7 もう何度目になるか分からぬ分岐点が立ちはだかる。俺は地図に目を通した。 「……こっちだ」 マキを促し、右へ進む。 「この先の階段を下りると、そこがゴールになってるはずだ」 「承知した」 その言葉通り……ほどなくして、下り階段が目に映った。 「やっと……着いたか」 息を切らせながらもスピードを緩めず、ただただ走る。このフロアには魔物もいないみたいから、気分的には少し楽だった。 卒業試験場の最難関と言われる巨大迷路。地下の幾層にも渡る多重構造の作りになっており、挑戦者を欺くのには十分なトラップと言える。 俺とマキはかなりの時間を費やして、この迷宮を抜け出した。 ここまで来ればもう少しだ。何しろ、シギがいるのはこの真下の小部屋なんだから。 巨大迷路には、幾つかのゴールが存在する。各々のゴールは小部屋となっており、その全てに一方通行の地上への抜け道が隠されている。そこを通じて戻ってきた者こそが、試験の合格者と認められるわけだ。 しかし、俺達が行き着くのはそのいずれのゴールでもない。ゴールとは別にもう一つ用意された……試験時においてはハズレ部屋とされている場所に向かってるんだ。 「降りよう」 「言われるまでもない」 さらなる暗闇に続く階段を、まずはマキが下りた。遅れないよう、俺も後に続く。 長い階段を、俺達は数段とばしに駆け抜けた。 そうしているうちに……ようやく床が見えてきた。 最下層が近づいている。即ち、ヤツとの戦いがそこまで迫っている事になるな。 「戦の準備は出来てるかい、マキ?」 「くだらぬ事を喋るな。貴公こそ、万全の体勢で臨まねば命がないと思え」 やれやれ。相も変わらずクールだねえ。 「まあ、あんたの足は引っ張らないようにするよ」 「そうあってほしいものだな」 加えて、口の悪い女だ。 思わず失笑を漏らしつつ、俺は最後の一段を降りた。 周囲を見渡す。 さして広くもない空間だな。目と鼻の先には、金属で作られた大きな扉がある。 不慣れな感があるが、仕方がない。俺だって、ここに来るのは初めてだからな。 「この向こう側に、シギはいるのか?」 「肯定する。 予想以上に時間を浪費したが、まだ間に合うかも知れん。急げ」 間に合う?何の事だ? 「マキ」 「質問の類はこの先で答える」 そう言って、マキは扉に手をかけた。しかし、どうやっても開かない。 「中から鍵がかけられてるのか?」 「……無駄な事を」 小さく舌打ちをして、マキは居合いの構えを取った。 直後、矢のごとき一閃が繰り出された。 さらに、扉に亀裂が入ったところを、続けて一気に蹴り砕く。 実に見事な手際の良さだ。この扉を刃物で壊すなど、並みの剣士ではかなわない芸当のはずさ。思わず、俺も吐息を漏らしていた。 けれど……すぐに顔を引き締める。 気が付いたからだ。この部屋に漂う、異常な雰囲気に。そして、ヤツの気配に。 ヤツは……部屋の中央に位置する、祭壇の上に立っていた。 「誰でしゅかあ?」 敵も俺達を察知したようだった。あのふざけた面構えを、こちらへと向けてくる。 「ここで何してやがる?」 一歩前に進み出て、俺はその名を呼んだ。 「青紫のピエロ……いや、シギさんよ」 「おいらの名前を知ってるんでしゅか? そう言えば、どこかで見た顔でしゅね」 さも、俺の事を覚えていないかのように、いけしゃあしゃあと喋るシギ。あるいは、本当に覚えていないのかも知れないが。 「忘れたとは言わせないぜ。ターミアルでは世話になったよなあ」 「ターミアル……ああ、あの時にいた……」 「フィズ・ライアスだ。覚えときな」 どうやら本気で忘れていたらしかった。俺なんか、眼中にないって事なのか。 「そっちの方はおいらもよく知ってましゅよ」 次に、シギはマキに視線を移した。 「死戯……今日こそ貴様の首を取る」 「しつこいでしゅねえ、魔危しゃんも。おいらと同じ穴の狢のくせに」 「貴様と私は違う。 無駄話は終いだ。その命、この場で斬り捨ててくれよう」 マキは刀の柄に手をかける。 ムードはまさに一触即発。この俺でも、つまらない冗談を飛ばそうとすら考えられなかったくらいだ。 「数多の魔物を召還した貴様は、意識容量が底を突きかけているはず。討ち取るにあたって、これほどの好機もあるまい」 「果たしてそうでしゅかね?」 シギにはまだ余裕が見られた。状況としてはむしろ、不利な立場にあるにも関わらずだ。 シギも馬鹿ではない。何かあると思って、間違いないだろう。 「おいらをナメてかかるとどうなるか……教えてあげましゅよ」 「………………」 シギが背中の杖を取る。 俺もまた、両の手で輝きの剣を握りしめた。 マキの言葉を信じるなら、本気になったシギの攻撃は、少なくとも一つの城を跡形もなく吹き飛ばすほどに凄まじい。ただしターミアルの際とは違い、ここは地下だ。念のために結界を張ってはいるものの、戦い方を選ばなければ俺達自身が生き埋めを免れない。派手にドンパチやらかすわけにはいかないので、こちらにもやや分があった。加えて、俺にはとっておきの決め手もある。 俺は絶対にシギを倒す。そのためならこの命、くれてやっても構わない。 「来いよ、シギ」 「それじゃあ……始めるでしゅ!」 シギが杖をかざす。同時に、見覚えのある無数の暗黒弾が発せられた。 マキは抜刀する。襲い来る全ての攻撃を斬るために。 そして、弾は俺の方にも飛ばされた。 「……あんたの言葉、返してやる」 俺は得物を右手に持ち替えた。 暗黒弾の一つ一つを見極め、瞬時に宝石剣を振るう。 「俺をあんまりナメるんじゃねえ」 攻撃が終わるまで手を止めず……結局、俺は一撃も喰らう事なく、やり過ごせた。 輝きの剣のおかげさ。魔法に対して耐性のあるこいつがあったからこそ、俺にも魔法を斬る事が出来たんだ。 「……少々、過小評価していたか」 一応、誉めてくれてるのか。振り返らないままで、マキが声をかけてきた。 「斬るのは、あんたの専売特許じゃないぜ。あんまり言いたくないが、俺も剣聖の息子らしいんでな」 皮肉を込めて、返事してやった。 「なかなか出来るでしゅねえ。おいらも少しは本気でかかった方がいいみたいでしゅねえ」 そんな俺達を目にし……シギはなおもニタニタ笑ってやがる。 「その余裕……どっから来るのか聞かせてほしいね。あるいは、見た目通りの馬鹿なのか?」 「減らず口も今の内でしゅ。せいぜい、いきがるがいいでしゅ。 どうせすぐに思い知るんでしゅから。ここへ来るのが遅しゅぎた事を」 杖を背に戻すシギ。そして、両掌上に発せられる炎。 この魔法は……確か…… 「業火!」 考えるよりも早く、シギはそれを発動させた。まずは左手の分の攻撃が来る。 なるほど……火炎の威力は大した物だ。まともに喰らえばアウトかも知れないな。 ただ唯一の失敗は、以前俺に同じ魔法を見せている事くらいか。 「……見切った!」 俺は剣を振るった。 美しき剣閃が、燃え広がろうとする炎を真っ二つに裂く。 だが、まだ油断は出来ない。第二段の攻撃が残っている。 「灼熱!」 続いて右手から飛んできた炎は、難なく避ける事が出来た。そのままの勢いで、一気に斬りかかる。 「ハッ!」 間合いを詰めて、隙を抑えた動作で切り上げ。そこから横薙ぎに転換させる。相手の身体がよろけたところで、止めとばかりに突きを繰り出そうとした。 だが…… 「これで……」 「楽しいでしゅ!」 咄嗟に俺は後ろに下がる。 直後に、祭壇の床から巨大な氷の棘が生えてきた。 そういや、こいつの魔法には溜めがいらなかったんだよな。俺もついうっかりと、忘れてたぜ。 「調子に乗りすぎるな」 おまけに、後ろから怖いお姉さんにたしなめられちまった。 「分かってるって。あんた達の化け物っぷりは。前の戦いで身に染みてるさ」 マキは無言でシギを指さした。 相も変わらず……シギの身体には、傷一つない。輝きの剣でぶった斬った手応えが、未だ確かに残っているにも関わらずな。 「見事な再生力だ。人喰い花の上を行くんじゃないか」 「あの力……すでに、手遅れだったかも知れんな」 独りごちて、マキは刀の柄を握った。そうして、やや前屈みの姿勢を取る。 「手伝うぜ」 俺もまた『包め』と一喝。《具を包む真空の矛》を発動させた。 「生半可な志を抱くならば、手出し無用だ」 「剣を持ってる時なら……俺はいつだって本気だぜ」 マキと並び、俺はシギを一瞥した。 「死戯は召喚魔法を多用している。意識容量も底を突きかけているはずだ。 しかしながら……先ほどは、十八番である《業火灼熱無限大》をも難なく発動させる事が可能だった。 貴公にも理解出来るか、この矛盾が」 「ああ。 あの野郎……意識容量も魔力も、マジに底なしだってのかよ」 祭壇上でなおも笑う道化に、俺は歯痒さを覚えていた。 人間の用いる魔法にも限界がある。自らの持つ魔力が伴わなければ、強力な魔法は扱えない。また、魔法を使える回数も、意識容量に比例してるんだ。 圧倒的な強さを誇るシギの場合、そのどちらもが無限大だとしか考えられない。 「当然ながら、私にも死戯にも越えられぬ壁は存在する。貴公との力の差も、所詮は器の違いでしかない」 「そう言われてもピンと来ないけどな」 「しかし……今の死戯は、明らかに私の知るそれよりも強い。単純に魔法の性能が向上しているに過ぎないとしてもな。 その理由は……この洞窟に秘められている膨大な魔力を、その身に吸収してしまったからだ」 「吸収……?」 そういや、聞いた事があるな。卒業試験場には、かつてのマスターの大いなる魔力が封じ込められている。そして、全てのトラップはその魔力を糧として作動しているという話を。 マキがやたらと急いでいたのは、そのためだったのか。 「死戯が魔力を吸収してしまう前に、ここまでたどり着くべきだった。 今の死戯の持つ力、もはや計り知れん。さる国の格言曰く、『男子三日会わざれば刮目して見よ』。まさに的を得ている。こうなっては、私とて勝利するのは容易ではないだろう」 これで……ますますシギを野放しに出来なくなった。 以前の段階で、シギは完成された強さを手に入れていた。輝きの剣を持つ前の俺では、てんで勝負にならなかった。 あの時よりもさらにぶっ飛んだ化け物。ここでヤツを倒しておかないと、新たな力で何をやらかすか分からないんだ。 それに……諦めるにはまだ早い。 「臆せぬのか?」 「今になってビビってどうするよ? 相手が化け物なのは百も承知だ。命捨てるくらいの覚悟は……俺にもある」 「大きく吠えたな」 ほんの少し、マキは表情を和らげた。彼女が俺にこんな顔を見せるなんて、初めてじゃなかったかな。 「今なら……まだ間に合うぜ」 「……?」 眉をひそめるマキ。 「この洞窟のトラップ……まだ作動していたよな」 「うむ。 ……!そうか、つまり……」 「ああ。まだヤツは、完全に魔力を手に入れていない」 もしもシギが全てを取り込んだとすれば、トラップは無効化されるはず。でも、そうなってはいなかった。 最悪の事態には、まだなっていない。今のシギならば、きっとどうにか出来る。 それに……俺には切り札がある。 「同時に仕掛ける。攻防共に怠らぬように心がけろ」 「合図はなしかい?」 「必要ない」 そうだな。 俺達の間にはリズムが芽生え始めてる。たとえ声に出さなくとも、次に取るべき行動くらい、すぐに読めるってもんさ。 改めて呼吸を整え直し……俺は地を蹴った。大きく右に跳ぶ。 「やっとお話も終わりでしゅか。 なら死ぬがいいでしゅよ!」 シギもまた、再び杖を抜いた。 出し惜しみはしない。限界まで、一気に飛ばしてやらぁ! 「飛べ!」 まずは剣の素振り。刃を包んでいた風魔法が矢となり、シギに向かって一直線に襲いかかった。 さらに後を追うようにして、俺自身も斬りかかっていった。 剣と魔法の同時攻撃。そうそう避けられはしないはずだ。 「小癪な真似を……」 身構えたシギの背後に走るは、研ぎ澄まされた刀の一閃。俺とは逆の左方向から、マキが居合いを仕掛けたのだった。 それでもシギには余裕があった。暗黒弾を撃ち、俺の魔法と相殺させ……剣と刀の攻撃を流れるようにかわした。 「卑怯でしゅよ!」 「卑怯で結構。それも戦法だろ」 「貴様に卑怯云々と語る資格はない!」 マキが大きく跳んだ。 天井を蹴り、その勢いでシギに向かって落下する。その時点で、すでに手は柄に添えられていた。 上からの奇襲か。考えたな…… 「殺す!」 「危ないでしゅねえ」 繰り出された一刀を、シギは杖で退けた。 そこに、 「吹き荒べ!」 と、構成を編み終えた俺の魔法が襲いかかった。 「光力!」 詠唱を必要としないマキも、続けざまに天の魔法を展開させた。指先から光熱波を飛ばすといった、俺も知らない魔法だ。 「うざいんでしゅよ!」 その身に双方の魔法を受けつつ、なおもシギは暗黒弾を放った。身体に対する気配りを完全に忘れた捨て身の行為、まともな人間にはとても真似出来ないだろう。あくまでも、驚異の再生力を備えるシギだからこそ、こなせる業なんだ。 だが、俺はすでに暗黒弾を見切っていた。 「どんなに優れた魔法であっても、そう何度も何度も見せるもんじゃないぜ」 開いた右手で剣を振り、俺はその全てを斬り裂いた。マキの方も、全く動じていない様子である。 「行くぜ!」 そのままの勢いで、俺はシギに狙いを定めて突進した。可能な限り素早く、魔法を構成する。 よし、何とか間に合うか。 「包め!」 相手の懐に飛び込む直前に、俺は風の矛の具現化に成功した。 「これでも……」 「待て!離れろ!」 突然に、マキの声が耳に響く。 「何を……グッ!」 考えるまでもなく、彼女が何を言いたいのか察する事が出来た。 激痛が身体を走る。 俺がシギの胴を薙ぐ前に、ヤツの拳が俺の腹部にぶち込まれていた。それもただのボディーブローじゃない。手に闇の力を纏っての、重い一撃だった。 しまった……さっきの暗黒弾は、陽動だったのか。 破壊力を収束させている分、威力はこちらの方が上になる。事実、前に球を受けた時よりも、ダメージは大きかった。 輝きの剣を支えにして、無様に倒れるのを防いだのも束の間の話。続けざまに顎を蹴り上げられ、吹っ飛ばされてしまった。 「世話を焼かせるな!」 祭壇から転げ落ちたところに、マキが駆け寄ってきてくれた。 「……悪い」 言葉と共に、血が吐き出される。臓器に痛手を喰らったのか。ろくに喋る事すら、ままならない。 「口を閉じていろ。直に終わる」 マキは、俺の腹に掌をかざした。 治癒魔法か。……やはり、ターミアルで俺の怪我を治してくれたのも、彼女だったんだ。おそらくは天の魔法か。俺の使う《癒しの風の息吹》とは比べ物にならないだろうな。 しばし意識を集中していたマキであったが、ふと表情を強張らせて面を上げた。俺も出来るだけ身を起こし、その視線の先を追った。 「これで終わらせるでしゅよ」 祭壇の上で……シギが再び両手に炎を灯していた。 《業火灼熱無限大》。ヤツの手にある炎は、これまでよりも遙かに強力だった。 あれで手加減してたってか?冗談になってないぞ。 「クッ……」 あのマキが焦りを見せた事からも、次の攻撃がどれだけヤバい物なのか想像がついた。ターミアル城を消し飛ばしちまうほどの力に、匹敵するかも知れない。 「まさか……洞窟の中で、あんな大技使うなんてな……」 「口を閉じろと言ったはずだ」 マキは腰を上げた。 「マキ……?」 「もはや刀では斬れまい。ならば、魔法を用いるまでだ」 「馬鹿っ……言うなよ。ここで、んな事したら……」 この卒業試験場など、ひとたまりもないに違いない。 「………………」 マキは答えなかった。 いけない。これでは、ターミアルの二の舞になる。しかも、あの時とは全く状況が違うんだ。 止めようとする。でも…… 「業火!」 それよりも速く、シギは動いていた。 こうなれば……一か八か! 俺は、身体の事も忘れて立ち上がった。途端に、口の中に鉄錆の味がこみ上げてくる。 血を吐きながらも、俺は剣を片手に《業火灼熱無限大》の一発目に飛び込んでいった。 燃え盛る炎の中に、刀身を捧げる。 「……ここで……抑えれば」 苦労して構成を練り、風の力を剣に送り込む。少しでも、威力を緩和させるために。 「無駄でしゅよ。 灼熱!」 シギの咆吼と共に、二発目が来る! 俺はタイミングを合わせて、今度は左手をかざした。 「させるか!」 強引に炎を掴み、魔法を発動。 「何……!」 「これは……意外でしゅねえ」 マキとシギ、両方から驚嘆が漏れた。 俺自身の風の力を注いで、火炎を無効化させる。危険な賭けであったけど、今の俺に出来るのはこれしかなかった。 「今だ、マキ! 炎を斬ってくれ!」 マキの方へと向き直り、剣と左手を掲げる。俺が炎を抑えている状態であれば、マキにも斬れるはずだ。 だが…… 「それでは、貴公も」 「構うな! 言ったはずだ、剣を持ってる時なら、俺はいつだって本気なんだ!」 叫んだ直後、喉の奥から血が溢れ出た。 いかにマキの魔法とは言え、あの程度では完全回復しなかったか。こいつは……急がないとな。 「………………」 マキは構えを取った。 「貴公の覚悟、しかと受け止めた」 柄を握り、抜く。 それを確認するのと同時に、俺は背中に熱い物を感じていた。 「なっ……!」 しまった、シギの暗黒弾か! 「さあ、そろそろ死ねでしゅよ!」 シギは杖を通して暗黒弾を連射した。無論俺に逃げる術などない。 「ガ……クアッ……ハッ……!」 的にされて喘ぎ苦しむ俺の前に、剣圧が迫っていた。さっきのマキの一振りだ。 最後の力を振り絞って、俺は輝きの剣と左手を剣圧の元に捧げた。 この……炎は、絶対にこの場で防ぐ! 「……ライアス!」 緊迫したマキの叫びもほとんど耳に届かなかった。 そして……剣圧が炎を薙いだ。さらには、俺の左腕も共に。 「……!」 もはや立ってはいられなかった。俺はその場に倒れるしかなかった。
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