作品名:RED EYES ACADEMY ?U?@?E??
作者:???????
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カツ、カツ、カツ、カツ
ゆっくりとした規則的な足音が暗い地下室の中に響いている。どうやらこちらへ向かっているようだ。
息苦しいような闇の中で、小さな明かりが瞬く。足音の主が懐中電灯でも付けたのだろうか。
彼女の近くまで来て、足音が止まった。小さな明かりが何かを探すように動く。その明かりが、彼女をとらえた。
「調子はどうだい?」
足音の人物が聞いた。低めのややしわがれた声。おそらく男だろう。だが、気遣うような内容とは裏腹に、聞く人を恐怖に陥れるような冷たい声。
「別に何も」
男の背筋の凍るような声を物ともせず、これまた氷のように冷静な声で彼女は返す。
「そうか。それは良かった。では、今日の訓練に入ろうか」
何の感情も込めない声で、男は提案した。そのまま、彼女の返事を待たずに指を鳴らす。すると、彼女の前に檻に入れられた人間が降ろされた。氷の目で見下ろすが、気丈にもこちらをにらみ返してきた。
今日は、結構骨がありそうだ。
男が無感動な彼女とその犠牲者からそっと離れる。彼が安全圏に入った瞬間、《訓練》が始まった。
檻が開けられ、中から大柄な男が飛び出してきた。身のこなしから、かなり腕のたつ者だと分かる。おそらく人間の間ではかなり強い者だったのだろう。だが、そんな力は彼女には通用しない。
勢いよく突き出された右拳と、かなりの速さの蹴りを避ける。
今日は少し遊んでやろうかな。
そう考えた彼女は、相変わらず無表情だ。
上、下、斜め、右、左、中心。
あらゆる方向から繰り出される強い攻撃を羽が舞うように避ける。普通の人間だと、二十回は殺されているはずの攻撃。だが、どんなに強い風も、舞い続ける羽を壊すことはできない。
かれこれ十分もそうしていただろうか。
全ての攻撃を見切られ、避けられた男に、疲労が見えてきた。
(なんだ、もう終わりか)
内心がっかりするが、表情には出さない。いや、出せない。
動きが鈍り、攻撃が途絶えた瞬間に、彼女が動いた。
一瞬で間合いをつめ、彼のつぼ、神経の集まったところに両手の指を刺す。容赦なく打ち込まれた強烈な攻撃に、男はそのまま崩れ落ちた。
痙攣しながら動かなくなった男を、表情の抜け落ちた顔で見下ろす。そんな彼女の耳に、手をたたく音が入った。
「すばらしい」
先ほど安全圏にいた男だ。拍手をしていても、彼女と同じく完全なる無表情。
「あれは、人にしてはかなり強いものだ。それこそ、キメラさえ倒すほどね。それを一瞬で倒すとは…。さすがだ」
賞賛の言葉を受けても彼女の心にあるのは喜びではなく、怠惰。
いつもいつも繰り返され、自分の勝利の確定している訓練。
そんな彼女の心に気づいているのかいないのか、男はそのまま続けた。
「もう戻りなさい。ほかの訓練があるだろう」
その言葉に従い、彼女は無表情なまま、会釈をして去った。
彼女が見えなくなった後、男は誰ともなしにつぶやいた。
「君には期待しているんだよ。サブ・オリジナル。いや、潮沢黎」
そのまま踵を返して男は去った。後に残ったのはすでに息絶えた男と、暗闇だけだった。
あとがき
どーも、銀月火です。出ましたね、新キャラ。こいつが困ったことに、初期トリオをしのぐぐらい出ばりやがって…。トリオ、がんばれ!
まあ、いきなりシリアスに変わりまして、お送りしました〜(ラジオみたい…)
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