作品名:人形達の叫び
作者:りみ
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その夜、探偵事務所(=家)で。
連の父――時野 庄治(ときの しょうじ)がケーキの箱を持ってきた。
「おーい、連。ケーキ食うか?」
「食べる。・・・・あ、お父さん。“剣淵”っていう警察、知ってる?」
「!!!!!!ゴホッ、ゴホゴホゴホッ・・・!(←ショートケーキをつまらせた)なんで、何でオマエが剣淵警視総監殿の事知ってるんだよ!!」
「知ってたんだ・・・・、しかも『殿』までつけて・・・・」
「・・・なんで知ってんだ?」
「別に。・・・帰り道に、中学校で殺人事件が起きてたから。」
「んぐっ!!!!(←いちごをつまらせた)殺人事件っ!!??おいおいおい・・・・・。・・まぁ、お前は死体とか見ても平気だと思うけどな。」
「別に平気だった」
「ふぅん・・・・・・・・、けどな、ガキが首突っ込むもんじゃねえぞ」
「面倒なことには首突っ込みたくないけど」
「ふぅん・・・・・・・。あ!!!」
「?」
「お前っ、オレのモンブラン食うな!!」
「はぁ?モンブランはあたしのじゃん」
「いや、俺のだ!!返せっ!」
「もう食べたし、それに返したくないから」
「オイオイオイ・・・・こういうときは父親に遠慮するものだろ・・・」
「モンブランは無理。絶対あげないから」

普段はマイペースでボーっとしてる連も、やはり小学生。好きなものには目が無かった。(連の好きなもの=モンブラン、本、寝る事)



父娘のほのぼの(?)とした会話が繰り広げられている中で・・・・、警察では、さっき連が拾った“エラメス”のリボンが、重要な鍵だということが発見された・・・・・・。



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次の日の放課後。
「お〜い、時野、青山」
「「?」」
「なんか、校門の所に昨日の刑事が来てるぞ」
「えぇぇっ!?」
「・・・・・・・・は?」
校門の所へ行ってみると、剣淵がいた。低学年の生徒達は、パトカーがめずらしいのか寄って行ってる。
「・・・・何しに来たの?」
「・・・時野に来てほしくてな・・・・」
「なんで?」
「・・・・、・・・お前には、自分でも気づいていないんだろうが、推理力、洞察力、観察力がある。・・・それを利用したい、それだけだ」
「ふぅん・・・・・・。なんでこの学校が分かったの?」
「オレもガキの頃はこの“光山(みつやま)小学校”に通ったからな」
「ふーん・・・・・・。・・・緑とつかっちゃんも連れてっていい?」
「ああ?・・・・・かまわねえよ」

こうして、刑事が子供を誘うと言う前代未聞のことがありながらも、連達は剣淵と一緒に“高田中学校”へ向かった。


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高田中学校門前。
「・・・お前が拾ったこのリボンだが・・・、・・・この中学の、陸上部のものだと判明した」
「?なんで?」
「この学校は公立だが、伝統などを重んじてて進学率が高いんだ」
「・・・・・・・・・・・・・・で?」
「で、それぞれの部活に、ブランド物のリボンを配ってるらしいんだ」
「たかが部活にブランド・・・・・・・・・・・?」
「サッカー部なら“ジュリー”。バスケ部なら“ヴゥトン”。・・・・で、“エラメス”は、陸上部のリボンだ。」
「フゥン・・・・・・・・、その“ジュリー”とかって犬の名前?」
「「「・・・・・・・・・・・・・・・」」」
剣淵、緑、つかっちゃんはそろって黙った。
連はブランドに人の二倍は鈍いので、ブランドの名前を挙げられても分からず「?」状態だ。
「・・ま、まぁ、いい。・・・・だから、陸上部の生徒に聞き込みに行こうと思う」
「・・・・あたしいらないじゃん」
「なんとなく・・・・何か気づくかとおもってな」
「ふぅん・・・・・」
そして、数人の刑事達と一緒に陸上部へむかうことになった。
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