作品名:卒業
作者:烏屋奇跡
■ 目次
三月一日
                                       
                      
ついに高校卒業する日が来た。
                        
      
                              
ついこの間入学した気がするのにもう卒業
                  
                  
                 
卒業式が始まる前にはもう泣いていた。
                  
                   
                  
泣いていたというより潤んでいた。
               
               
               
担任の先生が名前を呼ばれ校長から卒業証書を受け取る                 
                  

どんどんと名前が呼ばれていく。
              
               
               
自分の番になった
               
              
                
名前を呼ばれ「はい」と大きな声で返事をしたつもりが
                       
                       
                      
緊張してうまく出なかった
                  
                   
                  
段を上り校長の前まで行く
              
             
             
お辞儀をして卒業証書を受け取り
                
                
                 
左に抱え右回りに振り向く
              
             
               
はずだった
           
            
              
はずだったがなぜか
          
            
              
「ありがとうございました」
             
               
              
といっていた。
             
             
              
別に校長にありがとうということなんてないのに
                 
                  
                  
なぜか出てきた言葉
            
             
            
自分で言ったその言葉に泣きそうになった
                  
                   
                
その後式は流れていき
           
            
              
卒業生退場
            
             
               
卒業式で絶対泣くと思っていたがそれほど泣かなかったので
                 
               
                 
ほっとしていたときに流れてきた
              
              
               
『ほたるのひかり』
          
            
           
確かそんな曲名だったと思う
             
               
               
あれは不意打ちだった
             
            
              
その曲が流れたら最後
          
           
           
退場でも泣かせるなんて………
              
                 
                
卒業式も終わりクラスに戻る
              
               
              
卒業アルバムにメッセージを書きあう
                
               
                
いっぱい書くとネタが切れてついつい他の人と同じようになりそうになって焦る
                           
                         
                        
担任からの最後の言葉
              
              
              
みんなとの最後のクラス集合写真
                 
                 
                 
そして高校最後の号令
             
            
             
「礼」『ありがとうございました!!!』
                 
                
                
みんなで先生に言った
             
              
             
職員室に行って先生達と写真を撮ってもらい
                  
                   
                   
アルバムのメッセージの場所を埋めていく
                 
                
                   
お世話になった先生達
                                
                      
                 
学生生活を共にした友達
            
             
              
みんな進路が別々だから
              
                
                
春からは………もう会えない
             
               
                 
毎日あっていたのに
                
              
               
初めて離れてわかる友達のありがたさ
               
             
               
なんとなく一緒にいるだけで楽しかった
               
                   
                   
明日からみんなとは会えない寂しさ
               
               
                
みんなとは次いつ会えるのか
              
             
                          
朝教室に入って「オハヨー」といえない寂しさ
                  
               
                
今日でもうみんなと会えないのに
             
        
        
学校を出るときいつものようにみんなに言っていた
               
            
          
「またねー」と
            
              
             

いつ会えるかわからないのに
              
               
                

いつものようにいっていた
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