ソウ深く考えるな」
 さわやかな笑顔は、なんだか悩んでるときにはとても気持がいい。今まで、こういう奴らとつるんでいたと思うと、なぜだか、嬉しくなってきていた。


 「さて・・私も一仕事しなきゃイケないかな??」
 年よりかのように、エプロンをつけ、メガネをかけながら縫い物をしていた。しか も、ロッキングチェアーに座っている。ゆっくり揺らしながらも、立ち上がった。縫い物をしていたものを、近くの台に置き、メガネをエプロンのポケットに入れて、エプロンを脱ぐ。
 軽く髪にくしを通し、ニッと笑顔を見せた。多分、側から見てば、かなり異様な光景。というか、ナルシスト??と聞きたくなるようだった。ホストで働いてそうな顔つきだった。
 「さぁって。いつもの仕事に行きますか。」
 さすがにお金を稼がないで、この世の橋を渡る事なんてできなかった。ヒューンは、スーツに着替え、綺麗な靴を履き、家を出て行った。

 「やぁヒューンさん。」
 「お久し振りですヒューンさん」
 大きな黒く、怪しく光るホスト倶楽部。その中に入っただけで、みんなの人気者になってしまえるヒューンだった。
 「やぁ。皆。今日もヨロシク」
 ニッコリ笑顔で女を落とすのは、何かの罰を受けさせたくなる。と、言いそうな人はガルドだろう。ガルドにこの仕事をしているところ見られたらと考えるヒューン。考えたら少しもしないで鳥肌が立つ。笑われる可能性大。それに、馬鹿にする可能性までもが大。


 「はぁ〜・・・」
 大きなため息と共に、少々重いと感じられる扉を開いた。
 「めしぃ〜」
 そういいながら靴を脱ぐ。けれど、何の返答も来ない。それに、リビングからの電気が刺さってきて居ない。昨日は、テレビの音も合ったのに。
 「仕事かな??」
 ゆっくりとリビングの扉を開けた。居ないというのを再び確認すると、自分の部屋へと戻っていった。
 「けど仕事って言ったって、どんな仕事してるんだ??まさかサラリーマン??」
 少しのいい例えとして出たつもりだが、ヒューンにそんな地味な仕事が出来るはずがない。と、自分に言い聞かせ、カバンをベッドの上に投げた。
 居るかもしれないという少ない確率の中で、ガルドはヒューンの部屋の扉まで言ってみた。
               
                コンコン・・・

 ゆっくりノックしても、何の返事もない。というより、電気をつけている気配すらない。もっと言えば、自分以外の気配が全く感じられない。
 もう一回大きなため息をすると、リビングに戻り、何か適当に暗い中を歩き回り、冷蔵庫からウィンナーを取り出した。ウィンナーはなんとなく、しょんぼりしているかのように、フニュッとした感覚だった。

← 前の回  次の回 → ■ 目次

Novel Editor by BS CGI Rental
Novel Collections