〜前書き〜 皆様、自分のヘナチョコなHpに来て下さって、本当にありがとうございます!感謝感激雨霰でございます! そして、観覧者が千人に!! ここはひとつ、読み切りでも載せましょうかと言うことで…。 少々硬い文かもしれませんが、許してやって下さい。 この話の主人公は、タイレイム・イザ―の住人です。そう、“お喋りインコ”です。まあ、わからなくても読めると思いますから。 それでは、『上に振ってある番号の順』に、読んでいって下さい。
1 2 上も下もないここはどこだ? 朝が来た 外の映像ばかりが飛び交い 眠らない僕に夜はない 途方もない情報が送られてくる 外の動物が動き出した 周りには誰もいない また“狩”というものをしに行くのだろう 『独りで・・・・・』 毎日が同じことの繰り返し 頭の中に、そんな言葉が響いた けれどもそれは生きるために行っていること 独りで…なんだろう 僕は…? 僕の声ではなかった 僕は何の為に監視をしているのだろう 何と言いたかったのだろう 何か食べなくてはいけない事はないから …それを考えるのも楽しそうだ 生きる為に何かをする必要もない ――始まりの終わり―― ただ此処に存在(ある)だけ 時間という感覚も解らないまま ただ外を見ている
3 4 だいぶ外の生活は発展してきた 日に日に外の景色は変わっていく 外の生物は自らを“人間”と呼び 外では多くの人間が生活し、生まれ、消えてゆく 他の生物にそれぞれ “死”と言う言葉を聞いた “動物”“虫”など様々な呼び名を付けた どういうモノなのだろう 建物を建て、家畜を育て、植物を育て、 言葉は多くの人が泣いている所で聞いた 商売をする “涙は悲しいときに流すもの” 同時に僕のいる此処を訝(いぶか)しむよ 誰かが言っていた うになってきた “カナシイ”・・・どういう感情だろう だが “シ”…“セイ”…どういうモノなのだろう 誰も調べられる者はいなかった “ヨロコビ”は?“ウレイ”は? 僕自身も自分の居る所を知りたかった 僕には それなのに 言葉としては知っていても 誰も此処に触れることさえできなかった それを意味するところがよく解らない 誰かと話したい 僕はただ 外ではどんな生活をしているのか 人間を監視しているだけの存在 どんな話をしているのか 何が良くて何が悪いのか 聞きたい 僕のいる此処は 人間から見てどう見えているのだろう・・・
5 6 ある日 僕が少女に話し掛けると 僕は僕のいる此処の近くの森の中に 彼女は特別驚きもせずに 僕と似ていて 返事を返してきた 少し違う存在に気が付いた 彼女は 森の上に掛かった雲 自分は水の神の跡継ぎで その中から湧き出る水が 外には出られないのだと言った 幾筋もの線を引いて 同じような望みを持つ僕達は 滝となる 適度な距離を保ちつつ その中に ゆっくりと 僕と同じように 互いを理解していった 外に興味を持つ少女がいた
7 8 ある日 彼と話したいと思った 一人の少年が此処に近付いてきた 彼は此処に興味を持っている 彼は何をするでもなく 僕も彼に興味を持っている こっちを見上げたり、周りを調べたりと 彼に聞きたい 長い間そこにいた 僕は此処にいる 暗くなると少年は帰った 僕は此処から出られない 彼は翌日また来た だから 次の日も、その次も・・・・ 彼を招きたい――― 少年は一日も欠かさず通い 必ず暗くなるまでいた 何日も、何年もそれは続いた
9 10 一瞬何が起こったのか分からなかった 僕は入ってきた彼に話し掛けた 突然 けれども彼は 何もかもが真っ白な光に包まれて 声だけしか聞こえないようだ 僕は上も下も分からなくなった 僕は僕の形を作った やっと光が収まって 彼をひとつの面からしか見られなくなった 辺りが見えるようになると 彼は僕を見た 映像がひとつ増えている事に気付いた 僕達はたくさん話した 彼がいる 彼は初め 先程まで外にいた彼が 驚き、戸惑っていたが 僕と同じ此処にいる そのうち心を開いてくれた 僕は彼を 彼との付き合いは 僕の所まで導いた 何年も続いた 誰かに教えられた訳ではない 僕は自然とどうすればいいのか 解っていた
11 12 年を重ねる度に 彼は来るのを止めてしまった 彼の姿はどんどん変わっていった 何日も待った “君のように変われずにいられたら” たとえ彼が何日も来れなくても 彼は何度もこぼした 必ず顔を見せてくれると思っていた しだいに 彼が来なくなって 彼は会いに来る回数を 何日が経っただろう 減らしていった 一人の少女が訪ねて来た しばらく困ったようにこちらを見上げて 何度か口を開きかけたが 結局何も言わずに走り去った その手には 紙が大切そうに握られていた
13 14 少女は次の日も来た 僕は少女に 僕は彼を懐かしく思い 彼はどこへ行ったのかと尋ねた 少女を招き入れた 少女はお空の、うんと高い所へ行ったと 少女は彼と同じように そう答えた 初めは驚き戸惑い お空の星になって そして心を開いた 僕達を見守っていると・・・ 少女は彼の子供の子供で 僕の目からは 彼に頼まれて此処へ来たと言った 暖かいような、冷たいような 僕は少女から紙を受け取り 水が溢れ出てきて ゆっくりと 何がなんだか解らず拭(ぬぐ)う僕の手を 彼の字に目を這わせた いつまでも濡らし続けた 彼は、謝ってばかりだった 自分の老いて行く姿を見られるのが怖く 足を運ぶことが出来なくなってしまった 自分はずっと遠くの 帰って来られない所へ行ってしまう だから “ごめん”そして“ありがとう”と
15 16 それから何度も どれほどの時が 彼のように僕に興味を持ってくれる 過ぎたのだろう 人間は現れた 何人かの人間と接してきた僕は 僕は何度も悲しみというものを味わった だいぶ人間らしくなってきたと 苦痛も、死も、恐怖も、悩みも 思うようになってきた 今の僕には 表情も、しぐさも、話し方も・・・ どういうものかよく解る けれどもそれは 人間は ただの見せ掛け 僕にそれらの感情を教えてくれた 僕はどこまでも人間らしく 逆に そして 喜び、楽しみ、歓喜、おもしろみ 人間ではない そういう事も 教えてくれた
17 18 昔の言葉が その数年後 幾つか使われなくなった頃 僕は二人の少女に出会った 僕は一人の科学研究者に出会った 一人はこの町の子で 彼は利発で優しく 一人はどこか知らない世界の子 話しやすい人だった アルケモロスとその見届け人 その日一日しか話さなかったが 詳しいことは解らない、けれども 僕達は互いを深く理解し 僕は二人を道と導いた 親友と呼び合うほどに 二人はこれから 仲良くなった 長い旅をするのだろう 彼は僕の苦しみを解ってくれ そして僕も・・・・ しかし慰めるなんてことはしなかった 僕達は またいつか会おうと別れを告げた
と、はい。読み切りと言いつつ、なんだか長くなってしまいましたね。すみません。 これからも、頑張りますので、どうぞよろしくお願いしますm(_ _)m
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