「ふん、馬鹿馬鹿しい…ただの新体力測定だって??馬鹿にしてるのか?」 「まぁまぁ小浪よぉ。受かったんだけありがたいでイイじゃねーか?」 「でも…」
あまりに拍子抜け、完全に俺達を卑下してる。野球のチームを決めるのにただの新体力測定?今時何処の球団、野球チームがそんなテストをやるだろうか?普通ならノックとか守備練習とかシートノックとかじゃないのか? いい加減にして欲しいくらいだ…これのために俺はこの島に来ることを強制されたのか?見下されたもんだ。 小浪は怒りにまかせて愚痴をこぼし続けた。
しかし、今に思ったら不思議なものだったと思う。小浪はあの不自然な試験を思い出す…。
『では、試験を始める前に測定者はこれを飲んでもらう。』 『なんですかこれ…?』 『栄養剤だ。即効性のな。この島に来てろくなもの喰ってないだろうと思ってちゃんとした結果が出るように用意したのだ。早く飲め!』
言われるままに飲み干す…すると、
『おぉ!?力が湧いてくるぞーーー!それで、何するんですか!!』 『成功、か…チィ!』 『えぇ、なにがですか?』 『え!?い、嫌なんでもない。では向こうで待機している兵が測定するからさっさと行け!』 『はい!』
…と言われていけば腕立て、腹筋、背筋、持久走をして終わりだ。それだけでいいのか普通?
「まぁ残念だったな?オメェ結局2軍なんだろ??」 「でも、2軍からでも1軍との試合で成績のいいものは1軍にあがれるらしいし…大丈夫ですよ!」 ーーなワケねーだろこの坊ちゃんは…ーー 「へ?坊ちゃん?誰のことですか?」 「!!!オメー、何て言った?」 「え、だから今倉持さん、坊ちゃんって…」
倉持は驚愕した表情で小浪を見下ろす。そして、顔を伏せたと重うと今度は顔を上げて高笑いを始めた。
「はーはっはっはっは!!この坊主、意外と覚醒しやがるかもしんねーなぁ!!」 「え、覚醒ってなんですか!?…ってそれよりも俺のこと坊主ってなんですか!!これでも2…」 「あぁ、年齢はもうとっくに聞いたよ。それよりもこれでお前にもっと興味もったぜ。これからもよろしくな。」 「ァ、はい。よろしくお願いします…。」
それ以降、倉持さんは何も話さなくなり、ふと目を離した瞬間に消え失せてしまった。 ぞっとする殺意を残して… そんなわけであっけなく俺は「ブラックバタフライズ」の2軍への入隊が決まった。1軍採用の人間は俺以外でも誰もいなかったようだ。 そして俺は、医務室行きを命じられた人とまた姿を合わせることは今後二度と無かった…。
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