作品名:人形達の叫び
作者:りみ
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陸上部部室。
ここで、事情を知ってるマネージャーが1年、2年を校庭に出した。だって、夕紀たち関わりがあるのは3年生だし、あのリボン自体が“3年生用の陸上部のリボン”だから。リボンの色は学年によって違うから。「・・・・・まさか、この学校でそんなことが起こるなんて・・・・。・・・私、陸上部のマネージャーの、高石 幸子(たかいし さちこ)です」
高石幸子――美人で、黒のセミロングの髪型がよく似合う。

「・・・・念のため聞きますが、高石さんも、あのリボンは持ってるのですか?」
「・・・・・・・・・・・・・」
「高石さん?」
「えっ!?・・・あ、え、ごめんなさい・・・・・。・・・ハイ、私もあのリボンは持ってます・・・・・」
「そうですか・・・・」
そして、部室に残っていた3人に話を聞いた。

「・・・君は?」
「私は・・・、一宮 沙耶香(いちのみや さやか)です」
一宮沙耶香――大きな総合病院、“一宮大総合病院”の一人娘で、とてつもない美少女だ。茶色のキレイなポニーテール。大きく見開いた、キョトンとした感じの目。どこから見ても、男に人気が出そうな顔だ。

「君は、あのころされた3人達と関わりは?」
「・・・ありません・・・」
そこまで言ったら、幸子が口を挟んだ。
「そうですよ。一宮さんが、あの人たちと係わりがあるはずありませんわ」
「・・・・というと?」
「・・・一宮さんは、成績優秀で、1年生の時からずっとトップなんです。おまけに足も速くて陸上部の大会でもずっと1位で、それにこの子可愛いでしょう?・・・だから、わが校の“期待の星”と呼ばれているの・・・。・・・生徒会長も務めてて・・・、そんな彼女が、あんな問題児達とつるんでいるわけ、ないでしょう??」
「・・・はい・・・・・。わかりました」

続いて奥にいた女子。
「・・・・・君は?」
「・・・・・・・・・・・・・・私ッ・・・・は・・・・・・その・・・・・、東城(とうじょう)・・・・美希(みき)・・・です。」

途切れ途切れの言葉。かなり緊張しているようだ。
東城美希――見るからに気弱そうで、下を向いてる。こんな子が陸上部だなんて誰も思わないだろう。
「・・・・あの?」
「・・・・・・・ヒェェッ・・・・」
そのときに、沙耶香が口を挟んだ。
「あの・・・・刑事さん?美希ちゃんは・・・・・あの人たちにいじめられてて、そのせいでふさぎ込んじゃってて・・・・、・・・それに、人が死んだなんてことがあったから、怖がってるんです。・・・美希ちゃんに人殺しなんて出来るはずありません!!」
涙目で友達を庇っている。
沙耶香は優しい子だな――この光景を見れば誰もが思うだろう。剣淵も緑もつかっちゃんもそう思った。
美希にしても、こんな子に殺人なんて出来ないだろう――そう思った。
でも連は・・・・・、何かを感じてた・・・・・・・・・・。

「・・・最後はあたしかよ」
「ああ。・・・君は関わりがあったのか?」
「・・・・まぁ、よくケンカしてたよ」
この少女の名は、浅野 亜紀(あさの あき)――見るからに男っぽくて、ワイルドなショートヘアーで、整った顔立ち。美希と違って気も強そうだ。
まっすぐな鋭い目は、狼を思い出させる。
「・・・・ケンカ?」
「喧嘩っつぅか・・・・、・・・周りは皆あたしを見て逃げるけどさ、あたしは間違った事なんかしてねえよ。理由があるから喧嘩するんだ。・・・あたしが喧嘩するのは、あいつらが悪い事をするからだ。・・・・だからあたしは、自分が悪いだなんて思ったこともねえ。・・・それに、“殺人”なんて卑怯なまね死んでもゴメンだ。あたしは正々堂々とやるからな」

まっすぐな目をしている強い美少女――それが亜紀なのだ。
(この人は、ちゃんと本音を言えてる・・・・・・よかったね)
と連は思った。

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夕方。
パトカーの中に、剣淵、連、緑、つかっちゃんが乗ってて、会話をしてる。
「・・・犯人があの3人の中にいるとは、決まったわけじゃないんだがな・・・」
「確かにね。陸上部のリボンを盗んで罪をなすりつけようとしたかもしれないじゃん」
「・・・・・そう思ったが、部室の鍵はその部の人間しか持ってねえし、合鍵なんて作れない特別な鍵なんだ」
「フーン・・・・・。・・・・・やっぱり犯人はあの3人の中に・・・?」
「・・・何か信じられませんね・・・・、3人とも、いい人そうでしたよ・・・・」
「・・・・3人じゃなくて、4人じゃない?あのマネージャーも入れたら」
「マネージャー??・・・・まぁ、ありゆるかもな。けど、あんな美人が・・・・?」
「顔関係ないでしょ。なんか、“人形”みたいな人が“1人だけ”いた」
「「「人形?」」」
「・・・・ちゃんとした証拠はないし、勘だけだから、誰とは言えないけど・・・・・・、なんか、人形みたいだった。人の言いなりになって、自分の意思を持ってなくて・・・・。目が泣いてたし。・・・そういう意味ではさ・・・、あたしの“友達”はみんな言いたい事言うじゃん。つかっちゃんも。緑も、別にお人形って訳じゃないし。・・・だから、緑とかつかっちゃんは好きだよ」
「れ、連ちゃん・・・・!!私もです・・・・!!」
(・・・・その“好き”って・・・どういうことだ・・・・!?どういう・・・・!!!!・・・オレは・・・どうなんだろう・・・?)




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犯人は次の展開を考えていた。
(フフフッ・・・・、誰も私が犯人だなんて思わないだろう。私は“安全圏”にいるのだから・・・・ははは・・・・!!)
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