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「全く、君のおかげで獲物が逃げちゃったじゃないか。大した力もないくせに、よくも邪魔してくれたね」 「へっ。オレァ人の邪魔すんのが趣味なんでね。今後、気を付けろよ?」
俺が混乱の最中に駆けつけると、その中心で二人の男が睨み合っていた。一人は白い肌に俺と同じ絳い瞳を持つ男。もう一人は――
「レーシェルミルド!!」
背後でラズロが仲間に指示を飛ばす。絳目の男と対峙していた彼が、ゆっくりとこちらを振り返った。 「おやおやこれは……。お久し振りでございますね、ディムロス様?」 「レーシェルミルド……貴様、今自分が何をしているのかわかっているのか!?」 「ええ、充分に把握していますよ」 「エウノミアルの座を失う事になるぞ」 何故だ。何故、彼はこのような事を……。 「まさか。僕は何も失いません」 「何を―――」 何を言っているんだ。人々を導き、人々の生活を守る職に就いている人物が――― 「いえ、簡単な事です。刻印が消えても隠し通せばいい。次のエウノミアルが現れたとしても、消せばいい」 「正気か」 「いたって正常ですよ?が、強いて言うのならば、そうですね……僕にこんな感情を芽生えさせたのは―――」 周囲で松明が踊る。戦闘の声が遠い。俺と彼だけが取り残されたかのように…… 「お前だ」 「…………」 「お前が……お前さえいなければ、僕は頂点に立つ事ができた。孤児だった僕が!盗みを犯してまで僕に勉強させてくれた義兄(あに)を犠牲に、やっとエウノミアルになれたかと思ったら何だ。僕より年下の奴が僕より先にその座を勝ち取り、何の苦労もしないでのうのうと暮らしているじゃないか。卑怯な手を使って!!」 「卑怯な……?」 「聖なる石」 「どこで……それを……」 「いろんな文献を読んだんだ。そうしたら石の事が書かれていた。お前がそれを持っていることもな!僕はお前よりも優れている!剣術も磨いた!がむしゃらに勉強した!人々の幸せを願って、いつかお前を抜いてやろうと精一杯やったんだ。しかし、その努力はムダだった。いくら勉強しても、いくら腕を上げても、聖なる石を持つお前に勝つ事はできるはずがない!手が届きそうになると、お前はすぐに先に行ってしまう」 「……っ私は………私たちは…………」 「お前にはわからないだろう!何年も屈辱を受けてきた僕の気持ちなど、わかりはしないだろ!自分が住む島でありながらも、聞こえてくる名声は、全て貴様なのだ!僕を称える声は数える程しかない!」 「私は……」 ほとんど仕事で“力”は使っていない。しかし、今言ったとしても、彼に届く事はないだろう。 「お前が許せない!正当な方法で勝つ事のできない自分が憎い!!」 高い金属音が鳴り響く。俺の目の前に、たくましい背中があった。 「おいおいおい!何ボーっとしてんだよ!それでも俺達の血ィ引いてんのか!?」 「お前は……?」 俺と同じ絳目を持つ男だ。 「オルコンだ。お前、リーズの一族だろ?こいつ、どうするんだ?」 「同属……?」 「モグラ君?僕の邪魔をしないでくれないかな。そんなに死にたいのかい?」 聞いた事のない冷たい声が、オルコンを押し返す。 「誰がモグラだ?この根暗長髪!さっき邪魔すんのが趣味だって言っただろうが!てめぇこそビビってんじゃねぇのか!?」 子供の喧嘩じゃないか、これでは……。 「悪いけど、君と話している暇はないんだ。さっさと―――」 「待て」 「何だよリーズ」 「ディムロスだ。彼は、私に任せてくれ。雑魚では不満だろうが、手を貸してくれないだろうか」 「ちっ、しゃーねぇな」 オルコンが大剣を担いで離れる。私の知らない顔が、面を上げる。 「貴方は……」 「僕は、お前を殺してエウノミアルの頂点に立つ」 「……本気、なんだな……」 どんな怪我よりも、酷い痛みを感じた。
〜久々!!〜
お帰りディムロス! 出しちゃいましたよ彼。自分が気に入っているから(殴) それもあり、話しの展開にどうしても必要だったんで・・・。もやもやしたままでは終われませんから!いろいろとね?何についてかはご想像を働かせてください。次回まで。
補足として、どうしてレーミルがここに来ると突き止められたかと言うと・・・ ディムロスの家でセリナとナギがレーミルの話をしましたよね?その情報から、エウノミアルの“レーシェルミルド”という人物に似ていると思った訳ですよ。しかも、セリナたちのワグナー・ケイを狙っているという。(本来、エウノミアルは人々の代表として様々な仕事をしている訳で、犯罪を犯すことは断じて許されないんです。犯罪者になると、エウノミアルの証である刻印が消えてフツーの人になり、処罰を受けることになります。) レーミルが“レーシェルミルド”だという断言はできないので、密かに彼を見張らせたところ、何かを追って暗黒の島へ向かったという情報が入りました。嫌な予感がしたので、キーリスのラズロにも応援を頼み、今に至る・・・って感じです。
こんな長い補足を入れなくてもいいような文章を作りたかった・・・。今の技術ではこれが限界です。申し訳ない。ボキャブラリーも少ないんでね。もっとがんばれたらいいなぁ・・・。
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