作品名:RED EYES ACADEMY U 脱走
作者:炎空&銀月火
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「はぁぁあー」
訓練の合間に少しだけある休憩時間に凛は伸びていた。
全身がだるく、頭もボーッとしていてどうも調子が狂う。その日の訓練にもいつものようなキレがなかった。まあ、それも無理がないだろう。どういう訳かここ一週間ほど悪夢が続き、夜中に飛び起きることもしばしばだ。それに朝からレシカとハデスの迷惑きまわりないモーニングコールも加勢して今や凛は極度の睡眠不足に陥っていた。
(まったくもう…)
声に出す気力さえなく、心の中でぼそりと呟く。
(しかも、えらくリアルなのが、気に障るな…)
そうしている間にも頭の中には濃い霧がかかっていき、瞼はがらがらと落ちてくる。せめて少ない休憩時間だけでものんびりしようと意識を霧の彼方に見送ろうとした時だった。
「えー、総合戦闘訓練科の潮沢さん、総合戦闘科の潮沢さん、執行部幹部の方がお待ちです。今すぐ応接室まで来なさい。くり返します…」
ばかでかい音量でスピーカーが怒鳴り、消えかけていた意識が瞬時にカムバック。しかも自分を呼び出した放送だ。猫のように体を伸ばしてかしかしと頭を掻いてから、のんびりと立ち上がった。執行部幹部と言えばかなりの偉いさんなのだが、そんなことには注意を払わない。たたき起こされて不機嫌極まりないといった顔でわざとゆっくり歩いて談話室から出ようとする。
「もう一度くり返します。総合戦闘訓練科の潮沢さん、総合戦闘訓練科の潮沢さん、大至急応接室まで来なさい」
あまりにものんびりな凛に追い打ちをかけるような放送。しかもさっきよりもだいぶ口調が苛立っている。
あーくそ!
不機嫌バロメーターが一気にレッドゾーンに達し、悪態を吐き捨て凛は談話室を飛び出した。
飛び出していく凛を観察していたハデスが言った。
「ねえ、最近おかしいよね、凛」
「うん。いつもだったらあんなに怒らないのにね…」
いつになく考え込んだ顔のレシカが答える。
(いや、あんたがいじめすぎ何だと思うけど…)
心の中で呟く。だがそんなことにレシカは気が付かない。
「それにさ…。何かうなされる声が良く聞こえてくるのだよね…。前までなら超鈍感だから全然気にしなかったんだけど…」
「最近は敏感になってきた、って事だよね」
「うん…。」
そのまま黙り込んでしまう。この二人が一緒にいて会話が途切れるのは前代未聞だ。
しかし、この3人はまだ気づいていなかった。3人の人生、特に凛を大きく巻き込むように巨大な運命の歯車が回り始めたことに………。
あとがき
どーも、一気に更新中の銀月火です。あまりにも滞っていたので、存在を忘れられてそうで怖いです…。つーか、ちょっとずつ設定が変わって矛盾でそうだから改変して載せようとか思ってたのに…。そんな暇がない…。しかも、これ、最終原稿じゃないのでたぶんミスタッチとか漢数字数字入れ混じってたりとか、散々だと思います。(最終原稿はどこにいったぁぁぁああああ!)ってなわけで、次またお会いしましょう!
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