作品名:Who is she
作者:InVillage
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―――6日目―――
ドーンと大きな音がどこからともなく聞こえた。
花火だ!
花火が見える!
夜空に花火が大きな音を立てて花開いている!
花火はやっぱり綺麗だ。
花火が夜空を七色に照らす。
花火?
いや…
違う…
僕は小学生の時に視力を失った。だから、これは夢なのだと気付いた。
「悠介さん!悠介さん!起きてください!」
ああ…
若い女性の声で僕は夢から連れ戻された。
「悠介さん、たまには自分の力で起きて下さい!」
「おはようございます、サヤカさん」
すると彼女はお得意のクスクス笑いをしながら「おはようございます」と言った。
「今、花火の夢を見てました」
「夏になったら行きましょうね。花火大会」
「はい」
彼女は満面の笑みだ。
僕はもう目が見えなくても、彼女の表情がわかる。
「サヤカさん、今日は本当に部屋の中にいるんですか?」
すると彼女はベッドに近づいてきて僕の左腕を掴んだ。
「忘れたんですか?私、今日から正式な園山家のお手伝いさんですよ?自由に園山家に出入りできるんですよ?昨日、悠介さんがそう言ったんじゃないですか」
「そうでしたね」
「それより今日はどこに行きますか?」
「そうですね…歩きながら考えましょう」
「はい!」
すると彼女は部屋の入り口に移動してこう言った。
「じゃあ、私、門の所で待ってますね!」
END
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