[馬の耳に風]

MAKING APPEND NOTE
Ryou への返事
 機械の効果の偉大なることかくのごとし。思うにわれわれは、その昔かつて道具の発明により始めて禽獣の域を脱し得たりしがごとく、今や機械の発明によって、旧時代の人類の全く夢想だもし得ざりし驚くべき物質的文明をまさに成就せんとしつつある。しかして私は、このまさに成就されんとする新文明のたまものの一として、貧乏人の絶無なる新社会の実現を日々に想望しつつある者である。
 私は遠くさかのぼりて道具の人類進化史上における地位を稽え、転じて近代における機械の偉大なる効果を思うごとに、今の時代をもって真に未曾有難遭の時代なりとなすを禁じ得ず。されば一昨昨年(一九一三年)の末始めてロンドンに着き、取りあえず有名なウェストミンスター寺院を訪問して、はからずもゼームス・ワットの大理石像を仰ぎ見たる時なども、私は実に言うべからざる感慨にふけった者である。仰ぎ見れば、彼ワットはガウンを着て椅子に腰を掛け、大きな靴をはいて、左の足を後ろに引き、右の足を前に出し、紙をひざにのべ、左手にその端をおさえ、右手にはコンパスを握っている。そうして台石の表面には、次のような文字が彫り付けてある。

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