作品名:RED EYES ACADEMY V 上海爆戦
作者:炎空&銀月火
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「下等生物は、生きる価値無し」
司乎の後ろで、黎の声が聞こえた。同時に背中が裂け、司乎がのけぞる。
「……」
無表情のまま、黎が手突き出す。その手が狙っているのは、司乎の心臓。
「司乎!」
凛には、何が起きたのか解らなかった。
突如、甲高い叫び声と共にナイフが飛来し、黎の腕に突き刺さる。そして屋根から少女が降ってきた。
「うおっ! 勘で投げたらあたっとる! さすが私! 天才!」
「…麗香…?」
「そう! 天才少女、呉・麗香参上!」
高々と腕を掲げて宣言。その横で、司乎は痛みに耐えながらあっけにとられるという世にも珍しい反応を示していた。
「ほら! 立ってお兄ちゃん! 小牙も!逃げるよ!」
「逃がすかぁ!」
隊員達がサッと動き、入口を封鎖する。それを見て、麗香が舌打ちした。
「ちっ。塞がれたか。この人数だと強行突破は無理…」
カチリ、と嫌な音を凛は聞いた。聞き慣れた音。拳銃の安全装置を外す音。
「伏せろ!麗香!」
え? と振り向いた麗香が吹っ飛ぶ。床に転がった身体から、赤い物があふれ出した。
「麗香!」
司乎が叫び、駆け寄る。しかし、手遅れだと言うことは明らかだった。
脈がないのを確認して、司乎が肩を落とす。そして瞳に炎が宿った。
「貴様…麗香を…」
銃声がもう一発。今度は司乎の右腕を打ち抜く。
それでも司乎は顔色を変えなかった。
「許さねぇ…お前ら、絶対に潰してやる!」
そして凛を指さし、叫ぶ。
「お前もだ!小牙!!」
「どうやって逃げる気だ」
背後から黎の冷たい声。血を流す腕を押さえ、相変わらずの無表情。
「……こうするのさ!」
そしてポケットからボール状の物体を取り出し、ピンを抜く。それをすばやく壁に投げつけた。
 凄まじい爆破音と共に、壁にいたキメラが吹っ飛び、倒れる。辺り一面に瓦礫が積み重なり、砂埃が舞い上がった。
視界が開けた時、司乎の姿は消えていた。点々と血の後が外に続いている。
黎が口を開いた。
「第三隊と第五隊、追跡」
「五番目の本物はどうなさると…!?」
「残りで充分だ。…行け」
凛と視線を合わせ、にらみ合いながら呟く。キメラ達の気配が、消えた。

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