作品名:RED EYES ACADEMY U 脱走
作者:炎空&銀月火
← 前の回  次の回 → ■ 目次
「なんと!“彼女”が敗れたのか!?」
その日の幹部会議は、驚きの声で始まった。
「…彼女は、脱走した五番目の本物とほぼ同格、もしくはそれ以上の力を持っていたはず。一体何があったのだ」
激しい詰問の声に、黎の担当指導官は身をすくめていた。
「そ、それが…。彼女が言うにはどうも潮沢凛は“狂戦士化”を起こしたようで…オリジナル特有の眼下斑が現れたと言っていますので、確かな情報かと」
途端に、あたりが凍り付いた。
 “狂戦士化”。新成人類とその遺伝子を組み込まれたキメラ・レッドアイのみに起きる特殊な現象。そもそも、全てのキメラとオリジナル達は生まれながらにしてもう一つの人格―獣人格を保有している。それは、普段は精神の奥底に封じ込められているが、何らかの原因で基本人格が弱体化、もしくは獣人格が活性化し、力のバランスが崩れると、基本人格に代わり獣人格が現れる。
そして、獣人格はその名の通り、獣の人格。理性はなく、ただ本能的に血と殺戮を求める。
 基本人格を取り戻す事は困難である。一旦追いやられた基本人格が自力で発言することはほぼ不可能と言っていい。
 唯一の方法として考案されたのが鎮静剤を飲ませ、一切血液を接種させずに獣人格を弱体化させる方法だ。ただし、この方法は少なくとも四か月はかかるとされる。
…ごくまれに元に戻れず、血に飢えた殺人者となってしまう者もいるが。
「ならば、五番目の本物は…!」
「…彼女なら大丈夫です。“サブ”の言うようには、殺されかけた瞬間「戻った」らしいのです。その理由は定かではありませんが。そして自らの腕を刺した後、その場を去った。現在は元に戻っていると考えられます」
担当官の言葉に、幹部達は一層ざわめきだった。
「戻っただと!?ならば、彼女は・・・」
その言葉を、カーテンの奥にいる“宗主”が引き継ぐ。
「“狂戦士化”から自力で戻った唯一のレッドアイ。と言うことか」
それは、今まで一度もなかったこと。
 理論上は、強い基本人格が獣人格を追い払えば狂戦士化は止まる。しかし、血を欲し、戦闘によって活性化している獣人格を追い払うことは不可能と言われていた。
 しかし彼女は成し遂げた。
「ともかく、至急彼女の居場所を察知せよ。彼女は我々の中で最年少の「オリジナル」だ。貴重な生体データに逃げられては困る。データを取り戻せ」
そこで言葉を切って少し笑う。
「…もっとも、データならば生きている必要はない。保存出来れば良い」
宗主の言葉に、他のオリジナル達が頭を下げた。そして西村が声をあげた。
「居場所なら大体つかめております。彼女の着けている校章には発信器が仕込んでありますから。しかしそこに戦闘員をやっても手が着けられません。全員が大けがをして戻ってくる有様です」
その時、西村の携帯がなった。
「…失礼」
断ってから電話に出る。その顔が、みるみるうちに驚愕にゆがんだ。
「何? 発信器の反応が途絶えた? どういう事だ、詳しく調べろ!」
「…やはり、裏切り者でもオリジナル。知能は最高レベルか」
「発信器があてにならないなら、我々の情報網を駆使せよ。彼女は恐らく国外逃亡を図るに違いない。世界各国のアカデミー支部に連絡し、彼女を捕獲せよ」
 そして、アカデミーが本格的に始動した。


中書いたなら
この辺も後々読んだら突っ込みどころ満載かもしれない・・・。設定決めるのが遅いんですよ。(泣
さて、逃げましたね・・・過酷ですね・・・がんばってください☆
「いい加減にしろやぁぁぁぁ!」by凛
あきらめろ☆(酷ぇ)

← 前の回  次の回 → ■ 目次
Novel Collectionsトップページ