■ トップページ  ■ 目次  ■ 一覧 

ノストイ〜帰還物語〜 作者:紫苑璃苑

第18回   V-5
※管理人の不注意でV-4の途中で投稿ボタンを押してしまった為、変なところで切れてしまいました。ご了承下さい。以下の文は、前回の続きです。本当に申し訳ありません。m(._.)m





「ラービニはここだね」
と、地図(ラービニはディバインと書かれている大陸の隅の方にある)を指しながら続けた。
「それで、精霊達は大体この辺りにいるんだ」
また指を鳴らすと地図に赤い点が点いた。しかもそれは、てんでに散らばっている。
 わたしは溜息をついた。何年かかるかなあ。まあ、どこに居るのかわからないよりは――
「って、あれ?精霊って七人いるんだよね。・・・五つしかないけど・・・」
「うん、そうなんだ。光と闇の居場所だけわからなくってね。あ、そうだ、くどいようだけどこの印は大体の位置だからね。細かくはわからないから、その周辺って言う事でよろしく」
「なによそれー」
使えないやつ。わたしはそっと心の中で呟いた。
「なにか、手掛かりはないのですか?」
珍しくナギが焦っているみたいだ。
「うーん。正確に、とは言えないけど・・・」
ディスティニーがぐずるので、ついつい、大声で
「「何でもいいから教えて!!」」
と、二人で叫んだ。
 たじろいだディスティニーは落ち着いて、と言うと自信なさげに口を開く。
「一人だけ、知ってるかもしれない人がいるんだけど・・・。えーっと、たしか名前はディムロス・リーズって言って、この間話したノインさんの息子さんだと思うよ。ウィズダムに住んでると思うんだけど――」
「その方に聞けばわかるんですね?」
「いや、絶対って訳じゃあ・・・ウィズダムに行くしかないよ。行けば彼が知ってるのか否かわかるから」
「脅してでも聞き出さなきゃ!」
「また、過激なことを言うんだねセリナ」
ディスティニーはそんな私たちを見て苦笑いすると、不意に湖の底に沈んでいたモノをすくい上げた。
「ところでお二人さん。ナギのお婆さんはこの事を知ってるのかな?」
「あっ」
そうだった。エナさんはわたしの事を旅人だと思っている。それに、ナギはどうするんだろう?彼女がいなくなったら、エナさんは寂しがるだろうし、もしなにかあったら・・・
「一度、家に帰ってみたらどうだい?今後どうするかゆっくり考えてみて、旅に出る事にしたんなら、行く前にここに寄ってってよ。それだけの時間はまだあるし。ね?」
彼はなだめるように言いながら精霊たちのいそうな場所が印された地図をくれた。わたしは素直に頷き、それを受け取った。


「・・・ねえ、ディスティニーって、人間?」

わたしは部屋を出る前に聞いていた。
「僕は何処にでもいて、何処にもいない存在だよ」
彼は言って、私たちを見送った。

     
      『不十分ナガラモ主ナものハ揃イ、ソレハ本格的ニ進ミ出シタ』

← 前の回  次の回 → ■ 目次

Novel Editor by BS CGI Rental
Novel Collections