作品名:母との戦い!
作者:saika
■ 目次
朝、母は朝食を作らない。

だから朝食はいつも、自分で何かしら食べる。

そこまでは良いとして…問題はお昼だ。

母の作ったお弁当。

おかずが入っている小さなお弁当箱1つに、おにぎり1つが私の昼食だ。

お弁当箱を開けて、顔をしかめる。

甘い卵焼きにウインナー、そしてほうれん草のおひたし、から揚げだ。

ウインナーとから揚げは出来合いだから、まあ良いだろう。

問題は…卵焼きとほうれん草だな。

ゆっくりと口の中に入れて、時間をかけて噛む。

ほうれん草は大丈夫だった。変な味も歯ごたえもしない。

だけど卵焼きで、私は動揺した。

けれどそのまま噛んで、飲み込む。

…周囲に人がいなければ、吐き出していたが。


そして夕方、家に帰るとすでに夕飯はできていた。

なので注意をしながら、おかずを見る。

白いご飯に、お味噌汁は大根が具だ。

そこまではまあ良いとして…。

他はハンバーグにキャベツの千切り。そして肉じゃが。

…ここら辺から、とても危険な感じがする。

なので一応、母に尋ねる。

「コレ、大丈夫…だよね?」

「大丈夫よぉ。さっさと食べなさい」

そうは言うけど、母は一緒に食べない。

しかし私はお腹が減っていた。

なので食べる。

…多少違和感は感じるけれど、何とか平気みたいだ。

「卵、いる?」

「うん、食べる」

卵かけご飯は私の好物だ。

警戒心を解き、食べすすめたのが…間違いだった!


―30分後。









ぎゅるるるるっ!












私はものの見事に、トイレの住人になっていた。


トイレにこもること、10分後。

青い白い顔でトイレから出た。

貧血でクラクラするし、お腹は痛い。気持ちが悪くて、吐きそうだった。

でもどうしても、母に言わなければならないことがあった!

「お母さんっ!」

母のいるリビングに行って怒鳴り込むと、母は目を丸くした。

「どうしたの?」

「どうもこうもあるかぁ! やっぱり古いもの、食べさせたわね!」

「あら、やっぱりダメだったか。あの卵、火を通せば大丈夫だと思ったんだけどねぇ」

「どうりで変な味がすると思った! ついでにあのハンバーグと肉じゃが、いつ作ったやつよ!」

「ハンバーグは三日前、肉じゃがは五日前に食べたじゃない」

「だからいつも言ってるでしょ! 古いものは捨ててよ! 変なもの、食べさせるなぁ!」

体調が悪くても、ここは強く出なきゃいけない。

ウチの母はズボラだ。

料理では味見をしないことは当たり前、賞味期限が過ぎてても、冷蔵庫・冷凍庫に入れときゃ大丈夫だと本気で信じている。

だから味オンチになるんだよ! ウチの母は!

でも私は普通! 古いものを食べさせられたら、体調を崩すんだ。

トイレの住人になったことは数知れず。

怒りもピークだ。

「今度古いもの食べさせたら、病院に行くからね! 慰謝料、要求してやる!」

「はいはい、分かったわよ」

…と言う母だが、絶対1時間もすれば忘れてしまう。

最近、うっすら殺意を抱くようになった今日この頃。


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