作品名:交通事故―実例より―
作者:トリス
■ 目次
 あーあ、やってくれたなこれ。おい、どうしてくれるんや。これもう片手で開けたり閉めたりできへんやろ。あきらかにお前のベビーカーが先ぶつかってきたな。なんやこれ、A型か、ふん。お前何ヶ月や?あ?生後何ヶ月や、ってきいてるんや。なんや、寝返りもできへんくせにええ車のっとるなあ、おい。おー、Apricaの新車やないか。
 ええか、これわしの車やないんや、アニキのや。アニキから譲りうけたもんや。うちのアニキはこわいでぇ。5才や。わしもよう泣かされとる。まあ、こうなった以上アニキに報告しとかないかん。わしはええけどアニキがどういうかやな。
 おい!人が話してる時に寝るな!グズるな!ええかげんにしとかんとお前のその座ってない首ガックンガックンいわせたるで!えぇ!そこのゴミ箱にあるおしりナップで顔拭いたるぞ!おい!指しゃぶるな!
 ま、とりあえず今日のところはわしの判断ではなんとも決められへんで、明日アニキも交えて3人でじっくり話し合おか。じっくりとな。明日、同じ時間にここに来い。ええか、忘れるなよ。もし来んかったらどうなるかは分かっとるな。わしはお前の事全部分かっとるんやで。お前の3ヶ月検診が無事終わればええけどな。
ええか、この場所や。必ず来いよ。そう、4階の「あかちゃんルーム」や!

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