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ノストイ〜帰還物語〜 作者:紫苑璃苑

第40回   三百人突破記念!ってか早いよ夢の話3
〜ある日の夢の話〜


 もしかしたら、最初から嫌な感じがしていたのかもしれない。


 その日は、いつもと違って4両編成の電車が、2.5両だった。今日に限って、黒の会議をしながら黒の集団が乗っているらしい。私の前を、皆一様に黒いとんがり帽子を被って黒いローブを着ている人たちが通り過ぎてゆく。迷惑だなと思いながら私は、名前を知らない親友の彼女と、ホームに刻まれた数字、4番から2.5まで移動し、到着した列車に乗った。

 座席は四つずつのペアになっており、彼女は乗車口を背にした席に着いていた。私も進行方向とは逆の彼女の隣に座り、ふと前のボックスを見る。そこには、宇宙人っぽいお面を付けた人が、黄色い眼を光らせながらこっちを見ていた。その人の斜め横の(窓を背に座っている)人は、文庫本を音読しながらニヤニヤ笑っていた。
 通路を挟んでは、中学時代のクラスメイトの男子が数人、ダベっている。その中の一人が、お前もこっちに来いよと言うと、隅のほうで一人席を離していた人が、座席をスライドさせて彼らの仲間に入っていった。

 そんな電車から降りた私は、親友の彼女と別れ、母の待つ宿へと足を向けた。

 宿のロビーには、5.6人の男女がくつろいでいた。その内の一人がほかの、どこかの部屋へと続くドアをくぐり、数秒して戻ってきた。彼はドアを開けた瞬間、ひどく不快な顔をしていたが、ロビーに入った途端にすがすがしい表情になった。

 この宿の空調は、特別なこう香が含まれている。それを長時間吸っていると、ロビーから外へは出たくなくなるのだ。このことを私は、前に夢で見たことがあったので、知っていた。そして、知っていれば不快感を覚えても振り切ることが出来るので、私は安全ということになる。

 部屋へ入ると私は、目の前に広がる光景に首を傾げた。どう見ても、宿の部屋というよりは個人の部屋にしか見えない。壁を頭に、部屋のど真ん中に置かれた青いシーツのベッド。窓際には勉強机があり、色々な日用品、雑貨などが並べられ、あげくの果てにはMDコンポまでもが置いてある。
 私は、ベッドの脇においてある少し低い机に並べられたぬいぐるみを一瞥して、眠りについた。



 ふと、真夜中に目が覚めた。いつの頃からか感じ始めていた嫌な感じが、強まっている。
 
――コン・コン・コン
 
部屋に、ノック音が響いた。私は目を閉じたまま、それが来るのを待っていた。

キイィィィ・・・・・・

ドアのきしむ音がして、それがそろり、そろりと入ってきた。

 嫌な感じは、倍増した。

 私は我慢できなくなり、うっすらと目を開けてそれを盗み見て――


「…母さん…」


体を起こして、石鹸の匂いを漂わせている母を迎えた。
「ちょっと、バス(入浴剤)買いに行ってくるから」
「へ・・・?ちょ、ちょっと待ってよ!」
私の制止にも耳を貸さない母の後を、慌てて追った。

 閉められたドアを再び開けた私は、まず母の居所を探す。母はすでに、他の階へ行く掛けばしごを半分以上登っていた。
「母さん!」
猛スピードではしごを駆け下り、私の部屋に続いているはしごにもたれかかる様にして掛けられていた別のはしごに手をかける。
 母の入っていった部屋に飛び込むと、母は寝巻きから外室用の服に着替えていた。
「母さん、行かないほうがいいよ、嫌な感じがするんだ。お願いだから行かないで!」
それでも母は支度をする手を止めようとはしなかった。
「…じゃあ、私も行く。だから待っててね、えっと・・・・ロビーで!」
「ロビー?」
明らかに嫌そうな顔をした。
「じ、じゃあ廊下!一階の廊下で待ってて、すぐ行くから!」
そう言い置いて、私はその部屋を飛び出した。

 廊下へ出ると、私は自分がどのはしごを登ってきたのか分からなくなっていた。
 掛けばしごは捻じ曲がった空間のように、あちこちに、色々な方向に掛けられていた。足を掛ける所が、床と垂直のものがあったほどだ。



 どうにか自分の部屋に帰ることができた私は、ドアを開けた瞬間――――




〜で、夢から覚めたと。〜

 どうも。読んで下さってありがとうございます。夢の話です。
 よもや、こんなに早くキリ番が訪れるとは思っていませんでした。今回も。
 と、言うか……早すぎです。そろそろ自分の夢のネタも尽きはじ――い、いや…うれしいです。ありがとうございます。だから、ネタが尽きても見放さないで〜!!(> <;)
 変な話でごめんなさい。

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Novel Editor by BS CGI Rental
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