〜注意書き〜
この話は、夏!!=怪談という安直な考えの元で書かれています。 あまり恐くないかもしれません。 ンが!
チロッと流血モノが含まれていますので、そういうのが苦手な方、不快と感じる方はおやめください。
それでも“どーんとこい!!”っちゅー方はどーぞ!!
これは戦時中、日本国内によく出回った話だ。
とある病院の中。 院内は負傷した兵士で一杯だった。
そんな中、一人のそこそこ重い怪我で入院した兵士が、肺を患(わずら)った重病患者と同室になった。 彼は、他の同室者からとある噂を耳にする。それは、“遺体安置所から夜な夜な、奇妙な音がする”というものだった。
ある日の夜。 彼は夜中にトイレへ立った。そして、その帰りに―――
遺体安置所で、奇妙な音を耳にしたのだ。
それはピチャピチャとも、クチャクチャともつかない音で、汁気の多い何かを潰しているような音だった。 背筋に寒気を感じながらも、彼は恐いもの見たさで部屋を覗き込んだ。
すると―――
彼と同室の、肺を患った重病者が、死体を貪り食っていたのだ。 腹にかぶりつき、血をすすり……それは一心不乱に死体に喰らいついていた。
彼は恐れ慄(おのの)き、慌てて病室へ駆けずりこんだ。 布団を頭から被っても体の震えは止まらず、冷や汗が流れ出る。
やがて
ハァ ハァ と荒い息づかいが、廊下から近付いてくる。 すっと戸が開けられる。
病室に戻ってきた重病患者は、端から一人ずつ寝ている同室者の顔を覗き、“お前か お前か”と言いながら、ゆっくりと彼に近付いて来る。 ひとり。また、ひとり…
ついに―――
バッと布団が引き剥がされた。 口の端から血を滴らせた重病者はにやぁっと笑い、
見たなァ
翌日。その病室からは、彼の姿が消えていた。
〜久々だぁ〜 どうも。暑い日々をいかがお過ごしでしょうか?自分はバテております。
さて。今回のssなのですが……これは自分の尊敬する『京極夏彦』さんの本の説明部分に載っていたお話です。自分なりに付け足したりしてあるので、ちょっと違うかもしれません。 で、戦時中――あ、ネタばらしになってしまうかもしれませんので、構わない方のみ、先をお読みください。
――この話の時代、肺病には人間の生き血や、死にたてほやほや(あまりいい表現ではありませんね。丁寧に言うと“新仏”です)の死体を食べると病に良いという迷信があったそうです。そういう所から、このような怪談話ができたのでしょうね。
時間が経つと、時代に合わせて少々設定が変わっているようです。墓地だったり、一人一人“お前か”と聞かなかったりと。それでも全体的には変わらず、落ちも同じようです。 口で伝わって行くものには時代がわからなかったり、どれが元ネタなのかわからないものが多いですが、それを絶やさず後生に伝えいけたらなぁと思う今日この頃でした。
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