作品名:礼拝堂の奇跡
作者:りみ
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――外はもう暗いな。
にしても、あいつらはいつ帰るのだろうか?
話によれば、雪山のなだれにより下山は遅れるそうじゃないか。
まったく、なんでこんな所にきてしまったんだろうな。
だが、俺は思った。
殺される前に相手を殺せばいいのだ。
そうだ、先生やあの人が甘かっただけなのだ。
俺は違うぞ、絶対に違う。

【・・・・・・コン、コン】

?誰だ?
“犯人“かも知れないな。用心して、ナイフでも背中に隠しておくか。

【キィッ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・】


――――――――!!!!!!!

【ゴトッ!!】
俺は思わず武器を落としてしまった。なぜか?だって、その人物は・・・・・・――――



【・・・・・・・・・・・・・・グサッ!!!!】

・・・・・・・・・・・・ぐっ・・・・・・・・
“第三の被害者”は俺なのか。それにしてもなぜ・・・・?
考える間もなく、ナイフの先は俺の中へどんどん進入してくる。
「グアァァッ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

死ぬ瞬間というのは痛みも感じないのだろうか。いや、激痛を通り越しているのだろうか。
俺のわき腹から出てくる赤い噴水。その赤い噴水はとめどなくあふれ出る。

・・・・・・・・・・・・・・・“死”を痛感した。
だが、なぜあんたが?あんたがなぜ?あんたが俺を殺す理由が見当たらない。
そんな俺の様子に気がついたのか、そいつは俺の耳元で何かをささやいた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!!!!
「わかってるはずでしょ?」
それが、俺が聞く犯人の最後の言葉。
まさかアンタが・・・・・アンタが・・・・・・・・・・・・!!!

・・・グッ。
“カオル”はもう去って行った。当然だな。見られたらアンタは終わりだからな。
・・・・・・・・・オレももう終わりだな。
貧血を通り越したものを感じる。赤い噴水が水溜りを作り俺はもう起き上がれない。
・・・・・・・・・・クソッ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
何か書くものはないか。血であいつの名を書けないか。ああ、指が動かねえ。

・・・・・・・・・・・・・・・・コレを・・・・・・つ・・・か・・・・む・・・・・・・・・・・か・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


                  ――――第三の殺人、完了――――

****************************

「・・・・・・・・・・・なぁ、連ちゃん」
「ん?」
「どう思う?」
「・・・・・・・・・・・さぁ」
「ファデーションなんか落ちとったんも気になるわぁ。なんで青色のファンデーションなんやろ?」
「・・・・・・・・・・・・力を入れて引っ張ったときに落ちた・・・?・・・化粧品ってそんな簡単に落ちる?」
「・・・・・・・ん〜〜〜・・・・ずーっと下向いとったらたま〜に落ちるよ」
「フーン・・・・・・・・・・・・・・・」


【トポトポトポトポ・・・・・・・・・・・・・・・・】

「!!!これっ・・・・・・・・・・・・・血やん?!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・こっちだね」
赤い血は、上野の部屋の下から流れ出ていた。
「この量、半端やないやん!!ちょっ、上野さん!?上野さん!!!」


【ガチャッ・・・・・・・・・・・・・】

鍵はかかっておらず、すんなりと扉は開いた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ハー・・・・・・・・・・・・・・・・・」



血がドロドロと垂れ、うつ伏せに倒れ、左手にペンを持っている―――上野の遺体が発見された。
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