作品名:RED EYES ACADEMY U 脱走
作者:炎空&銀月火
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「パンッ」
塀を飛び越そうと踏み切った瞬間、足下でコンクリートが弾けた。
(くそ…! もう見つかった…!)
狙いを付けられないよう、ジグザグに走る。さすがのアカデミーの狙撃手も、凛の動きにはついて行けなかったようだ。しばらくすると銃撃が止んだ。
 その代わり、
「へっ…! 意地でも通さねぇってつもりか!」
彼女の周りに、戦闘服で身を固めた兵が十五人ほど現れた。
「どいてくれ。殺しはしない」
 低い声で忠告するが、兵士達は銃口を向けたまま、動かない。その内の一人が、突如発砲した。つられるように、一斉に銃撃が始まる。
「甘いな…」
 たくさんの銃弾が当たる寸前に垂直に飛ぶ。狙いをはずれた弾丸は、全て空しくコンクリートを割った。
 一,五秒後、着地。と同時にひざを曲げ、衝撃を利用して前に飛ぶ。
「銃弾は…」
 明らかに人間離れした動きに、兵士達がたじろぐ。いや、たじろぐ暇もなかった。
「当たらなきゃ、意味ねーんだよ!」
 叫びと同時に、十人ほどが一気に倒れる。一度の跳躍で、十人の急所のツボを突いたのだ。
 叶わないと悟ったのか、残りが慌てて逃げ出す。ふぅっと息をつくと、凛は門へ向き直った。
 門の高さは、大体八メートル。そこから三メートル離れたところに、彼女はいた。
「…よし」
 軽く助走をつけ、一気に跳ぶ。小柄な体は、あっさりと門を越えた。
「……!」
 越える瞬間、凛の目が大きく見開かれる。そのまま音も立てずに外に着地。
(門の上に…!)
 上を見上げると、黒いシルエット。身長、体型は殆ど自分と同じ。長髪を風にそよがしている。
 彼女が、門の上から一歩足を踏み出した。まるで、そこに地面が続いているかのように。
そのまま垂直に落下。凛の目の前に、降り立った。
「初めまして。五番目の本物」
 彼女が口を開いた。凛は固まったきり、動けない。何故なら彼女は、
「あなたを抹殺します」 
―凛にそっくりだから。


中書いてみな。
あー、やっと二人が邂逅した〜。確かこの話で一番書きたかったのはここだったような・・・。つーか個人的に凛より黎のほうが設定的に好きです。まあ、悲惨なのはどっちもどっちか。でも、黎は凛のように祟ってこないから良い!(詳細は日記をご覧ください・・・)

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