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ノストイ〜帰還物語〜第4部 作者:紫苑璃苑

第10回   XIV〜暗黒の島〜
 ウィズダムを出航してから五日目。
 目の前には黒一色の島が見えている。ご丁寧にも、空まで暗い。ここにいるだけで気が滅入りそうだ。
「あそこは」
 舵をとっていたシアさんが、突然口を開いた。道すがら聞いた話だと、彼は昔からディムロスの友達らしい。エウノミアルになる前からよく一緒に遊んでいたようだ。いつも悪戯(いたずら)してたと、多くは語らないものの、懐かしさを楽しみながら話してくれた。その時とは違い、今は真剣な顔をしている。
「入ったら戻れない所」
「そう聞きました」
「……どうしても行くの?」
彼は何故行くのかとは聞かなかった。
「うん。やらなきゃいけない事があるから」
「そう。頑張って」
「うん。ありがと」
「ありがとうございました」
シアさんは、灰色の砂浜に私たちを下ろすと、手を振りながら島を離れていった。

「さてっと」
「本当に真っ黒なのね」
舟が見えなくなるまで待ってくるりと180度回転すると、土も草も黒々としている森を見据える。
 なんて気持ちの悪い島だろう。地図上で全体を把握しても、歪んだCの字形の島は、口を開けた生き物にも見える。
「どう行く?」
「そうね……この湖に向かって行ってみましょう。近くに山のようなものもあるようだし」
「了解。えっと…こっち?」
「逆よ」
指した指を慌てて反対に向けた。

 陽が落ちきる前になんとか湖に辿り着くことができた。思ったより面積は広くないようだ。森の中を通ってきたので方向感覚が狂いそうだったけど、ディムロスがナギに渡した非常食の中にあった方位磁石に助けられた。
「うわ……」
「まぁ……すごい、と言うより気持ちが悪いわね」
湖は赤かった。
一面真っ赤に染まっていて、モノトーンのこの島ではひどく映える。
「水筒の水を節約しようと思ったけれど、無理そうね」
「だね。なんでこんなに赤いんだろ?」
「さあ。けれども、ここは生態系が違うようだし、気を付けた方がいいわ」
「ふぁーい」

○○○

 朝日が差すと、湖はより一層赤く見えた。朝日と言っても、薄曇りだけど。季候が丁度いいのがせめてもの救いかな。
 再び黒い木々の間をぬって進む中、白い花を見つけた。他の色の花はないらしい。木やツルの先になっている果実を割ってみると、驚くほど真っ赤だった。食べてみようかとも思ったけど、止められた。
 やがて―――
「「…………」」
木々が途切れた。それの周辺だけ、きれいに何もない。無論、木が陽を求めて生えようとしても適わぬ願いだろう。何故かと言うとそれは、
「何かしら、これ」
「えっと……黒いピラミッド?」
そう、巨大なピラミッドによって地面が塞がれていたのだ。草が生える隙間もない。
「ピ?」
ナギにピラミッドの簡単な説明をし、話を戻す。
「でもさ、なんだってこんなものが森の中に?」
「さあ?けれども、これって明らかに人工物よね?……入り口とかあるのかしら?」
とりあえずぐるりを回ってみると、あっさり見つかった。
「入ってみる?」
「入らなきゃわからないっしょ!」
一歩、中に足を踏み入れただけで何も見えなくなった。自分の体さえも見えない、深い闇だ。
「何も見えないね、ナギ。明かりを……ナギ?――ナギ!?」
振り返っても見回しても、わたしの目に映るのは闇ばかりで、すぐ後ろにあったはずの入り口さえも見当たらない。





「―――っ!?ナギ!!」







 わたしは闇に一人、取り残された。











 〜新章突入〜
  です!
  ってな訳で、ナイスな発言パート2!


  昼前のとある場所にて――


  「今日昼飯どこで食う?」
  「ん〜……かっふぉ(カフェ)!!」

  



  「「ぎゃははははは」」
 

  真面目な顔して「かっふぉ!」
  
  さあ皆も言ってみよう!! Let's try!! あなたは笑わずに言えるかな!?
  
  わははははははは!壊れてきたぞ、自分!!これぞ言いマツガイ!!


お詫び――シリアスな本編にこんな寒いネタを載せてしまったことに、深くお詫び申し上げます。

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Novel Editor by BS CGI Rental
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