作品名:小さくても大きな命
作者:風下
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まず1番先に、やるべきこと。
和希君に、謝ること。
それから、
出来ればだけど、仲直りできたら、

一緒に、このミニトマトを食べよう。

唯ちゃんは和希君の家に行った。
ピンポーン…
いつもは素っ気無く感じるチャイムも、
今だけは何倍も、何十倍も、軽やかに聞こえる。
そして出てきたのは、
和希君のお母さん。

家の中に、あがらせてもらった。
そして、真っ先に和希君の部屋に行く。
……トントン
2回のノックをして、ドアノブに手をかける。
緊張した。
和希君は、拒絶はしないかと。
そして、思い切って中に入る。

和希君は、驚いたようにこっちを見た。
唯ちゃんは、ドアを閉めると、すぐに切り出す。
「あのね、和希君っ!さっきはいきなり泣き出したりしてごめ・・」
唯ちゃんの声は、和希君に届く前にさえぎられた。
「ごめんっ!」
「ふひゃっ?」
不意を衝かれた唯ちゃんは、変な声を上げてしまった。
そして、和希君の弁解は始まる。
「さっきは、ごめん。俺が唯ちゃんのミニトマトを、勝手に取っちゃったから怒ってるんだろ?だから…その…」


さっきからずっと、謝りたかった。


涙がまた出そうになった。
それを一生懸命堪えて、唯ちゃんも言う。
「ううんっ。いいの、もう。それより、私こそごめん・・・」
やっと言えた。
声が震えた。
でも、言葉になったはず。
ちゃんと、届いてるはず。
唯ちゃんが言い終えるなり、和希君は抱きついてきた。
「っっよかった。嫌われたかと思った…」

唯ちゃんの目線は、和希君の肩ぐらい。
大きいなぁ、と感じながらも、思い出す。
そうだった。
「和希君っ。一緒にミニトマト食べよう♪」

二人はめでたく仲直りした。
そして、ミニトマトの収穫をして
仲良く食べた。

その二人の顔にはもう、笑顔という表情しかなかった。
それは、二人にしか出来ない、

極上の笑顔。

この、世界が生きている限り。
この、愛すべき日々がずっと続きますように。
そう願うのは、欲張りでしょうか?



青い空。


青い風。


世界は、


生きる。


今日も、


明日も、


永遠に。
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