作品名:奇妙戦歴〜ブルース・コア〜
作者:光夜
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シンは呆然と孝太を見ていた、葵も同じだった。
「何だって・・・もう一度言ってくれ」
驚きを隠せないシンはもう一度孝太に説明させた。
「だから、この図書館で見つけた文献に今言った事が書いてあったんだよ!早くしないと大変な事になるぞ」
「何てことだ!だからあいつらはこの町に・・・クソ!」
悔しがるシンは考える間もなく走り出した。
「あ・・・」
葵は止める間もなくシンの姿は道の角へ消えた。
「ねえ孝太、本当なの今言ったこと・・・本当に昔今と同じような『ブルース・コア』が降って来たの!」
葵は孝太に叫んだ、聞かされたことが嘘であってほしいと願うように。
「本当だ・・・ここに書いてあったんだ」
孝太の手には一冊の古い本があった、開かれたページには今から千年近く前の出来事が記されていた。
『時平安の世『保の年』丑三時にて空より黒く光る玉が降る。地上に穴を開けし玉は小さき玉に分かれ『もののけ』へと姿を変え都を襲う。恐れをなした民は逃げ出し宮殿には『童(わらし)』一人として見えない。御門は陰陽の民に頼み『源銅孫(みなもとのどうそん)』とその配下の陰陽師達が動く。都の中心に『もののけ』をひきいて大岩に封印する。『もののけ』玉に戻りて民を救う。封印せし大岩『田の村』の中心に沈め四方に『四つの神』を守りにつかす。永劫何人たりとも岩に触れることはならぬことをここに記す』
そう書かれている、つまりこの星に千年以上前にも『ブルース・コア』の大群が降って来て町を襲い封印された。その封印された岩が『四子神公園』の中央にあると言うのだ。
それを知ったシンは公園へと直走る。
(頼む間に合ってくれ)
願いながらシンは公園へと着いた。
「地図は何処だ・・・・あった!」
入り口にある地図を見て公園の中心に目をやった、そこには確かに岩の絵があった。くしくも名物として。
「あっちか!」
回り道もめんどくさく一直線に走り中心へ向かう道に出た。道には他と違いロープが張られていた。ここは先ほど葵に道案内された所だったのだ。
「ここだったのか・・・もっと早く気づいていれば」
自分を責めながらも走り出しロープを超えた。
走っていくとなにやら検査をしている係員と警官が数人いた。だがそんなのにはかまっていられないとスピードを上げた。
「あ!待ちなさい君立ち入り禁止だぞ!」
当然ロープを張って誰もこないようにしているのだから警官は慌ててシンを追いかけた。
(くそややこしい事になったな・・・)
シンは走る事しかできなかった、徐々に追いかけてくる警察との間が縮まってきた。
「もう少し・・・ここだ!」
突然道が開け木でできた広場に出た。狭い空間の中心に大きな塊の残骸が。
「!」
慌てて近づくが見るも無残に砕かれた後だった。
「ああ・・・何てことだ・・・手遅れだったか・・・くそ」
がっくりとうな垂れ膝をついた、もっとは早く気づきべきだったと後悔してもここにはもう岩の残骸しかないのだ。
(待てよ、あいつらは仲間を増やすために今まで被害を出さなかったとしたら・・・)
今までこの町に『ブルース・コア』がいた理由はこの岩が目的だった、そして自分達以外の被害を出さなかったのは岩を壊すまで自分達の存在を見つけられないように隠密行動をとっていたとしたら。
(まさか!)
シンの脳裏に一つの結論が出た。
(仲間を増やした今やつらは表に出てくる!)
目的を達成させた『ブルース・コア』の目的が今度はこの町を星を乗っ取ると言うのに変わったとしたら。
「まずい、早く見つけないと大変な事になる!」
気持ちを切り替えたシンは来た方向を逆に走った。
「あ、こら待ちなさい!」
警官は手を伸ばし呼んだがシンは走り去った。
「何だったんだ?」
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