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しあわせ島奇譚 作者:mituki

第10回   第10章
医務室からでて5時間が経過した。野球房専用グラウンドに屈強な囚人、10数人の男が集まった。その前にマコンデがお立ち台に登り、一つ咳払いをして話し出す。

「いいか貴様等、今から採用試験を行う!採用人数は6人!1人は一軍採用、後の5人は2軍採用だ!採用されなかった奴は医務室へ行くこと!では右のものから始め!」

俺は今一番左にいるから倉持さんの言う通り俺を審査しないつもりか!それにしても不採用者がなんで医務室に行くんだ?
小浪が悩んでいると突然グラウンドに派手な迷彩柄(色が赤と黄色なので役に立ってない)のダンプカーがマコンデ目がけて突っ込んできた!

「な、何だ!?」

マコンデ、囚人そろっては驚いてしりもちをつく。
砂埃が立つ中、ドアが吹き飛びそうな勢いで中から男が飛び出した。

「おぅオメーラ!やってンじゃねーか!せいぜい頑張んなよヒヨコども!」

倉持さんだった。まかせとけっていったけど何をするつもりだろうか??
倉持はマコンデに近づいていく…するとその瞬間!

ガシィ!!ギリギリギリギリ…

「グ、グアアァァ…く、倉持!き、貴様副所長のわたしに何を…!!!」

突然こめかみを掴んで自分の身長以上に持ち上げた。そしてグリグリとK−1真っ青のタイガークロウをマコンデに浴びさせる。

「ぐぅ…や、止め…」
「あ〜?聞こえねぇなあ。それにしても疑問なんだけどよぉ?何で俺の小浪ちゃんが試験最後なワケ??それ相当のわけ教えてくんないかな〜?」

そう言いながら倉持はこめかみを掴む力をさらに上げる。マコンデは苦痛の声を上げた。

「ぐぅ!!き、貴様ぁ…所長のお抱えだからと言っていい気にのってるとどうなるか分かってやってるんだろうな…」
ーーーそれはオメーだ。この場でテメーの脳味噌をぶちまけてやってもいいんだゼ?オメーを殺したらそこらに潜んでる兵士が発砲するってか?やってみろよ。もはや俺に銃なんて玩具が効くとでも思ってンのか?おぉ??ーーー
「!!!!!ま、まさかあのときの実験は…」

あれ?なんでマコンデは独り言を言ってるんだ…そうか!超能力で話してるんだ。でもマコンデにはテレパシー能力は無いようだな。
にしても会話からしてやはりこの島には「人体実験」に関することがあるんだろうか?それならどんな実験か知らないが倉持さんの不思議な力や肉体の能力についても説明がつく…。

ーーーあぁ、覚醒したさ。貴様等は実験は失敗したが生きているという特例で俺を生かしていたが俺はとっくに覚醒済みだったのさ。さぁ、言うことはやったぞ…早く小浪ちゃんの番にしてくれや。俺の気が短いのをお忘れかな?ーーー
「…分かった。しかし、こいつが不採用になったからといって暴れるのは無しだぞ?そっちがその気ならこっちだって…」
ーーーそれでいいんだよ。俺だって小浪ちゃんの実力を見にここに来たんだからよ。そんじゃ頼んだぜ?ーーー

倉持はテレパシーで一通り話し終わるとマコンデを放り投げた。そしてのたうつマコンデを背に小浪に近づいた。

「おう小浪、ちゃんと話はつけてやったぞ♪」
「あれが話しと呼ぶんですか?」
「俺の中ではあれは『お願い』だぞ??」
「…倉持さんはけっしてボッタクリバーに行かないで下さいね、死人が出ます。」

そう会話しているとそのうちにマコンデが気を取り直したようだ。そしてまた咳払いを一つして、俺に向かって叫ぶ。

「…では、監視員の交渉によりさっきの整列の状態から左端から順にやっていく!小浪、準備をしろ!」
「…はい!」

とうとう試験だ…そう言えば運動神経はいいけど野球始めたのって和桐工場入ってからだっけ…すっかり忘れてた…。
まぁ、俺は運動神経いい方だし、どうにかなるか???悩まずに一気にやろう!

「一番小浪!試験を開始する!」

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Novel Editor by BS CGI Rental
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