3 暗闇
(暗い…。ここはどこだろう?) あたしは暗闇の中にいた。 (遠くから声が聞こえてくる―。) あたしはその声を頼りに声が聞こえる方へ歩いた。 「……………へ行くのか?…めよけよ。」 「俺の………変わらな…………だ。」 所々しか聞こえないが誰かが喋っている―。たぶん二人以上いるのだろう。 「痛っ!」 あたしは『何か』にけつまづいてこけてしまった。なんだろうと思い、その『何か』をあたしは覗き込んだ。 「やっ…―っ」 あたしがけつまづいた『何か』はもう女か男かもわからない人の死体であった。死体というより骸骨と言ってもおかしくないぐらいにやせ細っていて、手なんかもう骨だけのような感じだ。 あたしは恐怖のあまり、声が出なかった。あたしは死体から後ずさりをし、あても無く走った。途中で何回もつまづいたが、もう何も見たくはなかった。 「出口はどこ!?」 あたしはそう言ってから気がづいた。 (あたしはどこから入ってきたのだろう―?) ふと下を見ると、そこにはさっきあたしがつまづいた死体と同じような人が何個も転がっていた。
「……、…那!智那!起きなさい!!遅刻するわよ!?」 「…お母さん…。」 「お母さんなんて言ってる暇があったら早く朝食、食べちゃってよ。お母さん、今日友達と出かけるんだから。」 とぶつくさ文句を言い、あたしの部屋を出ていこうとする母にあたしは変な質問をした。 「…お母さん、あたし…生きてるよね??」 「…何バカな事言ってるの。それより朝食早く食べて、早く学校へ行かないと、あんた遅刻よ。」 バカな事か。それにしてもあの夢…リアルだった。思い出したら今でも吐けるぐらい嫌な夢を見た。あの死体も目の裏にキチンと焼き付いていて頭から離れてくれそうにない。そんなことを考えながら、ふとあたしは壁に掛かっている時計を見た。 (7時50分―。) 「やばっ!!」 あたしは急いで制服に着替え、パンを口にくわえて学校へと急いだ。
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