2 きっかけ2
教室に戻ったあたしと惷亮は、真っ先に華奈と中本祐馬の席へ向かった。 「なあ智那も今日俺らと同じ夢を見たらしいんだ!!」 いきなり智那と呼び捨てにされていた。普通だったら怒るところだが、そんなことよりも華奈と中本祐馬の反応が早く見たかった。 「え…。ちょっと待って。あたしは柏野くんと同じ夢を見たよ?でも、中本くんも見たの?」 中本祐馬も同じ事を言いたそうな顔をしていた。 「あ、そうか!二人には言ってなかったんだっけ。わりぃ、忘れてた。」 「松崎も同じ夢、見たんだ?」 「うん…。」 相当腹を立てたのか、謝っている惷亮を無視で中本祐馬があたしに質問してきた。華奈はそんな惷亮を見て苦笑いをしていた。 「夢の中で自分と似てる奴がいなかったか?」 あたしは一生懸命記憶を手繰らせていくと、そういえば自分と似てる『誰か』が泣いていたのを思い出した。 「…そういえば自分と似てる人が泣いてた。」 中本祐馬はあたしの答えを聞いてうなずき、華奈にも同じことを聞いた。 「あたしも智那と同じ。」 「決定だな。俺らは同じ夢を見てる。」 「ああ。」 さっき謝ったのに無視されたから惷亮は不機嫌そうに返事を返した。だがすぐに機嫌をよくして、 「これってすごいことじゃねぇ?もしかしたら俺らの他にも俺らと同じ夢を見た奴がいるって事だろ!?」 「それはないと思う―。」 ずっと黙っていた華奈が口を開いた。惷亮は「何で?」という顔で華奈を見る。 「…あたしね、今日でこの夢を見たの3回目なの。」 「え…?」 いきなりの華奈の言葉に思わず言葉が口から漏れてしまっていた。 「ごめん!さっきから言おうとしてたんだけどなかなかタイミングが掴めなくって。」 とさっきの様に真剣な顔ではなく、華奈は無理して笑っているみたいだった。 「それは、本当に今日俺らが見た夢と同じ種類の夢なのか?」 中本祐馬の質問に華奈はうなずいた。 「だってね、あたし3回とも同じ真っ暗な闇の中にいるの。最初はあんまりなんとも思ってなかったんだけど、3回も連続で見ると気味悪くって。」 「それって全部3回とも同じ夢?」 あたしの質問の内容に、華奈はちょっと言葉詰まったみたいだった。 「……違う夢。できればあまり言いたくなかったんだけど…しょうがないよね。」 と華奈はまた作り笑いをして話し始めた。 「1日目は今日みんなが見た同じ夢。2日目が地球が青色から黒色になる夢。3日目は…」 華奈は言いながら顔をしかめた。 「3日目はあたしに似ている『誰か』が死んでる夢―。」 「で、でもそれが俺らの他に夢を見ていないという理由にはならねぇじゃんか。」 「…うん。でも3日目の夢はこれだけじゃないの。小さい子、4人が一緒に遊んでる夢。」 あたしは華奈の言った「4人」という言葉を聞いてはっとした。 「だからそれが何の関係があるんだよ!!」 惷亮はまだ気づいてないみたいだった。 「まだわかんないの?惷亮以外はもう気づいてるよ。」 と華奈は哀しい顔をしながら言った。惷亮はまだ気づいてないようだったから華奈のかわりに、あたしが答えた。 「…小さい子4人ってあたしたちに似ている『誰か』の事だよ、惷亮。」
|
|