作品名:Three Stars and the Earth〜他星への進出〜 中巻
作者:キラ
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19話 3D

あと2・3話でこの小説『THREE STARS and the EARTH〜他星への進出〜』は最終回になります。
よくガンガッタな…自分。
次は『The LAST WORLD WAR〜戦いの中の闘い〜(仮)』です。きっと…。


あらすじ…ついにサフィア達はディマクラスターに到着した。
そこで行われた会談で、アストロはディマクラ星と地球を同盟で結ぶよう強く言った。
しかし、サフィアはディマクラスターがDDD帝國連邦の中心となるDDD星…デス・ディメン・ダーク・スターである事を見破る。
サフィア達はこのDDDと3度目の戦いの幕があがった。

T

DDD星に風が吹き、雲が出、空が急に暗くなった。まるで、黒い雨が降ってくるかの様に…。
サフィアはじりじりと後退した。ループランスを持ったアニメンス・サークルピラー(AS)はふよふよと前に出た。
「コイツ…なかなか腕前だな。オーラで分かる」
サフィアが言った。
「よく分かったな…私はコマンダーだ…。分かるか?DDD軍の階級の中で一番高い位‘CO’なのだ。他のドロイドととは違う並々ならぬ訓練してきた…。私は幾度もの戦闘で功績を得た、AS-δδその者なのだ」
ASはループランスをグルグル回した。先端にある話からプラズマが飛び散った。
「そうか…面白い…俺もSPEの中で一番高い階級‘隊長’であり、みんなより数倍もの努力をし、数々の戦いを勝ち抜いたサフィア…SPE隊長サフィア!俺はここでお前を倒し、みんなを助ける」
サフィアは全力でASめがけて走り出した。
同時にASもサフィアの方向にハイスピードで進みだした。
ちょうど2人…1人と1体がいた所から半分辺りの場所で金属がぶつかる音がした。
ギギギ…金属の擦る音。
「私をドロイドだと思ってバカにするなよ…私は人の様に賢く、兵器の様に強いのだ。人間ごときに負けるはずが無い!」
ASの大きな一つ目を充血させながら叫んだ。なかなか迫力がある。
「お前には…誰か一人、必ず護ってみせたいという者はいないだろう…。誰かを好きになった事が無いだろう…。お前はドロイドだ…ただ戦う事しか脳の無い奴は、何者でもない、ただのドロイドだ!!!」
今度はサフィアが叫んだ。2人は身を引いた。また2人の距離が遠くなる。
「そうか…まだまだだな…。誰かを護る?そんな事、戦争には必要ない。そんな事をしたら必ず隙が現れ、皆殺しになるだろう。予言する…君は、その大切な人を護る為に死ぬだろう」
ASはループランスを構えなおした。火花のような稲妻が飛び散った。
「そうか…やはり戦う事しか頭の無いドロイドか…。みせてやろう…お前がけなしたその力を…見せてやる!」
サフィアは剣を前に突き出した。彼は集中力が高まり、身体から湯気が出るほど熱くなっていた。
2人はもう一度走り出した。今回、サフィアは盾(バリアブレス)を使わない。だから素早く動けるのだ。
彼はソフィヤ達の所に早く行く為に速攻での勝負をするらしい。
ASはそれを見て叫んだ。
「30秒だ…30秒で蹴りを付けてやる」
ASは速攻には速攻が有効だと思ったらしい。
ループランスをグルグル廻しながらサフィアの剣を柄で封じ…封じながら先端のループでサフィアを溶かそうとする。
サフィアはかろうじて避けに避けて応戦している。
その時、ASのマントの穴(まるで見えない腕が通りそうな穴)から何かグロテスクな手らしい物が出てきた。
サフィアはそれを見た瞬間、ゾクッとした。
その手がグロテスクだからでは無い。その手が持っている物を見てゾクッとしたのだ。
――それはレーザーガンであった。
サフィアはそのガンからレーザーが出る数秒前に側転して避けたが、あまりにもいきなりだったので何がなんだったのかよく分からないままでいる。
「クックック…これで30秒だ。よくかわしたな…。そこで君に一つ教えよう…このマントの中は…何になっているか分かるか?このマントの7割は空洞だ。そして、あとの3割は超超電導磁石反発装置とその他の細かい武器、そして第3の手があるのだ。そう、ASに弱点はどこにも無い、残念だったな」
サフィアはじっとASのマントを見た。そして顔をみた。そして…なぜかニッと笑った。
「10秒だ…今度は10秒でお前を倒す」
彼はASに指を指して言った。
「バ…バカな、できるわけが無い。そんな短時間で…」
ASが目をカッと開いて言った。
サフィアはそんな事を無視してAS向かって突っ込んだ。
10――ASは急いで戦闘の構えをとり、レーザーを連射した。
9――サフィアは銃口の指し示す方向を見ながら蛇行しながら避けた。
8――彼はぐるりとASの周りを回り、レーザーを持っている手をフェニックソードで切断した。
7――ASは痛さにうめきごえをあげた。
6――なぜかサフィアは唯一の武器、フェニックソードを天井高く(ここの天井は20mほどある)投げた。
5――ASはニヤリと口をゆがませて力任せにループランスを振り回した。
4――サフィアはバリアブレスを出し、ASの攻撃を防いだ。
3――ASがふと思い出したかのように上を向いた。
2――上からサフィアの投げたフェニックソードが落ちてきた。が、それは命中せずにAS左1mの所に突き刺さった。
「これでとどめを刺すつもりだったか…バカめ、こんなネタは…」
ASは誰とも話してはいなかった。サフィアが消えていたのだ。
ス――とサフィアがASの後ろに現れた。そう、剣はASの隙をつくる為のおとりだったのだ。
その一瞬の隙で彼はASの背後をとり、そして…サフィアはASがかぶっているニット帽の様な物をはぎ取った。
そのの中から何やらゴチャゴチャした機械が詰まっていた。
「な…何をする!!!」
ASが暴れた。しかし、もう遅かった。
「1――時間だ。お前の弱点は…このニット帽に護られているメカだ。きっと、人間で言う脳と心臓が合体したようなもんだろう」
「ああ…正解だ…君は強い…大切な人を護る力がこれほどまで強いとはな…言ってみれば、マントの事を言わなければ勝っていたかも知れぬ…。さあ、一発でやってくれ」
ASは、死を悟ったのだろう…。非常に穏やかな口調で言った。
「きっとそうだったかも知れないな。じゃあ…ありがとう。ナイスファイトだった」
そうサフィアが言うと、バリアブレスで思いっきりそのメカを壊した。
その瞬間、フ――とASのマントが地面につき、赤い一つ目は光が消え、まぶたを閉じた。
そして…この部屋で動く物はサフィアだけになってしまった。
「…スマン、AS。敵同士、こうするしかなかったんだ。根は良い奴じゃないか…」
サフィアは…ポツリと呟いてこの部屋の窓からフーリブレスを使って外に飛び出した。
目指す場所はただひとつ、ソフィヤ達のいる国民ホテルへ――

U

アストロ達3人(とAS1体とステアリン)は皇帝の身なりをしっかりと守り、コツ…コツ…とゆっくりホテルまでの道を歩いていた。
後に続くドロイド達はまるで大名行列の様に長い列を作っている。
連隊はホテルの目の前で止まった。ざっとこの国民ホテルは100階を超えるだろう。
「これからホテルに潜入する。まだ戦闘準備はするな。ここで待っていろ」
アストロがウルフに向かって言った。
彼女はフフフ…と微笑した。彼女なりの了解の合図らしい。
皇帝はホテルの中のロビーに行き、受付譲の手前で止まった。
そこにいるほとんど全ての人が引きつった顔で皇帝を見ている。
「お勤めご苦労である」
アストロが見下した口調で言った。
「あ…お見えになれて光栄です。閣下」
受付譲が震えながら言った。
「今からこのホテルにいるある人達を抹殺するために来た。ある人達とは…誰だか分かるな?」
ロビーにいる人々はこそこそと階段がある方向へと歩き出した。
「も、もちろんでございます。ソフィヤ様、ロッジャー様…」
「敬称ま全て消し去れ!」
アストロがうなった。受付譲はヒッと小さな悲鳴をあげた。
「申し訳ございません…閣下、どうかお怒りになさらないで…」
「…そんな事はどうでも良い。我々DDDは虫けらどもを駆除するためにこのホテルの協力を願いたい」
アストロがゆっくりと言った。
「あ…も、もちろんホテル側として全力で援護いたします」
「そうかそうか。ならばその虫けらの部屋の鍵をロックしろ。そして、その部屋の天井にある火災粉末消火器から気体二酸化炭素を放出せよ。それで死んだらそれで仕方がない」
「え…え!?それは…」
「3分間待ってやる。3分たってできなかったらキサマと、ここのお偉いさんを…」
アストロがわざと聞こえる様に呟いた。
「わ、分かりました!今すぐにやって見ます!」
受付譲は必死に言った。
彼女は必死にそのお偉いさんに問いかけてソフィヤ達の居る号等の鍵をロックし、火災粉末消火器から気体二酸化炭素を放出した。

これがアストロの本性である。自分に逆らう者は徹底的に潰す。それが例え自分の星の人でもウルフ(逆らったのなら)…でもだ。
アストロはこの上なく闇黒で悪意に満ちたDDD帝國の独裁者なのである。

「あ…完了しました」
受付譲が言った。
「そうか…ではもうここに用はない。虫けらの居る部屋に死体が転がっていたら排除しておけ」
アストロは冷たく言うとクルリと後ろを向き、出口へと進んだ。
「…ふ〜、死ぬかと思…ったでございます」
彼女は震える手でコップに水を注ぎ、水を飲んだ。
水面が波打っていた。
そして…ソフィヤ達の運命は!?

V

アストロが外に出た時、激しいレーザー音が聞こえた。
「閣下、敵ガ 逃ゲヨウト シテイマス!」
一番下級ドロイドのダルム・スティックストライクが空高くを指差した。
そこには点としか言いようのない物体が6粒あった。
「クックック…どうやら私の思う様に物語が動くらしいな」
アストロが言った。
さっき受付譲に命令した事にもアストロの計画内なのだ。
つまり、アストロはソフィヤ達の居る部屋のドアをロックし、火災粉末消火器から気体二酸化炭素を放出したのは彼女らを窓からホテル外に逃がす事だったのだ。
しかし、なぜ彼は彼女らが飛行器具を持っている(スーとネオンは除く)事を知っているのだろうか。
推測で言うとステアリンがアストロに伝えた、又はブレインが彼に教えたのだろう。
…そして空から戦闘機で高度を下降させ、捕らえさせて洗脳させて…皇帝の手下に加えさせるのだろう。
「と言う事だ。すぐに戦闘機の準備のとりかかれ!」
「分かりました。閣下」
ドロイドの大軍に紛れ込んでいた真っ黒な人影、骸骨の顔、血の臭いが付いたカマ…ステアリンとは全然違う死神が無表情で言った。
その死神はふよふよとまるでASの様に浮いて遠くにある軍事飛行場の方へと飛んで行った。
「よし…それではステアリン」
アストロが彼女を呼んだ。
「はい、何でしょうか、閣下」
彼女が答えた。
「これが最後のみんなを見返すチャンスだ。このドロイドの軍勢の総司令官は君だ。任務は…上にいる虫けらどもと、サフィアと言うアホを捕らえ、はむかった場合の処理を任せる」
「え…それは…」
それは、サフィア達との…今まで仲良くしていたサフィア達との縁をスッパリと断ち切ると言う事だ。
ステアリンは例え皇帝の命令でも、それだけはできなかった。自分のことを認めたみんなを…敵として‘殺す’なんて事は…。
「い、嫌です!私は…そんな事…」
「そんな事想定内である。私は実験のため、君を使う。この、生物をドロイドの様に動かす事が出来るベルトだ。もちろん死神…それもエケトリックにも通用する。一度付いたらとれる事はない。付けたらどうなるかは名前の通りだ。感情がなくなる。オートメイク社のガゼット博士の力作だ」
アストロは、ぽいとステアリンの方にそれを投げた。すると、自動的の彼女のウエストにガッチリ装着された。
「そんな…助けて…」彼女は言おうとした。が、まるで口がそれを拒むかのように声にして外に出せない。
ふらっと意識が遠のいた。しかし、足は地についたまま直立している。
――コウテイノ メイレイニ シタガエ――
――シタガワナケレバ ワタシハ ナニモナイ――
――コウテイノ メイレイニ シタガエ――
「…DS(ダルム・スティックストライク)諸君、あの虫けらどもに威嚇弾発射!撃てない者、サフィアを探せ!」
ステアリン…なのか?この声は、まるでロボットのように感情が無い。しかし、その姿形、肌の色はあのステアリンその物なのである。
ベルトが、不気味に輝いている。
一瞬にして、このベルトによってステアリンは異様なほどの変貌をしてしまったのである。

W

一方、ソフィヤ達はしたからの威嚇レーザーを必死に避けていた。
威嚇なので致命傷にはならないが直撃したらとても戦う所では無い事はみんな分かっている。
それにもし威嚇レーザーが飛行器具(ソフィヤは12話あたりで生えてきた翼。シャスナは小さな羽、鳳凰翼輝は使っていない。ロッジャーはVブーメランのブースター)に当たってしまったら墜落はまぬがれない。
そして必死に落ちまいとソフィヤ達につかんでいるネオンとスーの手に当たったら取り返しのつかない事になる。
「なんで…こんな目に遭うんだよぅ」
スーがへなへな言った。
「どうやら…ワイらは騙されてたみたいやな。あのグリセリルとやらに」
ネオンが怒りをこらえて言った。
「いや、グリセリルさんじゃない。あの人の局長に騙されていたんだと思うわ」
ソフィヤが言った。
「じゃあその局長は――誰じゃん?」
ロッジャーがレーザーを避けるために急旋回しながら言った。
「それは私たち誰も知らないはずですよ」
シャスナが必死に言った。
その時、前方に円盤のような物が見えた。
「て、て、敵だよぉォォォォォ!!!もうだめぽ…」
スーが騒いだ。
「ちょっと!暴れないで!あなたを落としちゃう!」
スーを必死に持っているソフィヤが言った。
すると、スーは急に動かなくなった。
「ど、どうしたの?」
ソフィヤが尋ねて下を見た。
そこには…スーがいた。そして、気絶していた。
「…おーい…スー…何やってるんだー…シャスナ、ちょっとこいつが落ちないように下を支えて」
ソフィヤが棒読みで、半分呆れて言った。
シャスナがスーの足をつかんだちょうどその時、遠視ができるあのゴーグルを装着したロッジャーが叫んだ。
「違う!あれは円盤じゃない。サフィアの――‘フーリブレス’だ!!!」
「サ、サフィアだって!?生きてたのか!」
ネオンが歓喜をあげた。

「みんな、遅れてスマン。俺とアストロとウルフ…皇帝と女帝と会談をして、同盟に加盟を勧められたんだが、それを拒否したらこんな事まで事が広がってしまったんだ。俺の責任だ」
サフィアがみんなに謝った。
「…で、なんで加盟を断わったんやねん。ワイらが怒るのはその後によるさかい」
ネオンが言った。
サフィアはアストロ…DTらと会談した事を一部始終伝えた。
「なるほど…DDDのやつら、ついに全貌を明かしつつあるのね」
ソフィヤが少し考えながら言った。
「そうらしい。DDDは世界征服…いや、宇宙を征服するらしい」
「そんな奴らのために、地球なんて渡せないじゃん!」
ロッジャーが手をグッと強く握り締めながら言った。
「それはそうと私達、逃げた方がいいんじゃ…」
シャスナが一点を見つめながらワナワナ言った。
「え…?」
彼らはクルリと後ろを振り向いた。
そこには巨大な飛行艦の姿があった。
まだまだこっちに襲ってくる。
「に…逃げろぉォォ!!!」
サフィアが叫んだ。が、もう遅かった。
飛行艦から発射された威嚇弾がサフィア達のすぐ近くで炸裂した。
彼らは威嚇弾の爆風によって四方八方…いや、六方に吹っ飛ばされた。
…その弾が爆発した所は標高250mと言う高き空であった。そして、その空の色はどんどん黒さを増していた。

まるで地獄のように…。

X

シャスナは霧がかった深い緑の森の中にいた。
どうやらその森は杉の様な針葉樹の樹海らしく、地面は異様なほどぬかるんでいる。きっと霧のせいだろう。
彼女はゆっくりと上を見た。何百年も生きていそうな幹の太い木々が遥か高くで葉を出している。
そしてなぜかシャスナの真上だけその葉が無く、暗い空を覗かせている。
次に彼女は下を見た。何本もの折れた木の棒が落ちていた。
しかも自分の半分がぬかるんだ地面にめり込み、全身泥だらけであった。

――もしかして、この自然達が私を救ってくれたの?

シャスナはふと思った。
だが、自分は本当に生きているのだろうか…。あの高さから落ちたらとうてい助かる訳が無い。

――立てるかな――あっ――立てた…

どうやら骨は折れて無いらしい。彼女は余計に自分は生きているのかどうか心配になってきた。

――タスケテ――

!!!

彼女は誰かから呼ばれている気がした。
――行かなきゃ
彼女はためらいも無く樹海を歩き出した。
方角?そんな物分からない。樹海だもの。
助けを呼んだあの人は誰?分からない…敵か味方かさえも…。

――タスケテ――

シャスナは歩いた。そして、着いた。
そこは洞窟だった。
彼女ははえている羽に蓄えている薬粉の中の光苔を取り出し、手に塗りつけた。
その暗い一本道の洞窟はその手周辺のみがぼうっと白く光り、その光をあてに彼女はゆっくりと進みだす。
ポタッ――鍾乳洞であるこの洞窟。鍾乳石の先端から水滴が落ちた。
助けを呼ぶ声が耳の中でこだまする…。
何分間歩いただろうか。ついに洞窟の最新部に着いた。
しかし…そこに生物がいる気配は無かった。
シャスナは急に、これは罠なんじゃないのかと思った。
その時、何やら赤い点が2つ。白い線が1本ニュッと現れた。
シャスナは声にならないほどの叫びを上げた。背筋は凍り、目はそれを凝視している。
今にもそれに殺されるのかと思い、目はつむり、身を固める。
この瞬間、この洞窟が眩しいほど光った。
誰かが光を放つ呪文‘SKフラッシュ’を試みたらしい。
――それが敵かどうかは分からないが確率的に味方では無いだろう。

――やっと、僕のSOSが届いたんだ。ありがとう!

シャスナの前方でそんな声がした。正確にはさっきの赤い点辺りからである。
もしや…と思って彼女は目を開けたがまだ目がなれていないので周辺が何も見えない。
「あなたが…助けを求めていた人なのね」
彼女が言った。だが、まだその人が敵か味方か分からないので緊張はどうしてもとれない。

――助けを求めていた…人?何で僕が人なんだ?僕は…死神の助けをする「使え魔」だよ

死神といえばDDDのドロイド以外の兵隊であの飛行館の操縦をしていた人も死神だ。もちろん人の命を狩る。
「え!?と言うと…あなたはDDDの…味方?それに使え魔って?」
シャスナが恐る恐る言った。

――う〜ん…普通の死神と僕達はDDDの味方だけど、僕とリンは違うと思う。
――使え魔ってのは…僕を見れば分かるでしょ?要は妖怪だよ。

妖怪…妖怪って一つ目小僧とか傘のオバケ…ってあれはオバケか。
彼女はそんな事を想像した。
それはそうと、この使え魔は敵では無いと言う事が分かった。
彼女は相打ちを打ってしばらく沈黙が続いた。段々と目が慣れてきて洞窟が良く見える様になってきた。
そして、シャスナはその使え魔の姿を見て驚いた。
「ね…猫!…?しゃべってる…?」
この使え魔は一つ目小僧でも傘のオバケ…はオバケか…。失礼…でもなく、猫に黒い翼が生えている生き物だった。
「僕は猫じゃないって!僕はブラック・ウィング・キャットと言う妖魔だよ。だから普通に話せるし、さっき君を呼んだようにテレパシーやSKフラッシュが使えるし、透明にもなる事が出来るんだ。使え魔として働いてる僕の主人、リンからはニックネームとしてブラットって省略されて呼ばれてる。…あ、ちなみに血は英語でブラッドだから。‘ト’と‘ド’の違いだけだから良く間違われるんだよなぁ〜」
使え魔のブラック・ウィング・キャット…ブラットは軽くボケを飛ばしながら言った。
そんな余裕があるブラットだが鎖らしき物が首輪につながっている。人で言うと囚人の様だ。
「私はシャスナです。突然ですがブラットさん、なんでこんな鎖なんかでつながっているんですか?」
シャスナが尋ねた。
「それは…さっきも言った様に僕とリンはDDDの味方じゃないんだ。だから…DDDは無理矢理リンを働かせる為に僕を人質にしたんだ。そして、命令に従わなければ、僕を殺すってリンを脅したんだ。だから…リンは優しくて、そしてなき虫だから泣きながらDDDの所に連れて行かれたんだ」
シャスナは静かにうなずいた。この使え魔が急に悲しい目をして…いや、最初から悲しい目だったのかも知れない。とにかくこの使え魔はかわいそうだと思った。
「私に出来る事は無いかな?そうだ、その…彼女以外のDDDの手先にいない死神じゃなくて彼女がDDDに連れて行かれたの?」
シャスナが思い出した様に言った。
すると、ブラットはさらに悲しい顔をした。
「リンは…エケトリックなんだよ…。それも他の死神よりも変わりに変わったエケトリックなんだ。普通死神に感情は無い。あるとしても殺意と怒り位しかない。なのにリンは優しくって、なき虫で、そして思いやりがある。しかも死神の服…闇とフードの衣って言うんだけどそれも着ようとしないで真っ白な服を着てるし…。話し上手で命を狩る道具の鎌も‘まとも’に使った事が無い。とにかく何もかもが死神と違うんだよ…リンは」
シャスナの頭がふと――何かをひらめいた様な気がした。
その人に会った事がある…そんな気がする。
エケトリック…感情がある…白い服…もはやあの人しかいない。
「ブラットさん!私にもできる事が見つかりました!そのリンさんに会わせてあげます!」
シャスナがいきいきと言った。最高の笑みをこぼしている。
「ほ…本当ですか!なら…よろしくお願いします!」
こちらも笑顔で返した。
「じゃあ…行こうか!」
シャスナがはずみながら洞窟を戻りだした。
ブラットは、はずみながらその場で行進した。
…忘れてた。彼の首には鎖が付いていたんだっけ…失礼失礼…。
「ゴメン…今、鎖を解いてあげる。ライトラッシャーよ…いでよ!」
シャスナの手に光が集まり、仙人の持っている様なファンタジックな杖が出てきた。
そしてそれでブラットの動きを制している鎖を切った。
ガシャンと言う音と共に鎖であった金属が地面に落ちた。
「迷惑かけてごめん…。じゃあ行こう!僕のご主人、リンがいる所へ!」
ブラットが言った。
そして2人はブラットから放たれる光を頼りに出口目がけて洞窟を駆け出したのであった。
その時…サフィア達は…。

アトガキ
フー…長かった…。
あ、ドも、ノベリスっす。
この19話…凄く長い気がする…けど短いんだよな。
そう言えば…この小説ってSFなのか?(何をいきなり!?
自分的にファンタジーっぽい気がする…。
ほら、あの魔法じゃないけどSKフラッシュとかSKファイヤーとかやるじゃん?
それに妖精とかいるしなんか有名なRPGに見えるのは自分だけなのか!?
…意見求めます。場所は小説掲示板で(宣伝
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