作品名:黒い瞳の天使
作者:りみ
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庄治はとりあえず藍ちゃんを警察へ連れて行くことにした。
連は眠がっていたが庄治に強制的につれてこられた。
元刑事である庄治の、元上司で現在警視総監の剣淵(けんぶち)とは、連の方が親しい(?)からだ。(剣淵は、シリーズ3作目に初登場、その後随時登場)
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警察署。
とりあえず庄治は一連を説明した。
「・・・この子が?行方不明中の子か?」
「ハイ。事務所の横の路地裏にベビーカーが置いてあったんです」
普通の赤ん坊なら泣くんだろうが、全然人見知りしない藍ちゃんは他の刑事達にもなついていた。可愛い藍ちゃんに刑事達も顔がほころんでいた。
「ウワ〜〜・・・かわいいですねぇ、赤ん坊って」
「オイ、吉田(よしだ)。赤ん坊なんかに構ってないで、前の事件の書類を整理しろ」
「わかってますよ、三浦(みうら)さん。本当冷たいんだから・・・、にしても、カワイイなぁ〜〜・・・・」
吉田刑事が近付くと―――突然。
「ギャァァァ〜〜〜〜〜〜〜ンッ!!!!ウギャァァッ、ウギャァァ〜〜〜ン!!!」
この世の物とは思えないくらいの大声で、怪獣のような泣き声をあげた藍ちゃん。
警察たちや連達も絶句。うるさすぎて声がでない。
「・・・うるせぇ・・・・」
「ま、まぁまぁ、三浦さん」
「そもそも吉田、お前が近付いたからだろ?」
「俺呪われてんのかな・・・・」
そしてその後。藍ちゃんは泣き止んだ。
なりゆきで、両親の意識が戻るまで藍ちゃんは時野家が預かる事になった。
「フー・・・・・・・」
そのとき、出口への案内をまかされていた村井(むらい)刑事が話しかけた。
「赤ん坊の声って・・・・・す、す、すごいんですね・・・・・・」
「そうですねぇ・・・・・・・・・」
「ホント、人間の物じゃないと思ったし」
「三浦さんは相変わらず動じてなかったです・・・あ、ごめんなさい。三浦さんって言うのは、ちょっと冷たい感じの方です。吉田さんは、いつもニコニコしてて優しくて、本当は自分のほうが年上なのに三浦さんが呼び捨てにしたりしてもニコニコしてるし。・・・あ、ごめんなさい。私は村井です」
「どーでもいいよ。別に聞いてないし」
「おい、連・・・・」
「あっ、すっ、すんません・・・・・・」
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時野探偵事務所(家)。
「さーて・・・、お父さん子育てなんかできるの?」
「さぁな・・・・・、夏子(なつこ)にまかせっきりだったし」
「フーン」
時野 夏子(ときの なつこ)――連の母親だ。
だが、夏子は連が3歳のときに事故で亡くなった。
別に連がマイペースでボーっとしてるのはそれが理由ではないし特に関係ない。連は今の、面白い父親との生活に気に入ってるから別に寂しいと思ったことは無いのだ。
「・・・・・・・・藍ちゃんの両親の意識が戻るといいね」
「まぁな」
「だって・・・藍ちゃんを親のいない子にしたくないし」
そして、藍ちゃんと時野家の一時的な生活が始まった―――。
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