作品名:探求同盟 −未来編− 桐夜輝の日常
作者:光夜
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「―――――あれ、ここどこ?」
気づいたとき、周囲は真っ暗だった。そして、椅子に座っていた。おかしいな、たしか輝君を待つのに校舎の入り口にいたはずなのに。僕は首を捻った。おかしいのはまだあった。おかしい、と考えたとき僕は手をあごに当てるはずだった。だけど、その腕は何でか動かない、代わりにジャランなんて金属の音が聞こえてきて、そして動かそうとしていたはずの腕にも違和感があった。
「・・・・え?」
暗闇の中、僕は上を見上げて目を凝らした。そして驚愕する、僕は両腕を斜めにバンザイして、その両腕は手首から腕輪を巻かれて吊るされていた。
あれ、監禁、だよねこれ?
「え、ちょっと・・・・うそ」
「気づいた?砂野君、あー、今は砂野さん、だったね」
どきり、と僕は腕を見上げるのを止めて声の方向を向いた。それは、なんのごまかしも無いまっすぐ目の前から、届いてきた。その声は、どこかで聞いた覚えがある。
今気づいたけれど、この空間には、一つだけ光源があった。天井から吊るされた紙コップをさかさまにしたようなカバーをかけられた電球、カップの口から下が丸く映し出されて、風でゆれるたびに照らす場所が変わっていた。
風、そう、どこからか風が吹いてきている。完全に密閉された空間ではないみたい。えっと、どういうことだろう。僕、結局どうなっちゃうのかな・・・・。
「状況が、まだ飲み込めていないっていう感じかな」
感情の無いのっぺりとした声、キー、キーと揺れる電球が、一人の人物を闇に浮かばせては消してを繰り返した。
「・・・・田島、君?」
「そうだよ、クラスメイトの田島勝だよ。思い出した?」
感情のない、それこそ何か機械で再生したような凹凸のない口調だった。こつ、こつ、と島田君は僕の前までやってきた。
「な、何で僕はこんなところに・・・・、それに、ここはどこ?」
「君は質問をする必要はないよ。ただのオモチャだし」
「―――――え?」
興味のない絵でも見ているような、そんなときの質問への返答のように、詰まらなさそうに教えてくれた。オモチャって、なに?
「おう、勝る。今日の獲物、これか」
ぬぅ、っと影の中から声が聞こえてきた。野太く、すこししわがれたような、決して気持ちのいい声音ではないその声の主は間もなくして闇の中から現れた。田島君よりも少し背の高いその人は頭を丸めていた。
「へへへ、結構な獲物じゃん。胸はねぇけど」
「関係ねぇよ、ヤれりゃあいいんだから」
続いて更に二人、小ズルイネズミのようなトーンの高い声、二人よりも比較的普通の声音だけど、とても安心できそうにないひび割れた声。闇から這い出てきたその二人もとても僕の味方とは思えない。というか、すでに登場の会話の時点で僕って危険状態しか解答がないようなんだけど。
「砂野さん、君は少しはしゃぎすぎだよ」
「た、田島、くん・・・・?」
「城ヶ岬をそのままにしておいてくれれば、僕は今も明日の楽しい計画を考え続けることが出来たのにさ。彼は軍資金の調達役として重宝していたっていうのに、それを君と桐夜が壊したんだ。もう、やり方を変えないといけないんだ」
まるで台本でもあるのか、田島君は下手な朗読のように抑揚もなく最初から用意されていたような声で、僕に説明した。でも、説明になっていなかった。城ヶ岬君がお金の出所だって言うのは判っていた、でもまさか、田島君はそれを利用していた。そのくらいは判った。
でも、田島君がこれまでに何をしていたのか、僕にはわからなかった。
「ぼ、僕は、どうなるのかな・・・・?」
「君しだいだよ。とりあえず、これから処女もらって、その後朝まで輪姦して、絶望と恐怖を刷り込ませるね。ボクの楽しみを奪った罰として」
「・・・・え?」
あまりに普通すぎる言い方に僕の頭が一瞬だけ追いつけなかった。でも、無表情でなんでもなく言い切った田島君から視線を逸らし、残りの三人に目を向けると、いやらしい、下卑た目と笑いが僕に向けられていた。
「―――――ひっ!?」
そして、僕の心と頭は全てを理解し、この後のことも理解し想像した瞬間、恐怖の囚われた。
「い、いや、やだよ・・・・やああああああっ・・・・」
ジャラン、ジャラン、と暴れても鎖で繋がれた僕は逃げられない。金属の擦れる音と僕の声が反響するばかりで、目の前の恐怖と距離をとることができない。
やだ、やだよ、せっかく桐夜君と友達になれて、恋人にもなれて、城ヶ岬君とも分かり合えそうなのに、こんな結末、僕はやだ―――――助けて。だれか、だれか。
「それじゃあ道具でも使って、初めてを奪ってやるか?」
「お、いいねぇ、処女なくすにしてもせめて人間って女も多かったからな。道具なんてなんでもないもので奪われるって、結構キツイらしいな」
「なんでもいいよ、さっさと使おうぜ」
田島君は興味がないのか、三人が前にでもて動こうとしない。僕が絶望と恐怖に浸るのが見たいだけ、だからまるでサーカスのショーでも見るように一つだけある椅子を取り出して座った。
「やぁあああ・・・・いやああああああああっ!」
「暴れんなよ、田島を怒らせたのが悪いんだ」
「そうそう、犬にかまれたと思って諦め」
「古いよ、その表現。つーか、俺たちでマワして、朝までもった女なんてほとんどいねぇだろうが」
僕の頭は恐怖だらけになった。目の前に迫った三人が何か言っているようだけど、それすらも耳に入らない。ただただ逃げたいだけで、でも逃げられなくて、僕は叫ぶことしか出来なかった。もう泣いているのかもしれないけれど、泣いてることにすら気づけなくて叫び続けた。
「おら、諦めな!」
一人が僕の服に手を掛けたとき、その声は普通に聞こえてきた。
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