[馬の耳に風]

MAKING APPEND NOTE
Ryou への返事
「そうそう」と、バルナバスはいった。「あなたがきめたきまった時期に私がやってくるように、官房長に頼んだらいいですよ」
「それでもまだ十分じゃないだろう」と、Kはいった。「おそらく一年ぐらい私は何もいってやりたくないんだ。ところが、君が出かけてから十五分もたつと、何か延ばせない急用が起こるだろうよ」
「それでは、私を通じるほかに、官房長とあなたとのあいだにもう一つ別な連絡方法をつくるように、官房長へお伝えしましょうか?」
「ちがうんだ、ちがうんだ」と、Kはいった。「全然そうじゃない。このことはただついでにいっただけなんだよ。今日は君に運よく会えたからね」
「宿屋へもどりましょうか?」と、バルナバスはいった。「そこであなたが私に用事をいいつけて下さることができますから」彼は早くも宿屋のほうへ一歩進んでいた。
「バルナバス」と、Kはいった。「その必要はないよ。君と少しばかりいっしょに歩こう」
「なぜ宿屋へいらっしゃりたくないんですか」と、バルナバスがたずねた。
「あそこの連中がうるさくてね」と、Kはいった。「農夫たちの厚かましさを君も自分で見たろう」

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