作品名:人形達の叫び
作者:りみ
← 前の回  次の回 → ■ 目次
そして、捜査が行われた。
「おい、お前ら、もう帰れ!」
剣淵が連達三人に言う。
「れっ、連ちゃん、もう帰りましょう?」
「そうだよ、時野・・・・」
「・・・・・いいよ。緑とつかっちゃんは帰ってなよ?もう3時だし。・・・なんかおもしろそうじゃん」

そういう連は、口元がニヤリと笑っていた。

「・・・・チッ、ガキが・・・・。そこに突っ立ってたら邪魔なんだよ」
「邪魔にならないようにしてるよ」
「・・・・・・おい、“時野連”。だったら学校内まで入って来い」
「?なんで?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
剣淵は何もいわなかった。
“さっきの事”で、連には、自分自身でも気づいていない、天才的な推理力、洞察力、観察力があることを悟っていた。なので、もしかしたら役に立つのか、と思ったから。剣淵は子供が嫌いだ。だが、連は普通の子供じゃないような気がした。間違いなく普通の子供のはずなのに・・・・・。
「連ちゃんっ、私も・・・行っていいのかな?」
「?別にいいじゃん」
「迷惑にならないかな・・・・?」
「迷惑になるようなことしなけりゃいいんじゃん」
「じゃあ、俺も入りたいぞ!」
と言う事で三人はここにいた。


***************************
中学校内。
「いやぁ・・・・・・、わが校で“自殺者”がでるなんで・・・・・・。」
頭がハゲてて、汗が吹き出ている小太りの男――校長の武藤 和昭(むとう かずあき)。50代前半くらいだ。
「いや、それがですね・・・・自殺ではないと分かりました」
「なんですと!!?・・・・た、他殺ですか!?」
「そういうことになりますね」
「・・・・・わが校の誰かが・・・・?いやっ、そんなはずはない!!わが校は伝統ある学校だ・・・・・・・そんな“落ちこぼれ”など育てていない・・・・!・・・だ、大体ね、殺されたあの子達は、殺されても同然の子なんですよ。女のクセに不良で、ケンカばっかりで、勉強は一切しなくて・・・・!!あんな落ちこぼれはですね、殺されて当然なんです!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・ふーん」

連が、時折見せる“人を見下す目”で校長を見て言った。

「いいのかなぁ・・・、“校長”がそんな事言って。・・・・一応生徒だったら、教育しなおそうって気にもなれないのかなぁ・・・・・・」
「だっ、誰だ、君は!小学生が入って・・・―――」

「人を落ちこぼれだの殺されて当然だのとか・・・その“落ちこぼれ”を受け止めるのが大人でしょ?邪険に扱うから、いつまで経っても、誰かに頼ったりができないんだよ」

校長は連の目におじげづいていた。普段はトロそうな目をしてる連が時折見せる目――その目は、どれだけ偉い人でも何も言えなくさせるような目だ。

「・・・・・・そ、それでは校長先生?・・・殺された子達について、話してほしいのですが・・・・」
「・・・・・・わかりました。あの三人は、この辺じゃ有名な問題児でして・・・・・・――――」
← 前の回  次の回 → ■ 目次
Novel Collectionsトップページ