作品名:人形達の叫び
作者:りみ
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剣淵たちは、生徒に聞き込みをすることにした。その結果、やはりこういうことが分かった。

“夕紀たちは、午後5時半ごろ神社にいた”

ということ。
「神社?どうしてそんなとこに?」
ときいても、生徒達は同じ言葉を言う。

“わかりません。あいつらには関わりたくないんです。”
と。

「・・・やはり、周りから恐れられてたんだな・・・・・」
「・・・それってかわいそうじゃない?」
「あ?」
「・・・周りが嫌がるから余計に悪さするんだと思うけど?あの人たちも、やっぱり“本音”を言えなかったんじゃないかな」
「・・・・にしても、どの生徒も午後5時半に神社にいたと言っている・・・・、ということは、午後2時に死んだと言うのは間違いだ・・・・・、・・・けど、さっき見たが・・・、やはり体が硬直してたな・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・焦らなくていいんじゃない?焦ると、大事な事見失うよ。・・・これ食べる?」
「?なんだこれ?」

連が差し出したのは“石焼せんべい”。マラソンが終わったときに全校生徒がもらったものだ。

「時野、食べてなかったのか?」
「うん。お腹すいてなかったし」
「へぇ・・・・・」
「・・・・・・・ククッ、せんべいなんてガキの頃以来食ってねえぞ・・・。・・・・・・ありがとな」
「?なんて?」
「さぁ!!捜査だ!!」

いつの間にか、連達が捜査に参加する事を許していた自分に疑問を抱いている剣淵に、連達は気づかなかった。





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夕方。生徒達は、テスト期間のため早めに帰り、学校に生徒はいなくなった。
「?なに?これ」
連が見つけたもの――リボン。紅色で“Aramess”と書かれている。
「・・・アラメス???つかっちゃん何これ?」
「時野、疎いな・・・、“エラメス”だよ。高級ブランドの!」
「??何それ?」
「まったく・・・・・・・・・。・・・はい、剣淵さん」
「ああ。後で校長に聞いてみるよ。おい、お前らももう帰れ。明日も学校だろ?それに、もう夕方だぞ」
「緑、つかっちゃん、帰ろうか」
「ええ、そうですね」
「じゃあ、帰るぞ」
「あ、待て。送ってってやるよ」
「えー、いいよーべつにー」
「なんだっ、その嫌そうな顔は!この辺は暗くなると危ないんだ!子供3人じゃ心配だろうが!!」
「・・・・・・・・・・・・・ありがとう」
「!!あ・・ああ。・・・なんだよその無表情な言い方は・・・」
「・・・・わるかったね」
「ほら、パトカー乗れっ!!」


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そして、緑とつかっちゃんをそれぞれ家に送り、最後に一番遠い連の家になった。
「時野庄治、探偵事務所開いたんだって?」
「うん」
「客は?」
「ゼロのときが多い」
「やっぱりなぁ・・・・・・アイツに探偵なんかできるかっつーんだよ。」
「プッ、いえてる。・・・けど・・・それでも、あたしはあのお父さんが好きだよ。楽しいし。あのお父さんでよかったと思ってるよ」
「なるほどなぁ・・・・・、時野庄治は幸せだな・・・・・・」
「?」
「ホラ、着いたぞ」
「・・・・・・・・・・・・・・ありがとね」
「・・・オマエにお礼言われるとなんかなぁ・・・・」
「???」
「まぁ、いいさ」
「・・・・・うん」



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“犯人”は、密かに笑っていた。
(フゥ―――・・・、・・・あの“エラメス”を発見するのが遅いんだよ・・・・・バカどもめ。フフフフフッ・・・・あの罠にはまるがいいわ・・・!!ハハハハハ・・・・!!!)
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