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ノストイ〜帰還物語〜第三部 作者:紫苑璃苑

第26回   XI-10

・・・


 泡の膜の中で、わたしはナギに事の始まりから話した。

 実は、最初に船が傾いた時、オーケアニテスの声を聞いたのだ。そこで、タイミングを計って彼女が作ってくれた膜の中にダイブした訳だ。コーダの意表を付くためでもあったし、コーダ一味を一度に戦えなくする為でもあった。
 ガドガ達に“伏せて”と叫んだくだりに来ると、今まで黙っていたオーケアニテスが付け足した。
『裏切り者、水縛りかけた』
「――え?あ、これがオーケアニテスの声?」
どうやらナギにも聞こえたらしく、片耳を押えて驚いた。そして、いつものように質問タイムに入る。
『水縛り――私 睨む。人間 硬くなって動けなくなる。それ、水縛り』
ナギは、人為的な金縛りのようなものね、と納得した。

「・・・・あっ!!」

 そういう事だねとわたしも頷いて、しばらくした後、ナギが突然声を上げた。
「どうしたの?」
「セリナ、あなたのワグナー・ケイ、盗られたでしょう!?取り返してないんじゃないの!?」
「ああ、何だ。そのことかー」
ナギが忘れ物でもしたんじゃないかと思ったわたしは、ほっと胸をなで下ろした。
「何をのん気に言っているの!あぁ、どうしましょう。海の底に落ちてしまっていたら、どうやって探せばいいの?仮に、コーダさんが持っていらしたとしても、素直に返してくださるかしら」
「あのさ、ナギ――」
「あぁ、オーケアニテスさん、先程の船まで戻れますか?もしケイが海の底にあったら、手伝っていただけますか?」
「ケイならここにあるよ」
「そうよ、ケイがおここにあれば、こんなに慌てる事は――」
「だから、あるんだってば」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・え?」
あんなにオロオロ顔を青くしていたナギが、ピタリと歩き回るのを止めた。
「あるの。ちゃんとここに。あれはフェイク――じゃなくて、ニセモノ。レジンの時、ケイの入ってた袋に石コロ入れたでしょ?その時のまんまだよ?」
わたしはゆっくりと、パニックになりそうだった彼女に言い聞かせた。ナギはキョトンとした顔で見つめてくる。
「・・・・・・ニセモノ?」
「そ」
「本物は?」
「ここ」
ニヤリ、と腰の袋を叩いた。
「・・・!!そうよ!そうだわ!私たち、レジンで交換したばかりじゃない。嫌だわ。私、すっかり忘れていて・・・」
ナギはやっと理解して、ペタリと座り込んだ。そして、風船の空気が抜けていくように長く息を吐き出す。
「ああ、もう。焦って損したわ」
「ま、たまにはそんな事もあるっしょ」



「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」



『疲れた?』
「だね」
「えぇ」


 そのままゴロリと仰向けになる。
 海の中は恐いくらい真っ暗で、その中を赤い光がフラフラと漂っていた。生き物なのか何なのかはわからないけれど、昂ぶっていたわたしの心を不思議と静めてくれた。

 ウェーアの瞳みたいだ・・・

 彼の顔を思い出しながら、わたしはゆっくりとまぶたを閉じた。









 〜あははは・・・〜
  はいはい始まりましたね。
  え?なにが?って・・・そりゃあ自分が皆様に土下座するコーナーがって感じ?(懐かしや、高校生の流行口調)
  えー・・・今回は、ですね。そのぅー・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
すみませんでした!サボりました!正直に言います!サボタージュです!!ダメダメなマダオです自分はっ!!
  お詫びといっちゃあ何ですが、今回は二つ続けて更新しますから許してくださいお願いしますm(_ _;)m
  
  っつー訳で、新章突入いってみよー!!   (無駄にテンションたけぇー)

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Novel Editor by BS CGI Rental
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