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朝顔 作者:水野 美晴

第2回   A




【自転車】


目が回りそう。

何をそんなに急いでるんだい?

大好きなあの子の所にでも行くのだろうか。



今日は僕らが行く方向と違う方向に風邪が吹いている。

ごめん僕、昨日風とケンカしちゃったんだ。



赤い看板が見えてきた…

そこを左に曲がって3番目があの子の家。

僕はへいの前に立って、しっかりと帰りを待ってるよ。

そのかわり、後で話聞かせてよね。



ブレーキを鳴らし、スタンドを立てた。



そう、僕は自転車。



【白黒】


虚しく聞こえてくるテレビの音。

誰かテレビを観ている人たちに必死に呼びかけて…

自分の存在はテレビの中でもあると主張して…



きっと自分でも泣きたくなるくらい、

自分の存在に悩まされたんだろうなぁ。

きっとまだ探し続けている、

途中なんだろうなぁ。



目の前に白黒(モノクロ)の部屋の姿が目に映る…



虚しく聞こえてくるテレビの音。

父がビールを飲みながらリモコンでチャンネルを変えた。



【アロエ】


泣いて終われる恋ならば

何度でも泣いてあげる。

でも、終われないから

こんなに胸が苦しいのじゃないかしら?

それでもあなたは私に「泣きましょう」と言うの?



ほら、

アロエも可笑しそうに笑った。






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