作品名:to my dearest
作者:佐伯 あい
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2年半、先生を好きだった

最初先生を見たのは、入学式のとき、交差点で

格好良く見えた、遠目には

だけど近くで見た先生は華奢過ぎて白くて

まるで男の人とは思えないくらい綺麗だった

先生を好きだというと

まわりが一歩引いて僕のことを見る

それがたまらなくいやでいやで仕方なかった

でもそんなことは好きには関係なくて

僕が好きでさえいれば良いことをあとから知った

何ヶ月も何ヶ月も僕は先生の傍にいたけれど

結局好きはちゃんとは伝えられなくて

いつも曖昧に曖昧に先生に誤魔化された、笑って

嘲笑ではなく、優しい笑顔

僕はその笑顔がたまらなく好きだった

でももう、逢えない。見られない。

勤務先の変わった先生に逢うことはもう二度とない

僕は中途半端に先生を愛していたから

中途半端な結末しか生まれなかった

先生を好きでいることは

そんなにも非常識なのかなぁ

そうやって思ったらそんなのは断ち切ればいい

先生と生徒だって立派な恋人になれるはずだから

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