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WEISSE 作者:紫苑璃苑

第18回   嚆矢ーII

×××

 真っ暗闇の中、眼だけを動かして辺りを探る。こういう時、夜目が利くって便利だ。雨が止んで、月も出てきたからもっと見やすい。
(ルレイは・・・寝てるな?ぃよっし!)
寝付きがいい相棒を起こさないように、そろりそろり忍び足でドアへ向かう。
(それにしてもルレイ、細かったなー。これからちゃんと肉とか肉とか肉とか食わせてやらなきゃ!)
とか考えながらドアノブを探し当てると―――
『ここに厨房の残り物があるとは思えんがのぅ・・・どこへゆくのじゃ?』
(ぅげっ!)
フェイに見つかっちまった。足下に小さな影がすり寄って来る。
『のうのう、どこに遊びにゆくのじゃ?ワシも混ぜんか』
フェイは楽しそうに俺の肩に飛び乗ってきた。よかったー。怒られるのかと思ったから、ちょいビビリ。
「いいけど、ルレイには内緒な?」
『モチのロンじゃ!』
「・・・フェイ、それ死語だぜ?」
『ナヌッ!?Σ(・Д・)』

 ってな訳で、フェイと二人であの鍵の掛かった鉄扉の前までやって来た。
『何じゃここか。諦めの悪い男じゃの。そんなに中身が見たいのか?』
「フェイだって気になってるんだろ〜?何かいるのがわかってて放っとくなんてできねぇよ!」
あの時、中を透視してもらおうと思ってルレイを呼んだのに、あっさり断られちまったから余計に気になってた。っていうか、ハッキリさせないと怖くて寝れねえし。
『どうやって開けるつもりじゃ?その剣でも壊せなんだではないか』
「それがさー、あるんだなー鍵が」
俺はポケットから古びた大きい鍵を取り出した。
実はベッドルームへ向かおうと踵を返した時、後ろで物音がした気がして振り返ったんだ。そうしたら、この鍵が転がってたって訳。
『おかしいのぅ、来た時にはなかったはずじゃが・・・』
「がちゃがちゃやってる時にどっかから落ちたんじゃね?――とりあえず開くかどうかやってみようぜ!!」
俺達はドキドキしながら南京錠の鍵穴に鍵を差し込んで―――

カチッ

「開いた!――いくぜ?フェイ」
『うむ!』
ゴクリって生唾を飲み込んで、鉄扉に手を掛ける。
ギギギギギギギ・・・
古びた音をさせて扉が開いて、細い隙間から中を覗く。その途端、













べちゃっ






















「・・・・・・・・・」
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』



「『――――っ ギャ―――――――――――!!!』」




めめ、目の、目の前に、目ん玉がは張り付いて、きやがった!!
俺達は悲鳴を上げて飛び退いた。
「な、なんで目ん玉が単体で動いてんだよ!?」
『ししし知らぬわ!それより、早う閉めんとあ奴が―――』




カチッ





『・・・何の、音じゃ?』
「知らねぇけど・・・何か・・・やばそうなよk―――」




ガコンッ



「『えっ?』」
何か、奥の方で重そうな音がしたと思ったら、床が斜めになった。丁度鉄扉が坂の頂上になるように・・・。
「何なにナニ!?」
『こっこんな仕掛けがあるとは―――はっ!?ホムラ逃げよ!!』
「なんだよいきなり?」
『つべこべ言わず走らんか!!』
訳わかんねぇ!!
俺はとにかくフェイに従って坂を降り始め――――





ドカンッ!!!!




「今度は何なん・・・ギャ―――――――!!!Σ(◎Д◎;)」
嘘だろおい!!いきなりでっけぇ丸い岩が天井から落ちてきて、しかもこっちに向かって転がってきやがった!!
『はーしーれー!!\(>Д<)ノ』
「ギャ――――!!助けてルレーイ!!」

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Novel Editor by BS CGI Rental
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