作品名:Three Stars and the Earth〜他星への進出〜 中巻
作者:キラ
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始めに…ドモ、チャイっす。今回は物凄く複雑な話になりそうなんで台風にも負けないように気張ってお読み下さい(ナヌ

――あらすじ
 西暦3459年…第五次世界大戦が終わって159年が過ぎた。
 この頃、救世主『サフィア』が現れた。
サフィアはSPEに入隊し、数々の試練を乗り越えた。
そして、3459年7月21日…水晶型宇宙船『クリスタル・スターシップ』に乗ってフェリスターからやって来たシャスナとマスーDrがきて、彼らの星『フェリスター』の危機を地球に伝えて来たのである。
サフィアはそのSOSに応じ、すぐさまその宇宙船に乗り、フェリスターへと旅立つのであった。

                                 T

―――風は言った。
―――ここはどこだろうか。
―――惑星の周りを回る衛星だろうか…。それにしては科学が発達しすぎている…。
―――ならばやはり惑星だろうか…。しかし、どう見ても惑星を回っている…。
 ここは衛星と言うことにしておこう。この衛星の名は'ディマクラ・スター’とみんなから言われている…。
 この星のどこからか…声がする。大きな建物の…宮殿かもしれないがとにかくその中からだ。
「待っていたぞ」
堂々とした大きな人の声がする。顔は暗くてよく見えないが男だろう。
「あら…いらっしゃい…かわいい子」
もう一人、スラリとした女性が言った。
彼らは目の前にいる人を歓迎しているらしい。
「例の『アレ』は持ってきたな?」
男がその人に言った。アレとは…どうせつまらない部品やその設計図だろう。
その人はコクリと首を上下に動かした。
するとその男は手に持っていた『アレ』を男に手渡した。『アレ』はとても重そうな音を立てて前においてある大きなテーブルの上においた。隣に『アレ』を作るための設計書を置いた。
男はじっとその2つを見つめて、一呼吸おいて言った。
「フム…なるほど。すぐ造れそうだな…DU、部下に即大量生産させる様伝えてくれ」
「しょうがないわね…DT…」
DTとはあの男の事で、DUは女の事だろう。そして、この宮殿らしき建物は大企業の本部、社長室ではないかと予測される。
「試しに使ってみようか…おお、そうだ。お前」
D1は『アレ』を持ってきた人に言った。
「お前は…これをここまで運んでくれたんだ。そして、実力もある。だからDVの称号を与えよう」
今DVになった人が言った。
「アリガトウございます。閣下…」
――――――――――――――――――

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 3459年7月31日宇宙船『クリスタル・スペースシップ』内部
 サフィアが出発して10日間が過ぎた。いまだにフェリスターには着いていない。まだ宇宙空間をワープしているのだ。
 宇宙船にはSPE特別隊数百人が乗っている。
「ま…まだぁ〜?もうオイラ疲れたよ〜」とロッジャーがダラダラ言った。
ロッジャーは見た目が人間じゃない。狸に人間を合わせた様な妖精で身長は約120p。地球の地底大陸出身だ。
「なんせ人数が行きより多いっすから…」とマスーDrが返した。
マスーはフェリスター…今向かっている星出身で鼠の外見+白衣+グルグルメガネ+天才頭脳+ロッジャーの身長がマスーだ。
10日前にシャスナと一緒に地球に行ってフェリスターの危機を伝えたのだった。
シャスナは一目見てまずマスーとはかけ離れているが身長は同じ位だ。一瞬空想上のあの妖精と重なる。
背中には澄んだ羽が2枚、目も青く澄んでいる。髪には頭と比べると大きいがやはり小さいリボンが1つ付いてある。
歳は12、3歳だろう。しゃべり方は6〜8歳だ。
「え?宇宙に重力なんて無いからそんなの関係ないんじゃないの?」ソフィアが言った。
サフィア6人の大切な仲間の中で一番最初にあったのがソフィヤだ。とても優しく、髪は茶がかった黒でロングの女の子だ。
歳は14歳である。
「そうッス!それッス!よく訊いてくれたッスね。この宇宙船の床には宇宙空間の無重力と言う不自由を解消すべく人工重力装置が付いていて―――
「ごめんね、マスーが一度話し出すと1時間くらい止まらないからここら辺で止めておかなきゃいけないから…」
シャスナがマスーの大演説を制した。
「人工重力装置?初めて聞いたなぁ…あんさんらの星はそげと科学が発達しとるんやねぇ」ネオンが感心した。
ネオンは身長190cmほどの細長い関西弁を話す男だ。
「いや…」マスーがとてもガッカリした声で言った。
「我々の星の科学なんて地球より全然低いッスよ…」
「じゃあこの何とか装置は何ダベか?」数・禰絆が聞いた。
数・禰絆…通称スー。18歳のわりにとてもチビチュイスタン生まれのboyだ。
「私だけは別なんスよ…私だけ超天才Drなんスよ…」
「そうなんですか…」テルル・アナンが言った。
テルル・アナン…通称アナはいつでもどこでも誰でも敬語で話すと言うやや変わった女性だ。
ただし怒った時は別でいつでもどこでも誰でも不良口調に成ると言う…本当に変わった女性だ。
「…目的地到着まであと6時間…明日早朝には着きそッス」マスーが話題を変えた。
「フ〜ン…よし!じゃあUNOでもやるか〜!オ〜イ…サフィア、スー、ネオン。お姉…ソフィア、アナ、シャシャシャ…シャスナ…ちゃんもやらないか?」
最近、ロッジャーがたまたまおかしくなる。それもシャスナが近くにいる時だけだ。
「え…あの、『うの』って何ですか?この紙切れで遊ぶの?」
シャスナはフェリスター出身なのでこんなゲームは無いのかもしれない。
「大丈夫!オイラが教えてあげるから――ササッ!!オイラの隣にどうぞ!」
このとき、UNOに呼ばれた5人はこの為に呼ばれたのか…と思った。

                                 V

 マスーの言ったとおりフェリスターには6時間で着いた。地球時間で8月1日5:10の事だった。
 宇宙船は敵に見つからない様に近くにあった大きな縦穴の中に入った。
 それからSPE偵察隊・守護隊は洞穴の入口を警備した。
 何時間経っただろうか…もう太陽は上を向かなければ見えない所まで昇っていた。
 その時、縦穴の中から人影が現れた。その影を見つけたSPE兵はすぐさま敬礼をした。
 かげはすこし顔を赤らめた。そしてこう言った。
「そんなあらたまって敬礼なんかして…はずかしいって…いいよいいよ、軽くで」
その影は誰でもない…SPE2代目隊長、救世主サフィアだ。
 サフィアはフェニックソードと共に旅をし、ソフィヤを地軍隊から助け、今戦おうとしている敵の発足をさす暗号を解読した。
サフィアが始めて戦った戦争ではロッジャーを見つけ、SPEに入隊させると言う任務を見事に果たしたし一風変わっているがとても効果的なSPEの練習スケジュールを作った。
 と、言うのがサフィアの今までのハイライトである。
「いやー…何も無いなー」サフィアはすぐ隣にいたSPE護衛隊のニシャーンに話しかけた。
「そうだな〜…まるで砂じゃなくて土の砂漠だよ。こんなところに妖精達がいるとはな…」
見た通り、どこを見ても360°一回転土土土の土だらけである。人どころか生物が全くいない。
 シャスナが縦穴の中から飛んできた。(下からマスーが「危ないっす!出ちゃダメッスよぉぉぉ〜!」と言っていた。)
シャスナは横にグルグルと360°回転した。
するとなぜか泣き出してしまった。
「ち…違う…私の星…フェリスターは…フェアサイドは…こんな国じゃなかった…山や、海や、川、お城も何もかも…無いよぉ!」
フェアサイドとは、シャスナたちが暮らしていた国である。
「え…ちょ、ちょっと…マスー!ここは本当に君らの国なのか?」
ちょうどマスーも驚いて中から登って来たのでサフィアが聞いた。
「おかしいっすねぇ〜…確かにフェアサイドに着陸したッスよ。でもこんな平坦な所はフェアサイドには無かったッスね〜」
マスーも首を傾げる。

 ふと、遠くで何かが動いた…様な気がした。とにかくサフィアには動いた様に見えた。
周りにいた数人の兵もそれに気付いたらしい。妙にソワソワしている。
「誰か、望遠鏡か…双眼鏡を!」アナが叫んだ。珍しい。
30秒後、数人の兵が望遠鏡を持ってきて、覗いた。
同時にロッジャーも現れた。彼は無言でヘルメットに付いてあるゴーグルを付けた。
ロッジャーのゴーグルは普通のゴーグルとは違い、今は戦うことのできない鳳凰…SPE初代隊長がくれたゴーグルで暗視、拡大などができるハイテクなゴーグルなのだ。
「…いた。人じゃん!ヘルメットに‘DDD’のマークがあるからきっとDDD兵じゃん。トラックに何か押し込んでるじゃん。隣には…!!!!」ロッジャーは言葉を失った。とても驚いている。
「どうした?何があったのか?」サフィアが聞いた。
周りにいる望遠鏡を覗いている人も驚いている。
「あ、え〜っと…あれは人なのか?でも…やけに硬そうで白くて細長い…うまく表現できない」
ロッジャーが焦りながら言った。
「ム…そのゴーグル…」
「ワッ!…なんだ、マスーか…ロッジャーのゴーグルがどうした?」サフィアが言った
「もしかしたらそのゴーグルとパーソナルソルドテレフォンをつなげる事ができるかもッス」
パーソナルソルドテレフォン…またの名を腕時計型超小型立体通信機といい、腕時計にテレビ電話を立体化した物を合体したような物で通信のほかに相手のデータを読み取り、伝えたり、その他色々ができる超ハイテク腕時計である。(詳しくは前話『下準備』にて)
「ほら…このゴーグルの耳かけ付近にアースみたいなのがあるッスよね…それを腕時計に差し込むッスよ」
「分かった…よし、差し込めたじゃん!」
すると、腕時計の液晶部分から光が出、ぼんやりとホログラムの人の様な姿が映し出された。
そして何よりもそのホログラムには説明が出ていると言うオマケまで付いているのだ。
例えば今映し出されている硬そうで白くて細長い人の様な物には
『シュゾク...ドロイド.セイサン...DDD.ナマエ...ダルム・スティック・ストライク.ソノタ...ナガサ 20pレーザージュウ ソウビ』
と書かれている。
これを見る限り人には似ている様な似てない様な…。とにかくACIMOを両側から押しつぶしたような形のロボット…いやいや、ドロイドであった。
 しばらく縦穴の中で作戦会議が行われた。と言っても内容はあのドロイドの事ばかり話し合っていた。
「俺…あんな精密に動くドロイド始めて見たよ」
「ドロイドだって」
「そういやあのロボット、レーザー銃持ってるって言ってたよな…」
「だからドロイドだって…」
「しかし…あれ見る限りは腕と銃がくっ付いてた様な…」
「レーザー技術が進んでるって事は他の兵器も進んでるって事だよな…俺ら井の中の蛙だった訳か」
「宇宙は広い」
「あのドロイドとは違う種類のドロイドはいるのかねぇ」
「ガクガクブルブル」
「震えるな…俺も震えるの我慢してんだよぉ!」
やや話がそれた時、上にいた見張り兵が叫んだ。
「敵襲だ!さっきのトラックがこっちに近づいてくるぞ!」
全員一瞬で先頭配備に着いた。サフィアら6人(サフィア、ソフィア、ロッジャー、シャスナ、ネオン、スー、マスー)は様子を見るために縦穴を駆け登った。
サフィアが少し頭を出して見てみると、左200mほどに大きなダンプトラックがこっちに向かって突っ込んでいた。
…まだそのトラックには攻撃しない。
なぜならこの200mと言う遠さはいくら大きなダンプトラックでも小さな点ほどしかなく、もしもあっちが武器を持っていなかったらそれこそ何かと勘違いされて全面戦争にも成ってしまう可能性があるからである。
 トラックがぐんぐん近づいて来る…あと150...100...スーが銃をグッと握った。
 50...25...10...トラックはまだ気付いていない。もしかしたら知らないフリをしているかも知れない。
 5...3...0......トラックはこの縦穴の脇を通り過ぎてまたぐんぐんと遠くに過ぎ去ってしまったのだった。
「…ふう」サフィアがため息をついた。
みんなも緊張の糸が切れたのか、ザワザワしている。
「とにかく…一件落着だ。で、これからどうするか?」
そうサフィアが言うと多方からここで待機!とかどこかを偵察!などの意見がとんだ。
「ソフィヤさん…」
「何?アナ」2人は端の方でヒソっと言った。
「あのトラックの後車の檻の中…気になりませんか?」
「ア〜…運転席見るので精一杯だったから…」
「私見たんです…檻の中にシャスナさんやマスーさんと同じような妖精がひどく汚れていてギュウギュウに詰込まれていたんです…」
「本当に!?と言う事は…あのトラックを追いかけて行けばもしかしたら終着点にはシャスナの両親達と出会えるかも!」
と言うことで2人はこの意見をみんなに言った。
この意見は他の人の意見(例えば縦穴のそこを広くしてここに要塞を造る他多数)なんかより断然効率が良い作戦だった。
「なるほどな…行って見る価値はありそうだ。トラックはもう見えないけどタイヤの後はまだ残ってるから後を追ってみよう」
「しゃべり中スイマセンがサフィア殿、あっしの宇宙船の事も考えてるッスか?」マスーが言った。
「そうだ!忘れてた…そうだな、偵察部隊と総合、守護部隊の半分がトラックを追いかけていく隊、ついでにこの部隊には俺とシャスナも一緒に行く。残りはこの宇宙船を見張る隊に分けよう。総合、守護を半分にするのはアナとソフィヤに任せる」

 「よし、みんな集まったなじゃあ空高くから追いかけて行こう」
その時、ロッジャーが、「オイ、サフィア!何でオイラが…シャスナちゃ…シャスナと一緒じゃないんだよ!」とばつが悪そうに言った。
…それが一番心配だから一緒にしないんだよ…とサフィアは心の中で呟いた。

                                 W

 サフィアたちいわゆるトラックを追いかけていく隊はついにトラックを見つけた。トラックのすぐ隣には10階建てにもなる大きなビルがあった。
彼らは空高くからこのビルの最上階を覗いた。そこの手前は複雑そうなメカやロボ(ドロイドの様な物ではなく、機会を造る為に働くあのロボ)の様な物がゴチャゴチャしている。
奥にはガラスで仕切られた巨大プールの様なとても広いスペースとなっている。ただし、そのプールの液体は絶対に害が有りそうな明るい黄緑色をしている。
「あの液体は何でしょうか…」アナが聞いた。
「さあ…俺も初めて聞いた」サフィアが答えた。
「ドロマニウム…」シャスナが呟いた。
「え!?」アナとサフィアがほとんど同時に言った。
「何?そのドロマニウムって…」
「え…えーっと…その…」
その時、ビルの最上階に人が入ってきた。あのトラックを運転していたDDD兵とドロイドと、このビルにいたと思われる運転していたドロイドと同じ種類のドロイドがやってきた。
サフィアはみんなの会話を制した。
ビルの中の3人は何か話している。
「今から盗聴器を仕掛けてくる。アナ、この受信機を」
 サフィアが盗聴器を仕掛けた瞬間、アナの受信機からヒソヒソ声が聞こえた。
「キタゾ」トラックにいたドロイドが言った。
「ドウデスカ? 今日ハドノ位捕レマシタカ?」今度はそうでは無いドロイドが言った。
「113匹ダ 全ク 日ニ日ニ捕レル量ガ 減ッテキテルナ」
「その内にドロマニウムもできなくなるな…」DDD兵が言った。
「ドロマニウムもできなくなる?何でだろう?」
「シッ!」
「マアイイ ソロソロ 取リ掛カルゾ」
ドロイドがたくさんあるボタンの中の一つを押した。すると下にあるトラックの檻が何の支えも無く…中に妖精を詰め込まれたまま浮き上がったのだ。
それを見たSPE隊は静かに、素早くビルの陰に隠れた。
トラックの檻は一定のスピードで上にあがりビルよりやや高くあがった辺りで水平にあのスペース…ドロマニウムがある所の上にまで来た。そして、天井が開き、檻はゆっくり、ゆっくりと下に…ドロマニウムの方に下りてゆくのだった。
檻の中にいる下の方にいた妖精達はドロマニウムを見た瞬間ギャーギャー叫び始めた。
シャスナが今でも口から悲鳴を漏らしている。
ついに檻の底がドロマニウムの水面に付いた。鏡の様な水面にきれいな波紋が現れた。
その瞬間、檻がシュー!シュー!と言う悲鳴をあげた。
数秒後、妖精の足にも着水した。妖精たちは更に激しい雄叫びを上げた。もうこの世が終わる位激しい、世界で一番耳をつんざく音であった。
シャスナはワンワン泣き出した。サフィアはそれを聞こえない様に手で抑えていたが、そのサフィア自身ももう少し涙が出てきてしまいそうだ。
周りのSPEも少しすすり泣いている人がいる。
そんなことをしている間にも妖精達の半分以上が溶けてしまっている。
「ヒドイ…ヒデェ…ひど過ぎんだよ!!!」アナが怒りに震えている。
「ア、アナ!ダメだ!今は偵察中…です。お静まりになって下さいませ」サフィアが出来る限り声を絞って言った。
「そ、そうね…これが…ドロマニウム…一瞬で何もかも溶かしてしまう最悪の化学兵器」
「でも…なぜ妖精達を?虐殺所じゃない」
「それは…」シャスナがしゃくりながら言った。
――ドロマニウムを作る為にはこのフェリスターに住んでいる妖精のみが持っている物質と何かを結合させるとできるの」
シャスナがマスー並の知識を語った。
その時、サフィアはある事が思いをよぎった。フェリスターに住んでいる…シャスナの両親はもしかして…と言う事であったがすぐに忘れようとした。
もう檻と妖精は跡形も無く解け去っていた。そして、ドロマニウムの量は少し多くなっていた。
受信機からまた声が聞こえた。
「溶ケタナ」
「ソウダ DSS-α(トラックのドロイドの製造No.)イイ話ガアル」
「ナンダ?DSS-β(ビルにいたドロイドの製造No.)」
「実ハダナ 今日コノ星ガ U-Pu2の試撃実験場ニ ナルソウダ」
「な…なんだって!造れるわけ無いわ!」とうとうアナが叫んでしまった。
「ア、アナ!何で!?今日はおかしいよ」サフィアは本当に小さい声で言った。
「誰か…いるな!」DDD兵が窓の方へ振り向いて言った。
「ヤバイ!偵察部隊、銃弾3発放て!」
偵察隊の撃った弾はきれいに窓ガラスを割り、1人のDDD兵、2体のドロイド兵を命中させた。(ついでにドロイドのウエストは約30p)
しかし、DDD兵が死ぬ和際に侵入者ベルを鳴らしていたのだ。なので1階から9階までの全ての窓から中が覗いたのであった。
「す…すいません…私」
「いいよいいよ。叫ぶのも無理は無い。とりあえず武器を下に落としてから着地しよう」
カシャカシャ…と言う武器が地面に当たった音が聞こえた。
「アナ…みんなにミラーコートをかけてやれ」
ミラーコートとは、着ると気体を分裂させて跳ね返し、やや物体の勢いを和らげる光の服である。アナの母星ライトスターで作られるライト・アイテムと言う武器の一種である。
敵に気付かれない様にミラーコートを全員にかけ、彼らはゆっくりと降下していった。
「いいか、着地した瞬間QAT作戦だぞ…」サフィアがみんなに小声で言った。
SPE全員が着地した。トラックにいた物と同じドロイド達が周りに集まってきた。その瞬間SPEは無造作においてある武器を拾ってDDD軍inドロイド軍の中に突っ込んだ。
「あの…私は?」シャスナが辺りを見渡しながら言った。
「そうだった!え〜っと――」
言いかけた時、サフィアの足元へ剣『フェニックソード』が放り込まれた。投げた本人は…アナだ。
「サフィア、行きなさい」
「え!?」サフィアが聞き返した。
「シャスナを連れて彼女の両親を捜すの!」
サフィアはまたドロマニウムの事を思い出したが、すぐに頭を横に振った。
「え…俺、隊長だよな…」サフィアがその事を忘れようと言った。
「分かってるわ。でも感じるの…このビルのどこかにいるって。それに…きっとこれが私の最終決戦だから」
サフィアはまた「え?」と言いかけたがドロイド軍の銃弾が腕をかすったのですぐスイッチを切り替えた。
「敵は…レーザー銃か(この時もまだレーザー技術は最先端)もしかしたら…全滅まで時間の問題かも知れないな…よし!シャスナちゃん、両親に逢いに行こう!」
「うん!」
シャスナはまだ本当の戦争を知らないらしい。サフィアも…鳳凰なんかよりは全然戦争を体験していない。
サフィアとシャスナはドロイドの中を突っ切って走り、ビルの入口を滑り込んだ。

                                 X

 ところでアナは…。
いつもなら相手を気絶させる程度の闘いをするアナがなぜか今日だけは違い、ドロイドをぶち壊し、DDD兵の腹部をつらぬいたりしていた(アナの武器はライトラッシャーと言い、いわゆる仙人の杖の様な物・ライト・アイテムの中の一つ)。
そして、その背中には今は戦うことのできない鳳凰から授かった鳳凰翼輝を装着していて、後姿はどこか彼に似ている。
アナは手を大きく振ると、人一人隠れる大きな3枚の鏡(マジックミラーシールド、ライトアイテムの中の一つ)が彼女を囲んだ。
彼女は何かブツブツと呪文を唱えた。するとなぜか鏡に映っているアナがこの現実世界に出てきたのだ。
それも1人ではない、この3枚の鏡を囲んだ部屋はいわゆる無限の部屋で左右反対の穴が何十何百…と出てきた。
鏡がこのふくらみに耐えきれなくなった頃、鏡は割れ、数百のアナがSPEの味方となった。

それから1時間後…
DDD軍は周囲から援護軍が集まって来、ドロイド兵(スティックストライク以外のドロイドもやって来ている)…は数千、DDD兵は数百に膨れ上がっている。
敵の武器であるレーザーガンによりSPEはもうほとんど全滅と言う状態になっていたのである。
鏡のアナはレーザーを跳ね返す(鏡なので)しかし、なぜか数がどんどん減っている。
本物のアナもミラーコートによって多少のレーザーならガードでき、がんばっていたが体力はもうピークに達している。
―――その時だった…本物のアナの目の前にスティックストライクとは違う種類のドロイドがいた。後ろに振り返るとそこにもいる。左右にも…百数体のドロイドが周りを囲んでいる。
そのドロイドはスティックストライクとは姿形がかけ離れていて、見た目は火星人にマントをつけて、顔は横長、手はネオンの武器『ビームソード』と一体化になっている。
アナは知らないがこのドロイドの名は‘ダルム・ショートナイト’。至近距離攻撃用ドロイドだ。
そう。鏡のアナはレーザーには強いがビームソードにはめっぽう弱いのだ。ミラーコートも何も無いよりはマシだがやはりレーザーよりは効果を発揮しない。
ジリ…ジリ…とドロイドが輪を縮めた。アナは最後の手段としてライトアイテムの最後の武器(?)フェアリーフラッシュのSKフラッシュを試みた。
が…ドロイドはひるまない。ドロイドは強い光を感知しないのだ。ドロイド達は無表情のままニヤリと笑うと(そう見えた気がした)…アナにビームソードの不気味な輝きを見せびらかして襲いかかった。

1人の女性の悲鳴が土だけのフェリスターをこだまし…消えていった…。


アトガキ

ザ・ブラック・エピソード!
イヤー…しょっぱなから暗い話でスイマセン。
これも次作までの辛抱なので…(お
もう眠いし文字数が1万越えそうなんで次回予告は目次の下にある掲示板と小説掲示板に載せます。
ついでに読んでよく分からない所も目次の下にある掲示板か小説掲示板に書き込んでください。後々役立てますので…。
ブーイングでも結構です(オ、イッタナ!?
色んな意味でほんとにスイマセン…グ〜(コラ、寝るな ZZzz∠○_∧_
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