「…それがあおい選手のこれまでなのですか?」 「えぇ…考えればどんな人よりもロマンチックだったなぁと思いますよ…これも小浪君のおかげです…」
僕は今、スクープ記事の先駆者といわれる大谷記者にインタビューされているのだった。大谷記者は、女子野球の先駆者といわれる僕の一生を一冊の小説にしようと提案してきたのだった。
「あおい選手が起こしてきたキャットハンズV3伝説の始まりは一人の男性から始まっていたのですか…これはベストセラーになりますよ!」 「お金は要りません、女子野球界と小浪君のお墓の維持費に全て回してください…私ももうそう長くは生きられないはずです…」 「何を言ってるんですか!まだまだ28と女盛りではないですか!その交際していた小浪さんがうらやましくてなりませんよ!」 「ふふっ…お世辞ありがとうございました♪」
ガチャッ
「あおいさん、検査のお時間ですよぉ〜」 「あ、もう検査の時間ですか?それでは僕この原稿にみずき選手や矢部選手などの感想をつけて会社に持ち帰ります。ではお大事に…」 「はい、また…」
小浪君が天に召されて、僕達は世間の評価を裏切り続け、甲子園準優勝という快挙を成し遂げたんだ。それからキャットハンズにドラフト1位で入団、3年後にはキャットハンズ初の日本一に輝いた。世間では「おさげの女帝」とか「キャットハンズの女神」などと言われてるけどそんなことどうでも良かったんだ。 ただ小浪君との約束を守りたい…その一心で僕は体を酷使して投球し続けた…このまま死んでも悔いがないくらいだ。 今ではプロ野球に30名ほどの女子プロ野球選手が活躍している。今までは僕がその理事をやっていたけど、倒れてからはみずきちゃんが僕の代わりにみんなを引っ張っていってくれている…頼もしい限りだよ。 矢部君もこれまで僕をバックアップしてくれた。『小浪君には劣る出やんすが…』と、僕の後援会を作ってくれて、その会長兼選手として頑張ってくれている…感謝しても感謝しきれないくらいだ。 そして…こんなに素晴らしい人生へ自分を犠牲にしてまで道を創ってくれた小浪君…何度謝っても一生気が済まないだろう。 僕のちっぽけな人生もみんなのおかげで楽しい経験があふれるくらい出来た、世の中に役立つことも出来た! ありがとう…みんな。 そして、ありがとう…小浪君…
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