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| 幼馴染み、と言うのはいいものですね。付き合いが長く、お互いのことを深く知っているだけに、その絆もまた強いものなのでしょう。ものごころつかぬ頃からの付き合いともなると、尚更でしょうか。 でも、人生長い目で見てみれば、どんなに仲の良い者同士であっても、すれ違ってしまう事もあるようです。中学生という多感な時期においては特にそうなのかも知れません――
 
 
 
 第一話 どうして誘ってくれなかったの?
 
 私と祐子(ゆうこ)は幼稚園からの幼馴染み。どちらも一人っ子という事もあって、昔から姉妹のように仲が良かった。どこかに遊びに行く時もいつも一緒。喧嘩だってほとんどしたことないくらい。
 
 だけど……どうしてだろう?最近になって、祐子の態度が妙に気になりだしたの。いつもベタベタされてるみたいで、正直ちょっとウザいかもしれない。
 
 
 
 中学校で過ごす昼休みの時間。教室に戻ってきたところで、私はいつものように祐子に声をかけられた。
 
 「ねえ。どうして声をかけてくれなかったの?」
 
 「………………」
 
 ……まただ。こうやって、祐子は何かとベタベタしようとしてくる。
 
 「私達、どこ行くのも一緒だったじゃん。それなのに、親友に相談もなしで一人で行っちゃうなんてあんまりだよ!」
 
 冗談じゃないよ。あんまりなのはこっちだってば。
 
 「今度からは絶対一緒に行こ。ねぇ、約束だよ?お願い。一生の約束」
 
 ……ダメ。もう無理。我慢出来ない。
 
 胸に溜まったイライラを全部吐き出すように、私は大きく溜め息をついた。
 
 「……あのねぇ、祐子。聞きたいんだけどさ。
 トイレに付き合わなかったくらいの事で、何で私そこまで責められてるのかな?」
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