作品名:礼拝堂の奇跡
作者:りみ
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「・・・・勉君は・・・・・勉強がものすごくできて、高校も推薦でいける人でした・・・・・・。・・・・・勉君、母子家庭だとか言ってて、母親も忙しかったから、勉君一人で頑張っていたんです。・・・・・なのに・・・・・・・・」
桜木は一瞬間を置いて、向き合って話した。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・勉君、死んだんです。交通事故で。・・・でも、みんなみんな“自業自得”だって言っていました」
「・・・自業自得?事故なのになんで自業自得なん?」
佐藤の問いに桜木が答える。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・解剖でわかったんですが・・・・・、勉君、かなりきつい麻薬常用者で・・・、もう骨もボロボロで、車が見えなくて事故にあったそうなんです。・・・それでみんな、“麻薬なんて使う方が悪い”って・・・・・・、私、ショックでした。私、勉君のこと好きで・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・かなしー話やな・・・・・・・」
「・・・・怖いんです・・・もしかしたら、自分をあんな目に合わせたのは人間達だ、だから殺す・・・・・っていう風に思っているんじゃ・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・そんな心配ないんとちゃいます?復讐にしたって度がすぎますし、呪いで人が死ぬはずありませんよ!霊とかあんなん嘘っぱちです!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・あのさ」
「え?」
「・・・化粧品って持ってる?」
「えっ?ええ、持ってるわ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・青色のファンデーションある?」
「ファンデーションなら一応・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ふーん」
連と佐藤は出て行った。
その後姿を、不気味なほどに桜木はジッ・・・と見つめていた。
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「・・・郷田さんが殺された理由はあいまいやな・・・・・・星崎さんなんか全くわからへんわ。何で殺されたんやろ?それも殺され方全然ちゃうやんね?何であんな高い所に・・・・・」
「・・・犯人に気づいて、そんで逆に殺されたとか」
「あ〜!それありゆるな〜〜!」
「・・・それか、あの人も麻薬使ってたとか」
「え〜〜!そんなんないやろ〜!・・・ていうか、何年もやっとったらふつー死ぬんちゃうかな〜?ボロボロになって」
「・・・・・・いるんじゃないの?そーゆーのやっても平気な人って。ヤクザとかやってても平気だし。・・・どっかおかしいとは思うけどね」
「なるほどなぁ・・・・・・」
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「ウチ、ちょっと庄治はんと話してくるわ!」
「?なんで?」
「なんでって、謎解き紀行のことやん!こんなん、ほんまに人魂どころじゃないやん!だからちょっと言ってくるわぁ♪」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ」
「?」
「・・・・ついでに、“コレ”も聞いてきて欲しいんだけど・・・・・――――」
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「!」
連と片山がすれ違う。
「あら・・あなた確か連ちゃんよね?」
「?」
「ねぇ・・・、この事件って、警察にまかせればいいんじゃないの?首つっこんでるみたいだけど」
「さぁ・・・警察来れないでしょ。一応佐藤さんが呼んだけど・・・」
「そう・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・あのさ」
「?」
「ひょっとして・・・・わざと遭難した?」
「エエエエ!!??そ、そ、そんなことはめっそーもごぞんじありませぬ・・・」
「・・・・・・・・・・・・やっぱね」
「・・・・・・・・・なんでわかったの?」
「用意がよすぎるよ。日帰りだったら服は用意しないらしいし。しても1こぐらいだってさ。けど片山さんは服結構持ってきてんじゃん。・・・その服昨日のじゃないし」
「・・・・フッフッフ、それだけで決めちゃダメよぉ♪」
「・・・スキーコースに詳しい片山さんがメチャクチャ行ったんだったら、帰る気なんてなかったんじゃない?」
「鋭いわねぇ、あなた・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そうよ、あたし、帰るつもりなんて無かったわ。いや、変な意味じゃないわよっ!!もちろん帰るわ、ただ・・・この近くの礼拝堂に来たくてね」
「礼拝堂?」
「なんかね、ものすごくキレイな光が出るって聞いたのよ」
「・・・“人魂”ってきいたけど」
「ええ!!??あら、そうなの??蛍の光のようにキレイな玉が浮くって聞いたからそれを見たくて・・・いえ、上原君に見せたくて・・・」
「フーン・・・・・・・・・・・・・・・・?」
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【スル、スル、スル・・・】
カオルは、冷たくなった星崎のを下ろす。
そして呟くのだ。
「・・・・・・・・前田勉の・・・・・仇(かたき)だ・・・・・・!!!」
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