作品名:算盤小次郎の恋
作者:ゲン ヒデ
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この幼少時の体験で、小次郎は心的障害を起こし、怯えて、家の中に籠もってしまった。
母親がいないので、父の安藤孫四郎は、世話に困り果てた。
藩主にそのことが伝わると、藩医が遣わされ、その治療や薬で症状は治まった。が、刀を見ると、怯えることは直らなかった。そして、出会う家中の侍の下げた刀から、無意識に目を背けていた。家でも、刀を手入れするとき、父は、小次郎を外に出さねばならなかった。
が、翌年が来たら、武家の子は、刀を差さなければならない。父は、仕方がないので、中身に銀箔を張らない竹光を、何とか説得して、持たした。
これが、近所の子供たちのいじめの原因になり、
(悔しかったら、下げている刀で切ってこい)と囃すのである。
が、そこを見つけると、隣家の八重は、小次郎をかばって、
「小次郎は、大変な目にあって、刀を持つことが出来ないのよ。弱き者を守るのが武士の本分、あなた達はそれでも侍の子か!」と言って、いじめる子らをいじめ返した。
が、小次郎は、子供らの中で、次第に仲間はずれになっていった。
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