作品名:礼拝堂の奇跡
作者:りみ
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ほとんどが、死体を見て唖然とし、パニックを起こしていた。
そんな中で、佐藤は、タフと言うのか何と言うか、“驚く”だけで別に怖がってなかったし、庄治は元刑事なだけあって、驚くより先に捜査を始めた。
緑&つかっちゃんは、それなりに驚いてはいたが、連と一緒だったからか、一度死体を見たことがあったからか、そんなに驚かなかった。
連にいたっては論外だった。驚くわけがないし、死体をチラッと見て、後は部屋を見渡していた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・何か握ってる・・・・・・・」
「ん?」
庄治が見ると、郷田は黒いリモコンを握っていた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・さとーさん、これ持つ?」
「えっ、え、ええ!?リモコン!?あかんやろぉ、だって指紋ついてしまうで?」
「佐藤さん手袋もってなかったの?」
「あるで♪ウチ準備ええやろ♪」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


黒いリモコンには・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・針がついていた。
しかも、毒針。
「・・・・・・・・・きっと、昨日の夜6時にTVを見ようとして、リモコンを握ったら毒針を握ってしまって死んだと・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「そんなっ!!じゃあ、じゃあ一体誰が毒針を?」
「それは・・・・・・・わかりませんが・・・・・・・午後6時に死んだっていうことは間違いありませんね。だとしたら・・・・・・、あの時・・・・・郷田さんが部屋へ行った直後に席をはずした、盛岡さん、上野さん、桜木さんの三人が怪しい事になりますが・・・・どこへいってたんですか?」
「そんなっ!」
桜木が悲鳴のような声を上げる。
「疑うんですか?ひどいっ!!」


「・・・これ、本当に夜の6時に死んだのかな?」

《・・・・・・・・・・・・・え・・・・・・・・・・・?》

連の呟き声に一同がシンとする。
「おいっ、連、どーいうことだ?」
「だってさ・・・鍵かかってなかったじゃん。だから、6時より後でもいーんじゃないの?」

《・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・》

「それとさ・・・・・・・・・この人誰と電話してたの?」

《・・・・・・・!!》
悲しみ嘆く顔を――演技をしていた“カオル”が顔を上げる。
「電話の受話器が落ちてる」
そう。部屋の受話器が落ちていたのだ。
「むむむぅ・・・・・誰かと電話してたんですね」
「きっとそうですわ。主人は携帯を持ってませんもの。この電話は、部屋番号を押せばすぐに繋がりますわ。ロッジのように作られてますの」
「・・・・・・・・・なぜ受話器を戻さなかったんだ・・・・・・・・?・・・そもそも、あの時電話が出来たのは、食堂にいた有美子さんと星崎さん、オレと佐藤さんと連達を除いて・・・・・・・・・あなた方ですね」

あなた方――盛岡、上野、桜木、片山、上原、白鳥。
・・・・・・・・・・・・カオルはこの中にいる・・・・・・・・・?
「・・・あ、あの、僕たちに毒針を仕込めるはずないでしょう?だって、僕たち偶然この別荘に来たんです。片山さんのドジのおかげで!」
「あ、あははぁ・・・・・・・、で、でも!アタシたち本当に針なんか仕込めないわよ?」
「ですが、電話でリモコンを握るように誘導したということも?そもそも、郷田さんが死ぬ直前に話していたのは犯人の可能性が高いですし・・・」
「そんなのって!!」
こうして、しばらく討論は続いた・・・・・・・・・・・・・・・

***************************
「・・・・・ふふっ、佐藤さん、本当になりましたね」
白鳥が佐藤に言う。
佐藤は、もう見るだけでイヤだ、という表情で白鳥を見た。
「・・・・な、なんやのん、あんた?ウチに話かけんといてくれん?」
「まぁ、いいじゃないですか。美女と美男でしょう?」
「あんたに言われたない!あんた何自分のこと“美男”とかいっとん!?あんたみたいなのをな、“ナルスイー”っつうんや!!!」
「フフフッ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・威勢がいいんですね。・・・・・“連”ちゃん?やっぱり連続殺人でしょう?」
「まだ、“連続”やないやろ!?あっ、あんたまさか、これから連続殺人を起こす気か!?」
「まさか。フフッ、予感ですよ、予感」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


(ああ〜〜〜〜!!あかんっ!!あかんっ、あかんっ!!虫酸が〜〜〜!鳥肌がぁぁ〜〜〜!!)
(落ち着きなよ、佐藤さん)
(落ち着いていられるかいっ!なんなん、あの男!!キモイっちゅーねん!)
(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・確かにね)


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・まだわかっていなかった。
そう、“連続殺人”がおきるのだ。
第二の被害者は・・・・・・・・・・・・・・・心優しき、女性なのだ・・・・・

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