作品名:探求同盟−死体探し編−
作者:光夜
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 放課後、今日一日の授業も終わり僕は帰り支度をしていた。と言ってもそのまま帰るわけではなく、同好会に行く準備でもあるのだけどね。この学校には掃除当番制がない。なぜか掃除だけは業者の人が出入りしているため僕らがすることはない。
ということで、みんなは早々に帰り始めていた。と、席を立ち上がったところで古西さんが近づいてきた。
「これから同好会?」
「うん、やる事が盛りだくさんで困るよ」
「そう、大変ね。あー、じゃなかった。さっきのキーホルダーの飾りのことなんだけどね」
「うん」
「ごめん、二十人くらいに送ったんだけど、誰一人として知ってる人がいなかったわ。どうもマニアックすぎるわね」
なるほど、携帯は機能性は便利かもしれないけれど、持っているのは人間に他ならず、的確に情報が貰えるとは限らない。あくまで時間の短縮がメインだからだろう。
「ううん、協力してくれてありがとう。僕もまた調べてみるよ、大丈夫これが無理なら別な手がかりを探すから」
「ええ、頑張ってね、また何かあれば協力するから」
古西さんにお礼を言ってその日は分かれた。うん、友達関係の滑り出しは順調だった。僕はこの当たり前な生活がこれからも続いてくれればいいと思っていた。
うん、いい感じである。でも、今は同好会に集中しないとね。
いつもの廊下を通って、いつもの時間に部室に到着し、いつもの席で一息ついて、僕は作業に入った。
 「今回は、まだ少ないほうだよね」
 足元に詰まれたダンボールは残りふた箱。順調に行けば明日あさってには終わるはず。まあ本の種類によるんだけどね。この作業で安心できるのは、辞書とかハードカバー小説とか分厚い本が多いとき。冊数が少ないからね。困るのが、文庫本。薄くて小さいから沢山あって、困る。
 今回は半分半分、うん、集中すればちゃんと終わる。でも、次の追加が来るのはいつかは判らない。だから、油断は禁物なのだ。僕は、いつも通り光夜が来るまで、黙々と書き続けるしかないけれど。
 と、その時がらりと入り口が開かれた。あれ、今日は意外と早い登場だね光夜。
 「今日は早いね、三年生とのいざこざはなかったんだ?」
 書類を書きながら僕は話しかける。けれど、後方からの返事はなく、それに足音多くない、なにか?
 「光夜?どうした―――――ん!?」
 次の瞬間、僕の口と鼻を覆うように何かで濡れた布が押し当てられた。スゴイ力で、僕は抵抗出来なかった。最初は腕を振ってもがこうとしたけれど向こうのほうが力が強い。全身を抑えられて、なすがままだった。
 この揮発性な感じの匂い、それにこの脳を喪失感が覆う感覚。まさかクロロホルム!?なんだって、そんなものを僕がされなくちゃ―――――ぁぁ意識が朦朧としてきた。
 「おい、本当に大丈夫かよ」
 「大丈夫だよ、よくAVのビデオでも使ってんじゃん。眠るだけだよ。量も少ないしな」
 「まあいい、手紙置いてさっさと運ぶぞ」
 「へいへい」
 朦朧とする意識の中、僕はそんな四人の声を聞いて、闇に落ちていった。


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