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笑わない 笑いたい! 作者:

第13回   13

 「ガルド様」
 「どうだった?」
 「それが・・・」
 「それは良かったじゃないか・・」
 「けれど・・ガルド様・・・・・・―・・−」
 「・・・なっ!?・・・そうか・・なら・・仕方ないか・・」


 「ガルド??元気ないね・・」
 あれから何日か経ち、セシルの罰が決められた。その日のことだった。丁度日曜日 で、ガルドと風月に、ルナルとともに遠出に出る約束をしていた。
 遠出といっても、唯単に遠くまで遊びに行くだけだが。
 「あっ・・いや・・」
 「もう疲れんでしょう。後は帰るだけですし・・電車の中で眠られたら・・?」
 「いや・・大丈夫だ」
 長旅が終わった電車を待っているときだった。だが、これが最後だとは。風月は思いもしないだろう。

 「じゃあね。ガルド・・ゆっくり休んでね」
 ガルドのおかげか、最初よか結構笑うようになった風月。そんな風月と、ガルドが別れるときだった。
 「風月!」
 帰り道は危険だ。暗いし、何がおきるか解らない。だから今はルナルも居る。
 「チョッと話が・・」
 「ガルド様??」
 ルナルは、一応今回の事を知っているため、あまり出しゃばる様子が出来ない。
 「チョッといいか?ルナルも・・」
 「はい。」

 呼び出したのは、近くの公園。
 「俺・・もう風月の近くに居れない」
 「エッ?」
 風月は、嘘を言っていると思い、軽く笑った。
 「何冗談言ってるの?」
 「本当のことなんだ・・・ルナル・・・説明を」
 「ハイ。ガルド様が今回この人間界にやってきたのは、丁度風月様が転校してくる一週間前。けれど、その前から居るという事になっているのは、ヒューン様の能力とします。それでですが、今回なぜ人間界にやってきたかです。
 それは、風月様が関わっていまして、笑わないことを基準とされているので、ガルド様の修行とプラスで仕事に行ってこいと。」
 「し・・ごと?」
 「風月様を笑わせれるように」
 風月の心に釘が刺さった痛みを感じた。
 「それだけ・・それだけのためにガルドは私に近づいたんだ!」
 ガルドの目には今にでも泣きそうな目と、今にでも逃げる準備の出来ている風月が見えた。見える前にガルドは走った。
 風月が走り出したからだった。
 スッと風月の手をつかむ。
 「放して!」
 涙の流れる頬。光る涙が空気のなかを舞う。
 「はなさねぇ!」
 振りほどこうとする風月のチカラを抑えるかのように強く握る。
 「絶対はなさねぇ!」
 「なんで!?それだけのために近づいたんでしょ??」
 強気で言う力強い言葉。けれど、その目には涙が流れる。
 「こんな気持にさせておいて・・・」
 弱気な口調になりながらガルドの胸辺りを叩きつける。
 その腕を止めようとしないガルド。叩かれても叩かれても引きはしない。手を放したりはしない。
 「何で・・」
 「俺は仕事をしながらも、俺はわかった。優しくなる気持ち。好きになる気持。俺は・・俺は風月のことが好きで言い出せなかった!」
 叩かれながらも、ガルドは負けずに言う告白。
 聞き入れてくれるかどうかもわからない告白を言った。
 「すきって・・・」
 風月の力が弱まる瞬間。ガルドは強く風月を抱きしめた。
 「風月が好きだ」
 「ガルド・・いいの?」
 「なにが?」
 「私なんかで。」
 「風月がいいんだよ」

 「でっ?結局付き合っちゃうわけですか?!」
 あのままガルドは風月を家に連れてきて事情を話した。すると、ヒューンからの大きな一言が待っていた。ガルドはもちろん覚悟の上であった。
 「というわけだから。俺、魔界もどらねぇから」
 スラッという言葉に、ヒューンは大きなため息が出る。
 「そんなため息出してると幸せ吹っ飛ぶよ??それに、もっと人間界で修行したいし。ヒューンだって、俺についてれば先生にだっていつでも会えるんだぜ??」
 最後はもうすでに脅しをかけているようだった。




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Novel Editor by BS CGI Rental
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