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ノストイ〜帰還物語〜 作者:紫苑璃苑

第16回   V-3

 岐路につきながら森の景色を楽しみながら歩いていると、
「おや、君は確かエナさんのところのお孫さんだね。お友達と散歩かな?」
ヒョロリというより、がりがりに痩せている背の高い男の人が違う道から現れた。
「「こんにちは」」
二人であいさつするとその人は微笑みながらわたしの方を見て、
「こんにちは。そっちの娘(こ)とは初対面だね。俺はダーユ。よろしく」
そう自己紹介してくれた。わたしがどうも、と頭を下げるとナギは、
「ダーユさんは何をなさっていたのですか」
と聞いた。すると彼はあたり前のようにさらりと答えた。
「俺はいつも通りの仕事だよ。これから家に帰ろうと思ってね」
「え?ですがダーユさんのお仕事は―――」
「そういえば、さっき滝の方が光ったような気がしたんだけど、何か見なかった?」
ナギの言葉をさえぎってダーユは目を細めた。この人、すごく怪しい。下手に答えないほうが良さそうだ。
「え?そうなの?私たち奥の方にいたけど、何にも見なかったよ?」
わたしはできるだけ、本当にそうだったとみえるように努めてみた。ばれなきゃいいけど・・・
「ふうん。じゃあ、俺の勘違いかな。呼び止めて悪かったね。じゃあ、また」
「あ、はい。さようなら」








 「ナギ、あの人嫌いなの?」
わたしは、彼の姿が完全に見えなくなるまで待って口を開いた。
「うーん。嫌い、と言うより・・・あんまりダーユさんのいい噂は聞かないものだから。その、少し変わった所があるみたいなの。思い込みが激しいと言うか、なんと言うか・・・」「ふーん」
わたしの心の中で、何かが引っかかっていた。





家に着き、ナギと話し合った結果、まずディスティニーの所へ行く事にした。ディグニさんと喋っている間に、いくつか聞きたい事が増えたからだ。
 そういえば、ナギも行くって言っちゃったけど、エナさんにはなんて説明するんだろ?ま、何とかなるかな?

      

      『事ハ,ソウ上手クハ行カナイモノダ。何カシラノ障害ガアル』

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Novel Editor by BS CGI Rental
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