―あたしたちは何の為に生まれてきたのだろう?―
「今日は雨の模様です―。」 「智那ー!今日雨だって。中学校の入学式だっていうのに不吉ね〜。」 テレビの天気予報を見た母が大声で叫んだ。 「洗濯物が乾かないじゃない…。」 と文句をいいながら母は洗濯物を取り込んでいる。あたしはそんな母を見て笑い、母に「行ってきます」と声をかけてドアを開けた。 「お母さんももうちょっとしたら行くから〜!!」 ドアを開けた瞬間、母の大声が飛んできた。そしてあたしは笑いながら家を出た。
「第28回、入学式を行います…。」 マイクを通した声が体育館へ響く―。誰も一言も喋らないこの静けさが、またあたしを緊張させた。校長先生の話が終わったあと、皆が待ちに待ったクラス発表だった。 「クラスを発表します。今年は4クラスまであります。それでは、発表します。」 「1組―……富岡武……………盛岡翔大……………」 「2組―相生衣里…………倉野秋………………」 「3組―…柏野惷亮………中本祐馬…松崎智那…水野華奈………。」 「!!」 あたし、3組だ。 「えっと、松崎智那…ちゃんですよね??」 あたしはいきなり隣の子に話しかけられてちょっと戸惑いながらも「はい」と返事をした。 「3組の人ですよね…??」 「はい。そうですけど…何か?」 「あ〜!!良かった!あたしも3組なの。知ってる人いなくて…。あ!あたしね、一週間前に引っ越してきたばかりで。」 「…」 あたしはすごい勢いで話されたのでいきなりのお喋りについていけなかった。っていっても、もとから喋るのは苦手なのだが。 「あー!!ごめん。いきなりいっぱい喋っちゃって…。前の学校でも「あんた喋りすぎ」ってよく言われてたんだ〜。あたしね、『水野華奈』同じクラスだよ。これからよろしく!」 「うん。よろしく。あたしは『松崎智那』よろしくね。」 こういう雰囲気の中で『瑞紀中学校』の入学式は終わった。
あたしたちが同じクラスになったことも偶然なんかじゃないよ。きっと。
偶然なんかじゃない。 最初から決まっていたんだ。 それもずっとずっと昔から。
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