結局そのまま軽く笑いながら学校に着いた。 すると、なんだかクラスの中がシィンとしていた。 中心に机の上に足を掛けている、気強い女リーダー(いじめ専門)が。しかも、その机は、ボケーッとしている風月の机だった。やはりこういうパターンは慣れているのかなんなのか、表情は変わらなかった風月だ。 「なにがおきてるの?」 近くにいた奴に、コソッと聞いた。 「空青(風月のミヨヂ)さんの反応が勘に来たんじゃないかな?」 「へぇ〜」 軽く話している時に、そのリーダだと思われるやつ。名前は、紀美代。紀美代が大声を出して机を倒した。それと同時に、担任の先生が来た。 「なにを・・ 先生が言いかけたときだった。やはり先生の話は聞かない紀美代。大声を止めずに出す。 「ふざけないでよ!!なに??途中からきたからって大人しくしてるの??いつまでしてるつもり??」 「なにを・・ また先生は止めようと声を出したが、次はそれをガルドが邪魔する。 「ふざけてんのはどっちだよ!!てめぇだろ?大塚紀美代さん??何??自分の言ってる事は全部正しいってか?テメェこそ前からいたからって出しゃばってんじゃねぇよ。逆にてめぇを認めてる奴なんてそういねぇ、テメェが消えろ!!」 ゆっくりと近づいたガルドは、丁度言った後に紀美代のところに付いた。そして、胸倉をつかみあげる。 「ガルド君もや・・ やはり先生は何をしようと思っても、歯がたたないのかもしれない。次は風月に止められた。 「ガルド!」 我を忘れかけているガルドに気付いた風月は、ガルドの素手をつかんだ。その瞬間に、ガルドの目の色が多少戻った。 ビクつく紀美代。 ガルドは、軽くオデコに手を当てて少し汗をかいている様子だった。 「あれ??おまえどっかでなにか言い方からして・・何かだれだ・・」 急に考え込み始めたのは薺だった。頭に手をやり、頭の奥から出そうと振絞っていた。その言葉にびっくりしたガルドたちは、呆然と薺の方を見る。震えていた手が、薺のおかげで治ってしまったことに微笑を浮かせるガルドだった。 「あっ!!!ホラあいつだよガルド!!いっつもあさつっかかってくる!!春だよ春!」 ハッと顔を上げるガルド。スッと後ろを向き、紀美代の方をそしてガキを思い出す。 「あぁ!!紀美代だっけか??あいつお前の弟??」 「え・・・えぇ」 急な空気の入れ替えにみんなの表情が唖然とするの仕方がないかもしれない。 「あの・・・皆さん聞いてくれない??どうしたの?この空気。」 先生がオドオドしたように紀美代とガルドに聞いた。一番怖がっているのが担任かもしれない。 「あなたたち・・放課後でいいから職員室に着なさい。」 「いやです」 ニッコリ作り笑いを、紀美代とガルドが言った。 「私今日の放課後急ぎの用があるんで午後から早退させてもらいます」 「僕は放課後いつもどおり急ぎがあるので」 もちろんガルドは嘘だった。だが、早退というところから、紀美代は嘘ではないだろう。 「そうだ風月さん??昼休み前のところで待ってます。良ければガルド君もどうぞ」 ニッコリ笑顔で言われたので、ニッコリ作り笑顔で言ってやるのが、ガルドだった。
恐れも無く昼休み。呼び出された場所に向った。 誰もいないと思ったが、二人ほど着ていた。 「そちらが二人なら二人でもいいでしょ??」 やはり微笑む紀美代。 「何の目的でまたここに風月を呼び出した??しかも次は俺まで??」 ガルドはゆっくりと階段を降りていった。その後ろをのんびり付いていく風月がいた。階段をきちんと降り終わると、紀美代は風月に近づいた。 「なにをするつもりだ」 止める事はしなかったが、目線を動かして見張る。けれど、きっとこの場所では、魔力などは使えないところが勘に障るところだった。 「こうするのよ。この鬱陶しい髪」 そう言って、さらさらしていた風月の髪を束にして、肩につくくらいの高さに髪を切る用のナイフを突きつけた。それも、紀美代ではない。連れの女だった。前にもそのナイフを持っていた。 「そのナイフといい。お前・・やっぱ何者だ??お前、魔界のものだなその女も」 「私も?!」 「その反応だとその女は当たっているようだな。なぁ、あんたの方の名前は?」 「・・・」 「なんも反応なしか・・あぁそうだ。放課後お前らチョッと保健室にコイ・・あ・・けど紀美代は帰るんだっけか??来るよな??」 ゴクリと唾を飲む紀美代。睨みつけられる目が、赤く染まる。恐る恐るうんと頷いた。 「サボったりしてみろ。その首に一生残る傷つけてやる。」 ガルドは即座に風月の手を握り、逆の手で突きつけられていたナイフを、手に傷つかないように払った。 「で??なぁんで私の仕事で修羅場を起こすわけ??」 パソコンに向いながらも、額から流れる汗を輝かせた。怒っているのでは無い。呆れているだけだった。 「大丈夫。もし乱闘になってここが壊れたとしても、紀美代の連れの女に弁償してもらうか、ヒューンに弁償してもらうから」 「あんたは弁償する気無しかい」 「面倒」 「そうかいそうかい。はぁ〜ヒューンが来たのはいいけど、こんな乱闘ばかりをつれてこられるのは嬉しくないなぁ〜」 オデコに手をやり、パソコンの電源を落とした。 「ふぅ〜今日は仕事終わり」 「やんないの??」 「乱闘になってデーターパーになったら終わりでしょ??だからこのフロッピーに一旦すべてコピーしておいたわよ。だからこれには手ぇ一本触れないでよね」 フロッピーをカシャカシャと振って、先に注意事項を言っておいた。 (注:フロッピーをむやみに振ってはいけません) 「気をつけます。」 「ガルド・・来た」 ガルドの袖をピッピと優しく引っ張って、ドアの方に指を向けた。ドアの窓に影が映っていたのだ。 「入ってこいよ」 ゆっくりと開かれた向こうにいたのは、紀美代と連れだった。 「先ず聞く。お前ら名前は??」 「私は紀美代。別の名をセシル。」 「私は学校名は奈留。別の名をルナル」 「ヤッパリな。ならもう本性出してもいいだろう。風月は下がってな」 先生は、風月の方を引張って後ろに隠れていった。そして、最近ガルドのために買っ た、黒のカーテンを全部閉めた。 ガルドは、身体の奥からチカラを出す。とりあえずはというところで、真の姿を出すだけだ。 「お前らも出せよ」 長い前髪で、目がほとんど見えていないが、こっそりでている目がこれまた怖い。 「いいわ。」 セシルはスッと自分を脱ぎ、真の姿となった。ルナルは少し抵抗しながらも、頭から真の姿へとなっていく。色が変わる髪。そこまでチカラを持っていることに、ガルドはかなり驚いてしまっている。 「ルナル・・あんたセシルとはレベルが違いすぎるんじゃないか??なのになんでルナルのほうが下僕扱いされてるんだ??」 すると、急に目の前からルナルが消えた。ガルドは即座に風月のほうに振り向く。すると、風月も気付かず、風月の後ろにルナルがいた。片手にナイフ。片手が風月の髪だった。 「何でそんなに髪を切りたがる」 「作者の要望」 「私情を挟むな」 「しらないの?お前」 急にセシルは言い出した。 「風月の母はお前同様魔族だったのを」 その一言に、風月は目を丸にして驚いた。驚きすぎか、呼吸もまともにできない状態になってしまった。 「私・・の母・・が?」 「解ってたよ。薄々」 ガルドは、軽く言った。 「薄々??」 「あぁ。ちょっとあることを風月の家でしたときな・・感づいたんだよ。」 「けど、これは知らなかっただろ。半魔族の髪は力があるんだよ。それを魔族のものが食べたらどうなると思う??」 セシルは、焦らすかのようなハイテンションで聞いてきた。 「力が増加する」 「あったりぃ〜解ってんじゃん。ドウセ・・ガルドくんだってそれ狙いでこのこに近づいたんでしょ??」 「それは断じてない」 「へぇ〜そんなの口ではいくらでも言えると思うけどぉ〜?」 ガルドは、ため息をついて風月のほうをチラリと見た。 スッと笑っている風月。それに驚くガルドは、なんの話をしていたのか少しばかり忘れてしまった。 「大丈夫よ」 口に出したのは風月だった。 「私は解るからそれだけの事でここに来たわけじゃないって」 「何を言い出す」 セシルは怒鳴り、ルナルのほうをスッと目をやった。その合図は髪を引張れという合図。ガルドにも、それくらいの事はわかった。 だが、ルナルは裏切るかのような行動を取った。スッとナイフを力よく持ち、そのまま横にストレート。 「何を!!」 ガルドは怒りに達し、床を勢い欲けった。そして俊足でルナルの後ろに付く。ガルドよりもレベルがうえだと思われるルナルは、すぐに反応し、こっちを向いてきた。
防御
両手を額より目に近い辺りでクロスさせる。だが、予想外な事がおきた。その切った髪をいきなりガルドの口に押し込むのだ。 チカラを入れていた両手は反射的にチカラを失い、喉に通らなくしているはずの喉に、髪はするりと飲み込まれていく。 「がるど!」 ルナルは即座に風月を放した。すると風月は、倒れかけたガルドに近寄った。運よく後ろは窓で、ガルドはチカラが弱くなっているが、窓によしかかり、倒れこむのは避けれた。 「ルナルお前裏切っ・・・」 セシルが怒鳴りこんだ。すると急にルナルは先ほどとは全く違う瞳を出し、床を勢い欲けりこみ、セシルの開いた口に右手を勢い欲つけて塞いだ。それで終わればよかったものの、勢いがあり、そのまま奥の壁にセシルの頭は、勢いとプラスにぶつかった。 「紀美代さん!」 先生が怒鳴った。いちお学校の生徒として、心配する素振りくらいしても、罰は当たらないだろう。 「ガルド!しっかりして!」 よしかかる力はあるが、きちんと立っている力は無い。 「ルナルさん!力が増加だかなんだかするんじゃないの??ガルド・・かなり弱ってる!」 「当たり前だ」 初めてルナルは声を出した。 聞いた声は、低音で、けれどとても綺麗に通る声だった。 「はじめて飲み込むときは、チカラを増幅させるための体力を共にする。それに身体に合わなければもちろん増加というよりも、減少させる。そしてついには・・死ぬ」 最後の言葉に、風月は何もいえなくなる。けれど、唾を飲み込みいった。 「死・・って・・そんな・・」 「あるわよ。私の父がそうだったの。母が半魔族でね・・それだけのために近寄ってたのよ。べつに愛してるわけでもなかった・・・だからもうこんな事セシルにして欲しくなかった。」 ルナルの頬を、1滴の水が通る。それを見たセシルは、目から驚いていた。 「セシルとルナルってどう言う関係なの??」 先生が腕を組んで聞いてきた。 「セシルは私を助けてくれたの。父も母も失った私を」 「母も??だって髪を切られても死んだわけじゃ・・」 風月は自分のことも考え、力強く言った。 「えぇ。髪を生きられたところで、その人が死ぬわけでもない。けれど、髪を切りそれを捨てればよかったものの・・父は食べた。食べて身体に合わなく死亡。切ってすぐに食べたからね」 「すぐに??ってことは・・」 「えぇ。身体があわないのにすぐに食べても死ぬだけ。効果があるのは身体が合う者。そして無効になるのが、切って5分経ったもの。」 「五分・・」 「えぇ。」 「けど・・ガルドは・・」 「そうねぇ〜全く経っていないわよね」 先生は頬に汗をためながらガルドに近づいた。 「う・・」 少し苦しそうな声を出し、それと共に身体に身震いが起こった。 「はぁ〜・・」 ため息のようだが、少し軽い息だった。たまったものが出されたかのように。苦しそうに閉ざされていたまぶたが、ゆっくりと開いていった。 「ガルド・・」 「なに?!」 ルナルは、予想が外れたかのような反応をだし、ガルドたちのほうを向いた。すると、目の前には自分の力で立っている、ガルドの姿が見えた。 「ルナル・・」 それを見た風月が見えたのは、優しい瞳だった。 「ルナル・・・あなたは何が目的だったの??」 「なんだか・・今自分のやってる事がすべて馬鹿みたいに見えてね。王様の息子さん」 フッと目を閉じて、身体のチカラを抜いた。放されたセシルは、すごい勢いで呼吸をする。 「ルナル・・貴様裏切ったな!」 言った言葉すべてを聞かずに我を忘れ、勢い欲胸倉をつかもうとしたセシルだが、自分より上のルナルに、軽々と避けられ、逆に痛い目を見ていた。
パンパンッ
「はいはいそこまでぇ〜」 手をリズムよく二回叩きながら保健室に入ってくるやつがいた。 「お前・・」 体力がやばい状態になっているガルドも、もうピンピンそうだった。 「ヤァ皆さん」 『貴方様は・・ヒューン様!』 セシルとルナルは驚いた声を出した後、即座にかしこまるように礼をした。それを受けたヒューンは、右手でヒラヒラと手を振った。それが毎度の事。 ヒューンといえば、魔界の方では、結構顔のきく男で、魔王の補佐みたいなしごとをしているということからして、偉い人の一員でもある。 それに、魔王の息子といわれる子(ガルド)の世話役としているからでもある。 「貴方たちが何をしていたかは遠くで見ていました。ガルドを通してね」 「えっガルドを通してって・・ヒューン様とガルドとはどういった関係で・・」 セシルが、スッと顔を上げていった。 「何って・・ガルドは魔王様の息子ですよ??」 ニッコリ笑って言うヒューンの言葉は、誰よりも恐ろしく、そして何より怖い。 「エッ!?だって今は魔界にいるんじゃ」 「名前からしてガルドさまでしょ?ガルド=ルベニスト」 「あ・・けどっ何で人間界になんか??」 セシルは、今までしてきた事を我に返って考えていた。思い起こしてみれば思い起こすほど、顔色が真っ青へと変化していく。 「だから言ったでしょ。あまり人間界でおいたをしすぎると・・後で後悔すると」 ガクッとひざまずくセシルを見下ろすかのように、ルナルが目線だけを下にして、すべてを強調し言った。 「ルナル・・貴様わかってたな??」 「私はきちんとおっしゃいました。王様の息子さん・・と。あなたがきちんと聞かなかったことでは??」 「さぁて。セシル。あなたはもうすでに魔界の方に連絡させてもらいました」 ヒューンは苦笑いをしながらも、何か困っている事を隠し持っているようだ。 「あなたの処分も決まりましたし。今から私と共に人間界へと戻りましょう」 「ハッ・・」 セシルは、認めずにしても、ヒューンと魔王のお言葉は必ずであり、逆らう事は出来なかった。 「あっそうだ。ルナルはまだここに残っていてください。あなたには罰は与えられません」 「しかしっ!」 その言葉に驚いたルナルは、それに反抗しようと思っていた。自分のしたことはすべて悪いことだと自覚していたから。 「私はガルド様が魔王様の息子様だとわかっており、先ほどのようなマネをしたことを、深く・・」 「いいんだよ。あぁいう風にガルドは死ななかった。空青さんだって亡くならなかった。それでいいだろ?」 「でもっやはり私は何らかの形で罰を・・」 「あなたはこのセシルのためとも思ってやったことでもある。罰を与えて欲しいというのなら・・」 ヒューンがそこまで言うと、ルナルは唾をゴクンと飲み込んだ。その飲み込んだ音は、周りが静かだったせいか、ガルドのところまで聞こえていた。 「そうですねぇ〜なら。ここでのガルド様と風月様のお守りというか、ボディーガードというか・・なんていうんでしょうね??」 「そ・・それでいいんですか?!」 「ハイ。チョッと困ってたんですよね。ガルド様のほとんどの魔力を封じてしまっていますから、いざという時に使えるほどの魔力が・・」 (そうかな??結構あるけど・・)
ガルドは、心底考えていたが、あえて言葉として出さずにいた。 「あっヒューン。」 「なんです?ガルド様」 「なぁ、もう一つ罰を加えちゃだめか??」 「いいかどうかは聞いてからにしましょう」 「俺らと仲良くすること。ってのは?」 「いいでしょうね。どうですか??」 了解してからルナルのほうを見て、確認を取る。 「それはありがたきお言葉」 フッと微笑むルナルの顔が、風月はかなり安心していた。 「じゃあ。今日はこれまでということで。セシルは私に付いてきなさい。ルナルはガルド様をよろしくお願いします」 「ハッ」 ヒューンは何処から来たのかも解らず、何処に消えたかも解らないが、その場でセシルと共に消えた。きっと魔界に戻る準備に行ったのだろう。 「あの・・ガルド様。今日からよろしくお願いします」 ルナルはガルドの目の前に来て、深く礼をした。 「だとよ風月」 「ガルドに言ってるんでしょ」 「なぁルナル。俺よりも風月重視でヨロシクな」 「は・・はい?」 「ハイハイ。あなたたちはハヨウお退きってかお帰りなさい!私はあなたたちがグッチャにしていったものを綺麗にかたさなきゃならないんだからねぇ〜」 「はぁい。ガルド・・?」 「あ・・先行ってろよ。俺チョッと先生の手伝うから・・」 「風月は先に帰れ。暗くなったら危険だぞ。タダでさえもう暗くなりかけてんのに。ルナル!」 「はい」 「風月送ってってやれ」 「はい・・」 そう言って、風月を押してルナルと風月は帰っていった。校外をでたのを確認し、ガルドは鏡を探した。 「なに探してるの?」 「鏡」 「かがみぃ〜?はい」 そう言って、近くにあった人一人の顔が入るくらいの大きさである鏡を出してきた。 「どうするの??」 先生は興味津々で近寄ってきた。 「こうするの」 スッと鏡に手をかざし、フッと目を閉じる。 「なんか浮き出てきた・・」 先生が無神経にそういうと、ガルドはゆっくり目を開けた。 「こ・・・これ風月ちゃんたちじゃない!」 先生は不可思議な事に多少驚いた。 なぜ多少かというと、魔力を知ってしまった先生にとって、それ以上何に驚いて良いのかわから無くなってしまっているのだ。
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