月27日 PM5:20
美浜監督のもとへ電話がかかってきた。 「美浜くん、今ウチの投手陣が苦しいのは知っているね?」 「はぁ、藤田の故障、他の選手に関しても調子がイマイチなのは知っていますが・・・」 藤田がダイエーとの初戦で秋山のピッチャー強襲を右足に受けてしまい、そのまま病院へと運ばれていったのである。他の選手も調子が出ないままシーズンに突入してしまい、ロッテは2年前の悪夢を繰り返そうとしていた。 「そこでだ。ニ軍からめぼしい選手を3人ほど送って欲しい」 「しかし、誰を送れば・・・?」 「今、チームで頼りになるのは黒木・渚・小野・ミンチーの4人だけだ。中継ぎや、抑えが本調子ない為、彼等が軸となってほとんど先発完投している」 「なるほど、シーズン開幕早々投手陣が火の車、と」 「その通りだ。で、明日の試合で早速使いたいのだが・・・」 「分かりました。それなら乾と早川、それに箕輪を送りましょう」 「箕輪は使えるのか?」 監督が心配そうに聞く。確かに箕輪はオープン戦、イースタン戦共に一度も投げてないのだ。 「大丈夫です。ヤツならなんとかしてくれますよ」 「・・・分かった。頼む」 そう言って監督は電話を切った。
同日 PM5:40
今日は、横須賀スタジアムで湘南シーレックスとのナイターの日だった。 イースタンでのナイターはベイスターズがシーレックスに変わってから横須賀スタジアムでのみ行われている。
監督がグラウンドに現れ、箕輪とキャッチボールをしているあおいを呼んだ。 「早川、乾知らんか?」 「乾さんならあそこにいますよ」 あおいが指さした先には、ネットに張りついて観客と言い争っている乾がいた。
『おい!一発ストッパー、今日こそ土壇場で逆転弾打たれるんだろ?』 『うっさいわボケ!最近の試合でワイが一発打たれてるとこ見たことあんのんか?』 確かに、最近乾は、一発ストッパーの汚名を返上するかのようにいい仕事をするようになった。 『ぐぐぐぐぐぐ』 『わかったか!どうせ今日もワイらの勝ちや、ワイの仕事よー見とき!』 乾がそう言い切った時、後ろからボールが飛んできた。 か〜ん! 「いった〜、誰やねん!こないなことするヤツは!」 「降りろ、バカタレ!」 「か、監督!?」 「今からお前と、箕輪、早川で神戸に行ってもらう」 「神戸ゆーと・・・ん!オリックス戦やないですか!?」 「そうだ、明日付けでお前達は一軍だ」 「ホンマですか?ヨッシャ!行くで箕輪、早川!」 そう言ったかと思うと乾は全速力でグラウンドから出て行った。
4月28日 PM5:57 『さぁ、ここグリンスタジアム神戸のオリックス対ロッテ3回戦。ロッテはここで負けると近鉄と入れ替わって単独最下位へと転落します』 現在の順位は、1位日ハム 2位ダイエー 3位オリックス 4位西武 5位ロッテ 6位近鉄である。ロッテとしては、ここで負けてしまうとそのままズルズルと行ってしまいそうな雰囲気である。 『そして、今日の先発は先攻ロッテ渚、後攻のオリックスは神童と、両エース対決です。渚、神童共に既に3勝しており、この試合で勝った方が恐らく月間MVPとなるのではないでしょうか。まもなく試合開始です』
ここで両軍の先発メンバーを紹介しておく。
先攻ロッテ
一番 左翼手 日向由伸 二番 中堅手 サブロー 三番 右翼手 春日秀喜 四番 三塁手 初芝清 五番 一塁手 石井浩郎 六番 二塁手 酒井忠晴 七番 指 名 ボーリック 八番 捕 手 清水将 九番 遊撃手 小坂誠 投手 投 手 渚仁紀
後攻オリックス
一番 中堅手 深谷穂 二番 遊撃手 大島公一 三番 右翼手 谷佳知 四番 二塁手 村雨龍彦 五番 一塁手 藤井康雄 六番 左翼手 田口壮 七番 指 名 J・アリアス 八番 捕 手 猪狩進 九番 三塁手 進藤達哉 投手 投 手 神童裕二郎
同日 PM6:00 『プレイボール!』
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